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昭和42年男のカルチャー日誌

2023年12月25日(月)仕事が終わってから、TOHOシネマ日比谷へ直行。「ヴィム・ヴェンダース監督:パーフェクト・デイズ」を鑑賞。
「クリスマスの聖なる夜は便所三昧?」的な酔狂な連中が結構観に来てて(←お前もナ!!)、4~5割程度の混み具合でした。
ヴィム・ヴェンダースの作品は「パリ、テキサス」・「ベルリン・天使の詩」・「時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!」は鑑賞済。
おさえた演出が魅力的な監督さんですね(誉)。

「PRESS・BUTTER・SAND」のロゴ風?みたいな文字配置の「THE・TOKYO・TOILET」と書かれたロゴを背負ったオシャレ作業着を身にまとった役所広司(役名:平山)。

平山は、毎日毎日、決まったルーティン作業(公衆トイレ清掃)をキッチリこなし、清廉・質素を体現した平山の日々の生活。

鑑賞早々、思い出したのは漫画「大東京ビンボー生活マニュアル」です。
バブル全盛期の中、四畳半アパートで金銭欲・物欲にまみれず、ただ飄々と自身の生活を楽しむ主人公コースケを描いた今も記憶に残る作品です(全巻保有してます)。

漫画の主人公コースケはフリーターで理解のある彼女(?)もいます。
一方、役所広司演じる平山は初老の独居老人予備軍ですが、達観した風情も感じさせつつ、何か訳ありな雰囲気もまとっています。

都内(渋谷区中心?)の公衆トイレ清掃員として、毎日仕事を真面目にこなす平山。用を足すために慌てて駆け込んで来る人々の正直迷惑そうな視線を浴びます(平山と手をつないでいた迷子ちゃんの手をウェットティッシュで拭う母親のシーンが象徴的)。

そんな彼の心が荒まないのは、ランチ(毎回コンビニサンドウィッチです)時に立ち寄る代々木八幡宮の木々たちとの無言の会話のおかげでしょうか?

あと仕事終わり、平山の①銭湯→②飲み屋→③読書しつつ就寝の黄金コースが彼のメンタルを支えているのかもしれません。①②③ファクターは全部、近い将来潰えてしまう危うさを抱えていますが、どれも愛すべき存在です。
休日のルーティンコースである④コインランドリーで洗濯→⑤写真屋で現像依頼→⑥古本屋で100円文庫一冊購入→⑦写真整理も然りです。
自分へのご褒美のスナックふらっとシーンの有名演歌歌手は見どころのひとつでしょうか(ギターもね)?
平山の心にさざ波がたつ、色々な出来事も全部抱えて、彼は生きています。運転時のカセットテープから流れる曲も良かったです。
あと、余談ですが、柄本時生が演じた今時の若者代表くんの「平山さん、俺、今夜勝負なんすよ(だったかな?)」の何となく違和感を感じる台詞はブレード・ランナーでのうどん屋のおっちゃんの台詞「二つで十分ですよ」をイメージしてしまいました。

「役所⇔便所」のリフレインで、公衆トイレを見ると平山(役所広司)の顔が浮かぶ様になったクリスマスの夜でした。
ヒーリング効果が高い作品です(10の8位ですか?)。
是非是非、劇場鑑賞をお薦めします(サントラ欲しいかも?)。

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