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早川子どもクラブについて

はじめに

 早川子どもクラブは早川町内の小中学生たちが参加している活動プログラムです。月に1~2回、野外活動や自由遊びなどの活動を休日に実施しています。私はこのクラブを運営している日本上流文化圏研究所の上原さんにインタビューをさせていただきました。また、活動にも参加をさせていただきました。この記事では、お聞きしたお話と活動への参加体験に基づいて、早川子どもクラブについて書いていきます。

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1. 早川子どもクラブの考え方について

 早川子どもクラブは、早川町教育員会から委託を受け、日本上流文化圏研究所が運営してきました。2021年度の運営を担当している上流研スタッフの上原さんは、早川町の自然や暮らしの文化を体感し、子どもたちに早川町で生活することの楽しさを感じてもらうとともに、今この環境でしかできないことを通し、「早川を好きになってほしい」という想いで運営に取り組んでいるそうです。

 今年のプログラムで上原さんが意識したのは「循環する時間」という考え方です。これは哲学者の内山節さんの言葉だそうです。内山さんは、山の暮らしを成り立たせる上で資源の循環性がとても大切だったと述べた上で、その背景には「循環する時間」があった、と指摘しているのだそうです。過去~現在~未来のように一直線に流れる時間ではなくて、毎年春がやってくるようにぐるっと回るような時間概念が山村には流れている。それを上原さんたちはプログラムを組み立てるための考え方と位置づけて、自然のなかでの遊びや、農業、生活行事などの活動を取り入れることによって、季節と地域の文化を感じられるようにしたそうです。

 2021年度の早川子どもクラブの活動は、年間16回の予定で活動しています。その予定企画の内容は以下のとおりです。
4/24(土) ヒラタケ植菌/冒険遊び場
5/15(土) 田植え/野鳥公園散策
6/20(土) 冒険遊び場
6/27(日) 大豆の豆まき
7/25(日) 川遊び
8/1(日) 川遊び
8/21(土) 集落維持管理と川遊び
9/18(土) 稲刈り
10/23(土) 枝豆収穫
11/21(日) 大豆収穫
12/19(日) わら細工づくり
12/25(土) 豆腐作り
1/8(土) 柳立て/冒険遊び場
1/22(土) 柳倒し/冒険遊び場
2/27(日) 味噌づくり
3/20(日) 春まつり

 一日の構成は、午前中にプログラムのメイン活動を行い、午後は自由遊びの時間という設定になっています。

2. 早川子どもクラブの実際の様子

 私は12月19日(日)に開催されたプログラムに参加しました。この日は小学校1年生から5年生まで5人の子どもたちが参加していました。スタッフは上流研の上原さんと植野さんの2名で、ゼミの学生・教員4人で体験とお手伝いをしてきました。

 プログラムは9時にスタートしました。午前中のプログラムはわら細工づくりでした。まず、上原さんが早川のわら細工についての説明をしました。今回作成するのは足半(あしなか)という、わらじの短いもので、これは昔、舟運の船頭たちが使うものだったそうです。昔林業が盛んだった早川町では、山の木を町に出すために、筏を組んで川に流していたそうです。上原さんは、子どもたちに地域の歴史を学んでもらおうと、昔の写真を見せながら話をされていました。

 背景についての話のあとで、わら細工づくりに全員で取りかかりました。足の指にわらをからませながら、編み上げていきます。私はなかなかうまくいきませんでしたが、早川子どもクラブの活動に参加している子どもたちは、上原さんに質問をしながらとても上手に作っていました。

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 11時頃にはわら細工づくりがひと段落し、子どもたちは外に出て遊びはじめました。ある子どもたちは、事前に上原さんが木の上に設置していたハンモックに乗って、持参したマンガを読んだり、辞書でお勉強をしたり、思い思いに過ごしていました。裏山につくられた遊び場で走り回って遊ぶ子もいました。特に制約をせずにこのような自由な時間も大事にして運営されているようでした。

 昼食では、子どもたちが早川子どもクラブの活動で作ったお米を使ってご飯を炊いたものをいただきました。早川子どもクラブの活動のお米はとても美味しかったです。

 昼食後は、鬼ごっこが始まりました。子どもクラブの自由時間の定番の遊びだそうです。大学生も誘われて、参加しました。耕作放棄地と思われるスペースを走り回り、大学生チームは久しぶりの運動で疲れ果ててしまいました。ですが、久しぶりの鬼ごっこでとても楽しむことができました。たまには運動をするのもいいなと思います。自由遊びの時間では、上級生が下級生に配慮する様子が見受けられました。小学5年生の女子2人が遊びを提案して、下級生3人がそれに賛同して時間を過ごしていました。早川子どもクラブの子どもたちの間の上下関係の様子を見ることができました。

 鬼ごっこがひと段落すると、部屋の中に戻り自由に物を作りました。アルミホイルでボールのようなものを作る子もいれば、折り紙で家を作ったりする子もいました。私は、子どもたちと折り紙を一緒に作りました。折り紙をするのは久しぶりだったので、最初は戸惑いましたが楽しく作ることができました。その後みんなで片づけをして全体のプログラムが終了しました。
 
 早川子どもクラブの活動に実際に参加してみて、子どもたちの自由を大切にしていることを感じました。午前中は、プログラムに従って作業を行いますが、午後は自由遊びで制約をかけることはなく時間を過ごしていました。早川子どもクラブでは子どもたちの自由な発想を大切にしていることを、参加していて強く感じました。自由遊びの鬼ごっこは想像以上に大変で、翌日は筋肉痛になりました。当日のプログラムは全体的に楽しめるものでした。

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おわりに

 1年間のゼミを通して、早川の環境・社会について考えることができました。早川子どもクラブの活動の記事を作成する中で、早川子どもクラブの活動が早川の子どもたちに大切な時間を与えていることを知ることができ、上原さんたち上流研スタッフが早川子どもクラブの活動を支えていると強く思いました。早川の地域的特徴を活かした活動をしていて、早川の子どもたちにとって非常に良い経験ができていると思いました。また、早川子どもクラブの活動が今後も継続してほしいと強く思いました。早川の子どもたちが、自分たちの早川を大切にしてほしいと考えました。(担当:小原)

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