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令和5年度司法書士試験受験記(4)

7月3日(月)本試験翌日


毎年本試験の前後はそうだが、あまり眠れないまま、しかしある程度の解放感に浸りながら高松のホテルを出て、帰路についた。
途中、夫の提案で瀬戸大橋近くの水族館に立ち寄り、魚やペンギンたちと癒やしのひと時を楽しんだ。

帰宅してから、今年は一切の振り返りをするまいと思っていた気持ちに早くも変化が生じていた。

試験後の会場出口でLECのスタッフさんからいただいた午前の速報、見るつもりはなかったのに、ホテルに帰って荷物整理をしている際にチラリと視界に入ってきており、憲法の答えがオール5番であることだけは既に認識していた。
5、が三つ並んでる…
本試験で同じ番号が連続すること自体は珍しいことではない。私の注意を引いたのはそこではなかった。

試験の前々日の6月30日の夜、大雨の中、近所の神社の恒例の夏越祭へ行った。
茅の輪をくぐり、参拝する時にまず頭に浮かんだのは、カッコつけて言うわけではないが、これまでツイッター上で自分に関わってくれた受験仲間のことだった。
全国各地のそれぞれの環境で、合格目指して懸命に頑張っている、顔も知らない受験生たちが、日曜日に100%実力を発揮できますように。もちろん、その中に自分も含まれるものとみなしていただけるようお願いすることも忘れなかったが。

話が長くなってしまったが、その参拝の帰り道に買い物をしたスーパーで、レシートの合計金額が「555円」だったのだ。
勢いがあって何となく縁起も良さげなその写真をツイッターに上げると、人気者の他の受験アカウントが本番当日の朝、5時55分を表示したデジタル時計の写真で呼応してくれた。

過酷な試験が終わり、早い人はもう現実と向き合っているだろう。受験関連の情報全てから目を背けていたが、5の連番を見たとき何やら心の扉が開くような、いや外からふわりと開けられたような気がした。
そうか、自分も現実逃避は早めに切り上げよう。

意を決して、午前の点数は手元にある速報で、午後はLECの本試験当日の速報会の配信を一日遅れで聴き、根本先生の解説とともに心臓が口から飛び出しそうな、胃がキリキリ痛む思いをしながら一問一問自己採点していった。

択一対策の総括

ずいぶん回りくどくなってしまったけれど、別に勿体ぶるほどの話でもない。
マークミスなければだが午前は32問、午後は29問だった。

午前はご多分に漏れず後見と限定承認、そして二択で迷った社債を落としていた。
民法はパーフェクトを狙っていたが今年に限っては厳しかっただろうから仕方なし。
一方の会社法は自分としては完答すべきラインナップだったが、試験直前に見ておこうと思っていた社債が後回しになり、また改正が中途半端にインプットされていたのが裏目に出た。
それでも、テキストを軸に過去問を解き、できる限り条文に当たるという繰り返しはやり方としては間違っていなかったのだろう。

午後はマイナーと不登、商登でそれぞれバランス良く?2問ずつ落としていた。
午後に関しては、去年は取っていた答練を今年は取らず、午前対策と同じくテキスト過去問、それに模試でカバーしようと考えてやってきた。

結果として、方針としてはまずまずそれで良かったのではないかと思うけれど、答練で培うことができる緊張感、午後択一特有の時間制限の中で答えを出すスピード感はやはり前年ほどは養えなかった気がする。

それでも、1問だけではあるが午後は昨年より多く正解でき、午前午後トータルでは昨年より3問、択一としては自己最高点を取ることができた。

計算してみると、昨年と同じく、受験した公開模試の択一成績の平均(今年は午前31.7午後30.3)とほぼ同じレベルであり、中でもTACの公開2回目と全く同じ点数だった。
本試験受験までは不安がつきまとっていたが、歩みを止めなければ直前期の模試がわりとそのまま実力のバロメーターとなるということが今年も証明できた。

(お断りしておくと、あくまで自分の場合であり、初学者や受験年数が浅い方は本番まで実力が伸びていくらしいので、公開模試の成績で頭打ちになるというイメージは持たなくて良いと思います)


7月4日(火)以降

昨年は記述の再現が数日後だったため、特に商業の記憶が不正確だった(開示請求してみると、何の論点にもなっていなかった取締役BだかCだかの退任を書き忘れていた)。

こうなったら再現も早い方がいいと思い、月曜の夜に不登法はあらかた走り書きし、翌日には細かい部分を仕上げ、商業も手元にあった答練の予備の答案用紙に思い出せる限り書いた。
もちろん、LECの速報会の午後択一の解答部分を除いては各校の講評やツイッター等は全く見ないうちに。

その、記述問題に現場で向き合った際の思考過程と作成した答案の内容については、前回前々回でそれぞれ長々と書いた通りである。
書いた後で各社の検証会や解説を観たり読んだりしてみると、やはり不登法は二重解が複数成立しそうなひどい問題だったようなので、良かった、悩んだのは自分だけではないと胸をなで下ろした。


今日は7月9日。
気付けば本試験から一週間が過ぎた。
試験の振り返りをしたり、家事をしたり、ぼんやりしたり、聴いてなかった講義の残りを少し聴いたりして過ごしている。
しばらく続いていた寝不足もだいぶ解消されてきた。
去年のように簿記の勉強をしようかとも思ったりしたが、今のところはまだそういう気にもなれない。

秋までが長いのは今年もやはり同じだが、自分が信じた勉強法と講座、教材で戦えることがわかったので、もしまた来年もとなったとしても、怖くはないと思っている。
もとより、受かるまで何度でも挑戦するつもりでいるのだから。

商業登記ハンドブックもそうだが、積ん読状態の会社法の本を読んで、今のうちに制度趣旨を深めに理解しておくのもいいかな。
民法は少し離れていても再会すればわりとすぐに打ち解けられる古い友人みたいな親しみがあるが、会社法は勉強を止めた途端たちまち記憶が失われていく。

今年も残念な結果に終わってまた本格的に走り出すことになった時に備えて、道に落としたパンくずのように学習の道しるべとなるように足跡を残しておくことにしよう。


そんなわけで、今年の本試験の振り返りはいったんこれで終わります。
また何か思い出せることがあれば、追記することになるかもしれないし、別のテーマで書きたいことがあればまた新しく更新することになるとは思いますが。

それでは、同志のみなさま本当に本試験おつかれさまでした。
みなさまにも私にとっても、これまでの頑張りが報われる日がやってきますように。

お付き合いくださりありがとうございました。




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