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石州和紙の故郷に行って、和紙のポテンシャルの広さにビビる

2018年3月。
石州和紙のお膝元、島根県浜田市に遊びに行ってきました。浜田市にはすでに何度か行ったことはありましたが、今回のお目当ては浜田市にある「石州和紙会館」です。石州和紙の歴史と製品が全て揃っている、石州和紙博物館といった感じのところです!

県庁所在地である松江市から海沿いの道を西へ車で2時間半。
シロイルカで有名なしまね海洋館 アクアスまで車で30分という場所です。
なかなか遠いので正直言って行くのはそこそこ大変です!!

建物の入口はこんな感じです。

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どどーんと中は広く、渋い雰囲気がかっこよい。
石州和紙でできたものが所狭しと並んでいます。

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和紙の製作工程も詳細に展示されています。

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地元の伝統文化、「石見神楽」に使われるヤマタノオロチの小道具も全て石州和紙で作られています。(角の部分なども和紙で作られている!)
耐久性の高い和紙だからこそ、ガシャガシャ動かしても壊れない特性を生かして伝統文化の道具に現役で使われているそうです。

和紙でできている分、なんとなく見た目の品も良いヤマタノオロチちゃん。

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石州和紙の技術を継承する工房は現在4軒しかありません。和紙会館にはその4工房の方々が制作された作品や製品が展示紹介されています。

製品以外にも、歴史的な展示として、400年前に使用された石州和紙の書物が展示されています。名暦4年(1658年)って...。しかも文字も朽ちておらず、全然今からでも追記して利用できそうな雰囲気。少なくとも自分が使っている落書きメモ帳より綺麗です。石州和紙の頑強さがよくわかります。和紙婚姻届もずっと綺麗なまま残ってくれそうです。

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こちらは1840年代の石州和紙書籍たち。まだ結構若いですね(いや、若くない)

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1798年に発行された「和紙の漉き方ガイド」。
ググっても出てこない情報。貴重。

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個人的に目を惹かれたのは、さまざまに染められた石州和紙が販売されていたことです。

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いろいろな大きさ、いろいろな漉き方をされた和紙がその場で買えます。紙クリエイターの人たちは絶対テンション上がるやつ。

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引き出しにもさまざまな紙質・染め方がされた山程の石州和紙。

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プレーンな和紙だけでなく、タペストリーとして作られて販売などもされています。
すごく綺麗。危うく帰りの荷物を考えずに購入しそうになる。

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個人的にすごく好きなプロダクト。『「神の国から」紙のくつ』
赤ちゃんのファーストステップシューズとして石州和紙でつくられた靴です。例によって破れたりせず、しかし素材は柔らかい和紙なので赤ちゃんでも安心して履けます。コンセプトが素敵。

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形もかわいい。
こちらから組み立て済みのものと自分で作るキット用のものが購入できます。

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定番の名刺サイズ和紙やはがきサイズ和紙なども多種販売されています。
耳付きの和紙名刺は味があって好き。

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もちろん超王道の「石州和紙」の巻物も売ってます。かっこいい。何に使うか決めてなくても1ロールくらい買って帰りたい謎の魅力があります。「綺麗な紙」に惹かれるのは日本人のDNAなのだろうか...

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ちょっとユニークなものとして、和紙に写真印刷するサービスもあります。
インクジェットで印刷するそうで、和紙にも普通に綺麗に印刷されてなかなか味わいがあって良いです。

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石州和紙会館の奥には、職人の方々が共同で使う作業室があります。
職人の方々だけでなく、地元も学校の子達も来て、自分たちの卒業証書を自分たちで漉くということもしているそうです。かなりエモい。自分もそういうのやりたかった。

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超大型の和紙が乾燥されてました。何に使うんだろう...

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石州和紙の素材になるものがズラリ。説明用に並べられているのですね。

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この日は、クラウドファンディングのお返し品用に準備中の石州和紙で作る花飾りの作者さんとお会いして打ち合わせを行いました。
作り方もちょっと教わったり。これすごく綺麗じゃないですかかわいくないですかこれ。
個人的にも花は大好きなので、それが石州和紙でできるのはすごく運命的で嬉しかったです。婚姻届とセットでお披露目できるのが楽しみ。

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石州和紙を使い倒し方、すごない?

障子やふすまが減ってきた現代において、石州和紙の大きな利用先はお城関係などの文化財修復向けらしいですが、toC向けのプロダクトも日夜作り出されています。

上にも出てきたように、石州和紙を使って

- 名刺やはがきをつくるのはもちろん
- ヤマタノオロチのような舞台道具も作る(それに関する服なども作っている)
- 染めてタペストリーを作る
- 靴をつくる
- 写真印刷に使う

他にも、

座布団・財布・うちわなどなど、工夫を凝らした製品開発を行われています。
石州和紙と 漫画「ワンピース」とのコラボなんかもアツいです!
新旧コラボ・和洋折衷をしながら文化は強くなっていくのだと個人的には思ってます。

とにかく、強度の高さを活かした日用品使いのものまで和紙で作っちゃってるのがヤバイですね。和紙の使い倒しがすごい。もはや紙ではなく布みたいな扱いになってる。和紙の百変化です。

最たるものは以前にも紹介したウエディングドレスでしょう。
こちらは和紙でつくられているのにアイロンを掛けたりミシンで縫ったりされていて完全に生地扱い。

和紙プロダクトを作ろうとしている身としては、ぜひ一度訪れたかった和紙会館に来れて良かったです。石州和紙の歴史についてもたくさん学ばさせていただきました。
いつかここにも和紙婚姻届を並べていただけるように頑張らねばです。


(P.S.)
 知り合いの方が書かれたこちらの記事も雰囲気が伝わってくる良記事なので合わせて読んでみてください。


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