do me a favor

1番あれーっと思ったのは、私が都会における選択肢の多さと近さが純粋に羨ましいと話した時に、そんなのどこでも一緒でしょ、とムッとされたことだ。地方を貶める話じゃなくて、選択肢にたどり着くまでに必要とされるエネルギー量が都会の方が少ないと思うって話だったんだけど、私は固い彼の横顔をそれ以上何も言えずにただ見ていた。
その時、この人はもう私の事を好きじゃないんだなと思った。義務感で誕生日を祝おうとしてくれていたけれど、一緒にご飯を食べている時も帰り道も、私の知らない顔と声で喋ってた。私は現実を受け入れられず、必死に平静を装っていた。
一緒にいてもよそよそしい空気。それを崩す方法か、潔く知らんぷりする方法を私は知っているべきだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?