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つながり、つなげていく

1. はじめに

 農業に対してどのような印象があるだろうか?私はただ「きつくて辛いもの」だと考えていた。しかし、そのような単純なものではないのかもしれない。
 今回私たちは、身延町に移住し、地域おこし協力隊として活動した小林あゆみさんにインタビューをさせていただいた。このnoteでは小林さんの移住後の生活について述べる。

2. 地域おこし協力隊 農業部門

 小林さんは農業の経験が無いのにもかかわらず、移住先の身延町で地域おこし協力隊の農業部門で活動することを選んだ。それはなぜなのだろうか。そこには、自分が全く無知な農の世界に飛び込んでみようという好奇心がきっかけにあったと話す。最初は農業に対し偏見もあったものの、実際に農業に取り組んでみると自分の性に合っており、作物の栽培に夢中になっていたそうだ。

小林さんのあけぼの大豆畑

3. 身延の人とのつながり

 小林さんには身延町で農業について指導や助力を受けた「師匠」のような方がいるという。小林さんはこのつながりにとても支えられたようで、自分一人では農業を続けていなかったかもしれないとも話していた。
 また、小林さん曰く、「畑は裸」だそうだ。つまり、畑は隠せるものが無くみんなから見える場であり、地域の方からの直接評価につながると語る。小林さんも地域の方から頑張りをほめていただいたり、声掛けから会話が広がったりと身延の方との交流の場としても畑は重要な役割を果たしていたようだ。
 さらに、小林さんは協力隊になった当初から積極的に町中を巡り、身延町の農家さんや他の住民など町中の色々な方とつながりを築いていったという。その後も小林さんは身延町内の様々な地域で畑を所有したことにより、自然とそのエリアに住む方々と広くつながれたとおっしゃっていた。

4. 地域の子供とのつながり

 そして、小林さんは移住前に行っていた保育や教育の経験を活かし、身延町の子供に農業と教育を掛け合わせた「農育」の授業の活動も行っている。農育の活動では、身延町の特産品あけぼの大豆について伝える授業を行っており、今年で6年目だという。子供たちが地元にあるものを知ることで誇りと期待を持ってほしいという思いと、生き方にはいろいろな選択肢があるということも伝えたいと語る。そのように、この活動を通して子供たちと、農家さんなどもつながりを作っていったそうだ。

5. 地域外とのつながり

 さらに、空き家バンクで見つけた立派な古民家で「民泊」の活動も行っていた。小林さんは移住前にゲストハウスや農家民宿のお手伝いなども行っていたそうで、それを活かした活動でもあるようだ。ここでは生業としての宿業が目的ではなく、来てくれる方の居場所づくりが目的であり、小林さんが移住する以前からつながるのある方々も気軽に来れるようにしたと話す。民泊に泊まっていただいた方とは一緒に畑をしたり、身延町の観光を行うなど、身延町外の人と身延町をつなげる活動も行っていた。

6. まとめ

 小林さんは身延町に移住してから新たな挑戦として農業を始め、身延町の温かさと小林さんの積極性で、多くの方とつながっていった。また、それを小林さん自身が主体となって子供や地域外にもつなげていくという地域にとっても価値のある循環があった。
 私は、今回特に「畑は裸」というお話にとても感銘を受けた。畑が人からの評価に直接つながるもの、コミュニケーションに役立つものだとは考えたこともなかった。農業という共通のつながりや環境があるからこそ、地域の人の温かさや近い関係性ができていくのだろうと考えた。
 小林さんは自ら行動して果敢に人と関わったことで、身延町ともうまくつながっていったのだろうなと感じた。移住者と地域がうまく関わり合うことで、地域をより良くしていこうという流れができることはとても素敵で大切なものだと感じた。

担当:森屋


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