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ニートはオールラウンダー遊び人になって友達を作ろう

無職とは無色である。なぜなら、これから何色にでもなれる存在なのだから」という言説を聞いたことがある。
若干「しゃらくせえ」という感想は否めないものの、概ね間違っていないようにも思う。
例えば、イラストを描くのがうまいニートはひたすらイラストを描き続けていたらイラストレーターになれるかもしれない。
ギターを弾くのがうまいニートはひたすらギターを弾き続けていたらミュージシャンになれるかもしれない。
無職はひたすら時間を持て余しているが故に、ある道を究めれば、突き抜けてそれで食っていくことができるようになる可能性があるのだ。
(『ハリー・ポッター』の作者が生活保護を受けながら作品を完成させたというのは有名な話である)
 
だが、その一方で"突き抜けられる"ニートは、ニートの中でも一握りである。
「そこまで頑張れない」「趣味レベルに留まっている」「仕事になると自己管理ができない」など様々な理由が考えられるが、大半のニートは「スキル」があってもそれを職業に昇華することができずに、時間と技術を持て余している。
こういった人々はどうすればよいのだろうか?
 
結論から言ってしまえば、個人的な回答としては、ニートは「オールラウンダー」になることを勧めたい。
そもそも、そもそもである。
既に多くの指摘がされているだろうが、このグローバルインターネット時代に「一芸で食っていこう」というのはかなり無謀なのである(そういう挑戦を否定するわけではないが)。
かつては「村一番」でよかった。
「村一番の力持ち」や「村一番の物知り」であれば、それで十分に尊敬された。
だが今はインターネット中にライバルがいる。
そういった時代の中で突き抜けようとしたら、圧倒的な才能か、炎上商法のような搦め手しか残されていないのだ。
 
ではさっそく「オールラウンダー」のよいところ、その1。
「スキル」×「スキル」でニッチなゾーンを責めることができる。
例えば、「文章を書くのが好き」という人はそれなりにいるかもしれない。
だが、それに「野草(雑草)についてめちゃくちゃ詳しい」というスキルが結び付いたらどうだろう?
散歩の度に写真を記録し、解説する記事をあげていたら、いつの間にか"ウケる"かもしれない。
こういった組み合わせは様々なものが想定できるが、基本的には「アウトプット」×「マニアック」になるだろう。
「動画投稿」×「南インド料理が作れる」
「風景画」×「超芸術トマソンに詳しい」
など「オレはこの2つだ…!」というものを見つけられると強い。
 
「オールラウンダー」のよいところ。その2。
これはあまりニートうんぬんに関係ないのだが、いろんなものに手を出すと、「ああ、これって○○と同じ(の応用)だな」とすぐに習得・把握できてしまうときがある。
様々なカルチャーに触れることによって育まれる、センス(?)そのものの強化は、人生においてなかなか役に立つものだ。
あとは、引き出しが増えることによって、全く関係のないものを結びつけることが可能になったりする。
例えば、魚釣りが好きな人は、デザインを作成するとき、魚のモチーフを加えることを思い付くかもしれない。
しかも、それは実際に生きた魚を釣って、捌いたことのある人ではないと作成できないものであるだろう。
 
「オールラウンダー」のよいところ。その3。
この項目は「よいところ」というよりも、「やりましょう」という内容なのだが、人間どんな才能が眠っているか分からないものだ。
だから、とりあえずいろんなことをしてみよう。
義務教育でやってきた文化やスポーツなんて、この世界の一部にしか過ぎない。
やってみた結果「レベル1のスキル」がたくさんある、なんていう状況も上等だ。
「オレ、これけっこう得意やん!」というカルチャーやスキルにぶち当たるまでなんでもやってみるべきなのだ。
 
「オールラウンダー」のよいところ。その4。
ぶっちゃけ、一番のメリットはここである。
それは「友好関係を広げやすいこと」だ。
いろんなスキルや技術を持っていれば、いくらでも話のネタになるし、そういった「会」の集まりにも呼ばれやすい。
なんならあなたが「教室」を開いてもいいだろう。
ニートは孤独や虚無に陥りやすいが、友好関係があれば、意外となんとかなるパターンが多い。
部活やサークルレベルでよいから、教えてもらったり、教えたりすれば、人間関係の輪が広がっていくだろう。
(コミュ力に自信がない人でも大丈夫。なぜなら基本的に技術の話をしていればいいだけだから)
 
まとめつつ、今後の展望に入っていきたい。
序盤に「昔は村一番でよかったが、今は世界中と闘わなければならない」と述べた。
そして、そうした時代の中でやるべきことは、やはりフィールドのスケールを1段階下げることだと思う。
よって、僕は何かのスキルを磨いているニートには、「ニート界隈で一番」になることを提言したい。
とりあえず、「ニート界隈で一番できる・詳しい」であることを目指そう。
そして、そうした知識や技術を他のニートとシェアして、友好関係を育んでいこう。
 
以下は、個人的な意見も強く入り込んでしまうのだが、世の中にはもっと「遊び人」が増えるべきなのだ。
それぞれの街に「地域ニート」とでも呼ぶべき存在がいてもいいと考えるぐらいである。
なにもこれは「もう日本社会はお先真っ暗だから、遊んで生きよう」というものではない。
シンプルに働きすぎたり、空気感に縛られて苦しんでいる人が多すぎるために、それを打破するために「遊び」が必要だと言っているのだ。
(全員が暗い顔をして働いている社会と、よく分からないけど平日昼間から楽しそうに遊んでいるオッサンがいる社会。子供たちはどちらに希望を持つだろうか?)
 
僕がこうした「オールラウンダー遊び人」をイメージするとき、モデルとして真っ先に思い浮かぶのはレンタルニートとして活動している仲さんである。
仲さんはレンタルニートとして「遊び」に付き合う活動の他、プラモデル作成やゲーム代行の活動も行っている。
オフ会を企画したり、ボドゲ会を行ったりと、ニート仲間との交流活動も盛んだ。
(そして、よくありがちな「奇を衒って話題を呼んだあとはマネタイズ」ではなく、淡々と自身のライフワークとしてニート活動に取り組んでいる感じがよい)
 
僕はもっと仲さんのような人物(ニート)が増えるべきだと思う。
そして、一緒に遊び、技術やスキルを教えたり教えなかったりする。
「ニートはスキルを身に付けて人生一発逆転!」のような広告に惑わされてしまう人は多いかもしれないが、無理に何かを極める必要はない。
ただ、友人と「遊び」を共有し、それを拠り所に生きていけばいいのである。
 
極端な話、この国では生活保護を受ければ死ぬことはない。
それゆえに、本当にニートに必要なのは「お金を稼げるスキル」などではなく、「あなたに生きていてほしい」と言ってくれる友人の存在なのである。


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