【33】性役割を本気でなくそうとしたキブツの顛末(1)
前回まではやや抽象的な話が続いたが、今回は男性性や女性性(も含めた人間性)が、いかに消し去りがたいものであるかを示す具体例をとりあげたい。
一般に「男女平等」とか「ジェンダー平等」というのは20世紀の後半から広まり始めた比較的新しい考え方だと思われている。しかし、実は20世紀の前半、これを真剣にやろうとした集団があった。イスラエルの農業共同体「キブツ」である。
私がこれを知ったのは、この連載でよく参照しているスティーブン・ピンカー著『人間の本性を考える』を読んでいたと