thank u, next

最後の一方的なメールには、随分経ってから返信が来た。返信不要って書いといたのに。

内容は私のメールを読んだという報告と、今後も私とは先輩と後輩としていい関係でいたいという内容だった。それでいいと思った。わざわざ波風を立てることはしない。でもわざわざ良好な関係でいることもしない。それが私の考えるいい関係だった。同職の他人に戻ることを選んだのだから。

私に期待を持たせない為か過去の関係には一切触れない文面を読んで、私はさめざめと泣いた。
忙しい中で書いたのであろうメールは相変わらず少し偉そうな文面で、的外れな仕事のアドバイスまで入っていて、可笑しかった。

泣くのはこれが最後。
返信不要の自己満足のメールで読まれなくても構わないと思っていたけれど、ちゃんと読んでくれた事にほっとしたのが1番だった。
心変わりした彼を恨んでいた気持ちはもう無くなっていた。そして、どんなに自分の中を覗き込んでも、もう彼に執着してなくて復縁も望んでいない事に安堵した涙だった。

これからもお仕事を頑張ってくださいっていう締めは、素直になれず恋愛に溺れられなかった私への当て付けなのかもしれない。はいはい話は聞いたからこれで終わりね、僕の事は恨まないで成仏してねって言いたそうな顔が浮かんで消えた。

やめとこう。
返信のため、好きでもない人のために時間を割いてくれた事に感謝する。私の自己満足に最後まで付き合ってくれた事に感謝する。
私が祈らなくても君は勝手に幸せになるだろうから、私は私が毎日を健やかに豊かに過ごせるように祈ります。
心がざわめく日もあるけれど
泣くのは今夜で最後ね。
私は今日も楽しく生きている。

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