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2019/09/29 舞台「SEVEN STORIES」観劇

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公演タイトル:「SEVEN STORIES」
劇団:劇団The Timeless Letter
劇場:座・プロローグ
演出:前田アキヒロ
個人評価:★★★★★☆☆☆☆☆

【総評】
世界観は非常に良かったのに、肝心の演技力とストーリーの見せ方に難があって勿体無い部分があった。ただすごくユニークだったのがチケット料金を観客が決めて封筒に金額を入れて渡すというアイデアは面白いが、ここまで作っているなら定額でチケット代を指定してもよいと思う。その意図は気になる点で知りたいが。

【鑑賞動機】
池袋演劇祭のCM大賞で最優秀賞に輝いた劇団であり、そのCMを見て傘を使ったユニークな演出で飛び降り自殺を図る男を演じている様子がとても印象的で惹かれたので鑑賞。また関西出身の劇団を鑑賞するのは劇団☆新感線を除いて初めて。

【世界観・演出】
舞台装置・照明・衣装・小道具に力を入れている印象。中でも舞台装置はアパートの7階8階部分を切り取った外壁となっており、舞台中のキャストが動くたびにキシキシという音がする点は気になったが作り込んでいる。そして最後には外壁は真っ二つにハケられ、満月を描いた幕が後方に用意されており物語終盤で使用される。照明も夜間をキャストの顔が見づらくならないように上手く表現されている。キャストが5人のみにも関わらず役は13あるので早着替え等を上手くやっていたと思われる。世界観に関してはとても趣向が凝らされている印象。

【内容・ストーリー】
「SEVEN STORIES」の戯曲を読んだことがないので内容を知らないが、あまりストーリーが入ってこなかった印象。各扉から様々な住人がそれぞれの価値観を持って登場するのは良いが、それらが主人公の男にどう影響を及ぼしたかがよく分からなかった。あえて分かったのは最後のアルバートと名乗るおじいさんだけ。戯曲を読んで鑑賞したいレベルだった。

【キャスト・キャラクター】
主人公演じる男性が非常に良かった、とても演技力が高いと思い、特に最後の傘を開いて風に揺られながら空中を舞うシーンはとても漂う雰囲気が演出されていて良かった。全体的には他のキャストは演技が中途半端な印象があった。特に中盤のマーシャルの若かりし頃のダンスシーンは踊れてない感が出ている気がした。

【舞台の深み】
この舞台の深みは、とにかく海外戯曲ということで西洋ミュージカルを意識した世界観だと思う。とても世界観は作り込んでいた印象を感じた。あとはキャストの演技力と戯曲を知らなくても世界に入り込める工夫がもっとあると良かった気がした。

【印象に残ったシーン】
やはり最後の満月の中を傘で空中に漂うシーン。最後の見どころでもあり非常に力を入れて作っていた感が汲み取れた。また個人的には、序盤の銃声の音から連想される被害妄想のシーンもすきだった。結果的には誰も死んだわけではなかったが。

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