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彼と別れ話をした後に、飲み会に行くという彼を助手席に乗せて送っていった。

さっきまでぐずぐず別れ話をしていたのに、車を運転する私はなぜがハイテンションになってしまい、喋り続ける10分足らずの最後の2人のドライブだった。

彼が私の車の助手席に座ったのは付き合い始める前とこの時と、たった2回だったなあ、なんて事を今なら思い出せる。

この日のことで覚えているのは夏の夕陽を見ながら彼の家に向かって車を出したこと、途中で飲み物を買ったこと、そして暮れてしまった空をバックにこれ以上話しても無駄だと思う、萎える、と言った彼の声、飲み会に早く来てと急かす電話に厄介な顔をしながら出る彼の顔。
最後にハグを所望したら心底ホッとした顔で了解してくれた。私の恨みを買わなかったという確証を得たからなのかもしれない。

そして何だかハイテンションの最後のドライブ。BGMがこの曲で。

数ヶ月前、温泉旅行のドライブ中、音楽の好みも合うし相性ぴったりだね、と笑い合ったことが嘘の様だった。もうちょっとこの時間が長ければいいのに、と願いながら最後のドライブが終わった。
笑ってハイタッチして、私達は別れた。

私の心はハイタッチで別れた瞬間、くしゃくしゃに潰れて、泣きながら家まで運転した。
ワールドカップの決勝戦を見ながら泣いた。
クロアチアが勝てば、もしかしたら何かの奇跡が起こったかもしれないけれど、やっぱり勝ったのは層の厚いフランスだった。
その頃彼は新しい彼女と飲んでいたんだ。

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