見出し画像

昭和42年男のカルチャー日誌

2024年2月29日(木)会社終わってから、丸の内線で池袋駅へ移動。「TOHOシネマズ池袋:落下の解剖学」を鑑賞。
「TBSラジオ:アフター6ジャンクション2」でライムスター宇多丸さんが、面白い映画と評しており(パルム・ドール受賞作品ですって奥さん)。週後半に入り、やや疲れも溜まっていたものの、頑張って来館鑑賞。
事前情報では一見サスペンス風だけど、謎解き自体にあまり囚われていない感じの作品とのこと。個人の主観で本作に邦題を付けるなら「配偶者の落下死により露呈した家父長制崩壊の再検証と遺族(特に息子)の現実的選択」と称したいと思います(長いよう・・・長過ぎる)。
「役所のする事ですから(嘘)」

導入部分でインタビューを受けている主人公が英語を喋っており、「仏制作の映像作品なのに、セリフは英語なんだ??」と思った違和感はしっかり、伏線として機能してるようなしないような・・・してます。
裁判シーンが相当なウェイトを占めてる演出ですが、科捜研みたいな連中の物理的検証場面にしても、弁護士・検察官・裁判官三者による被告人(妻)の動機を分析するため、各々の弁を戦わしても、結局、第三者による憶測に過ぎず、どこか全体的に空虚さをまとった印象を受けました。特に検察官の詰問は仕事とはいえ、嫌な感じでした。

ナイスガイな弁護士は被告人(妻)との距離が近過ぎて(男女の関係を連想させる描写も結構・・・)、これはこれで気持ち悪い。

裁判官の息子くんを慮った対応は好感持ちました。

結局のところ、母・父・息子(記述の順番も悩む)三人家族間の愛憎の交錯(錯綜?)に全て起因しており、結局、当事者達しか分からない、映画料金を支払って2時間超も時間拘束されている我々鑑賞者ですら、何一つ腹落ちしない「極めて不親切な一作」だと思いました(誉めてます)。

実際、亡くなった夫の台詞から推して、犬くんも含めた四人家族だったかもしれません(最後のシーンが象徴的)。

人気アニメ「スパイ・ファミリー」がもの凄ーくデザインされた予定調和なアットホームな作品だとすると、本作は「逆スパイ・ファミリー」と言ってもイイかもしれません(アー◇ャのテレパシー描写なんぞクソくらえ?)。

昨年から綿々と続く、「最後の決闘裁判」・「ザリガニの鳴くところ」・「MEN同じ顔の男たち」・「バービー」・「ナポレオン」等々「男性性」や「家父長性」の幼稚さや愚かさを描いた作品群に位置付けされ気味な作品かと思います。しかし、全く別の切り口(妻側?)で、「TAR」と同じ系統に仮置きして分析しても面白いかもしれないと思ったり思わなかったり。

良くも悪くも現代(いま)を切り取った作品だと思います。
劇場鑑賞が、是非是非、お薦めです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?