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第1部

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第1回~22回
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2021年7月の記事一覧

【5】進化心理学で考える性差 (1)オスとメスの違い

主な参考文献 今回からやっと本題である。ここからは進化心理学、または進化生物学に基づいて人間の性的な在り方の起源について考えていきたい。この二つはとても近い関係にあり、生き物全般の形態や生態について進化論的な観点から説明しようとするのが進化生物学、その考え方を人の心理や行動にも取り入れたのが進化心理学である。    最初に断っておくと、私は大学院などに通った経験はなく特に何の専門家でもない。研究ノウハウのようなものを持っているわけではないし、英語で書かれた最新の論文を読み解

【6】進化心理学で考える性差 (2)男と女の違い

種によって事情は様々〔前回の続き〕  哺乳類の大半が一夫多妻もしくは乱婚であるのに対して、鳥類は9割以上が一夫一妻でオスとメスのつがいが協力して子育てをする。とはいえ、そうした種であってもペア外の父親から生まれた子が多数確認されており、立地の良い場所に巣を構えていたり、餌をより多く採ってこれるなど優れたオス(とそれに惹かれるメス)による浮気傾向があるようだ〈1〉〈2〉〈3〉。 先ほど例にあげたクジャク、ウグイス、フウチョウは鳥類の中では例外的に一夫多妻でオスは子育てをしない

【7】10分で振り返る人類700万年史

霊長類の中の人類 この連載は進化心理学(的な発想)を一つの柱としている。である以上、他の動物と比較するだけでなく、人間自体の進化史も一通りおさえておかなくてはならない。ということで今回は、600万年とも700万年とも言われる人類の進化史をなんとか4000字程度に押し込んで振り返ってみたい。 「そこまでさかのぼるか!?」という感じではあるが、一応、最初の最初、霊長類の登場から始めると以下の順序になる(後ろの数字は注の番号)。 ・約6500万年前:霊長類が登場〈1〉 650

【8】10分で振り返るヒトの進化史

現生人類の出アフリカ 前回は霊長類から現生人類へと至る過程をザっと追ってみた。今回は現生人類(ホモ・サピエンス)の進化史と当時の暮らしぶりを、これまた10分で読めるくらいの分量に押し込んで振り返ってみたい。  ここからは、ホモ・サピエンスを「ヒト」、それも含めた人類種全体を「人類」と呼んで区別する。前回述べた通り、ヒトの起源についてはアフリカ単一起源説が主流であり、ここでもそれを前提に考えていく。  ヒトは6~5万年前からアフリカの外への大規模な移動を始めたと考えられてい