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早川町に住む子供たちの生活

はじめに

 私は早川での子供たちの生活について関心を持ちました。早川町は山間部に位置し、複数の集落からなる町です。私は南アルプス市の中でも平坦部に住んでいて、甲府へのアクセスも比較的しやすくなっています。そのため自分の生まれ育った環境と早川町民の生活環境とでは異なる点が多いと考え、その中でも身近な話題である子供の生活に特に関心を寄せました。
私は祖父が早川町出身であるため何度か訪れたことはありますが、親戚以外の町民とは会って話す機会がありませんでした。そのため、早川町民の普段の生活というものもあまり知らず、ゼミ活動によって初めて知ることとなりました。

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学校生活について

 子供たちの生活においてまず重心となるものは、学校生活です。早川町の教育には特色があり、ゼミの調査でのメインテーマともなっています。早川町には早川北小学校と早川南小学校の二つの小学校、そして早川中学校があります。早川町は教育に力を入れており、義務教育費の完全無償化を行っています。これは給食費や教材費などを町が全額負担してくれるものです。早川の教育において一番の特徴と言えるのは、山村留学の制度です。早川町山村留学制度は平成15年度から始まり、早川の自然豊かな環境での子供が学ぶことをサポートするものです。親子留学が基本で、家族で早川町に移住します。
私はこの山村留学の制度は、早川町に定住してもらうための政策だと思っていました。しかし実際は、早川町の豊かな自然で子供たちに学んでもらいたい、という気持ちからなるもので、行政としては義務教育の期間が終われば、帰ってしまうという認識だったそうです。これは日本上流文化圏研究所の上原さんにインタビューをした際に伺いました。定住政策ではなくても、山村留学の制度を使った家族が卒業後も住み続ける選択をすることもあるというので、早川町はそれだけ住民にとって魅力的な町なのだと感じました。また、人口減少対策にも成り得るため、人口が千人を切ってしまった今こそ力を入れていくと良いと思います。

普段の生活について

 学校だけでなく、普段の遊びも子供にとってはとても重要なものです。早川町に行くにあたり、最寄りのスーパーやコンビニがかなり手前の場所に位置していたため、町民たちの生活は不便なのではないか、と感じました。特に私は友達と学校帰りにコンビニによく立ち寄っていたため、そういったことをしたいと思うことはないのかが気になりました。そのため、上原さんにお話を伺った際に、不便なことはないかとお尋ねし、無いと即答されていたことに驚きました。ネット通販があるため生活用品に困ることがないそうで、早川町での生活に慣れれば特に気になることもないそうです。上原さんは元々都会に住んでいたそうですが、住めば都という言葉通り、自分の住んでいる町が一番居心地良くなるのかもしれません。

子どもクラブについて

 子供たちは実際にどう感じているのだろう、と思って子どもクラブの活動に参加させていただいた際に聞いてみましたが、あまり気にしていないようでした。甲府までダンスを習いに行っている子もいましたが、毎週通うのは大変ではないか? と聞いたら、むしろ楽しみにしている、と言っていたので、早川町に住む子は地理的な不満は無いようです。
子どもクラブの活動では子供たちの様子をよく知ることが出来ました。早川町は子供の人数があまり多くありませんが、それを逆に活かし、違う学年の子たちが密接に関わりあう事が出来ます。特に年長の子が下の子の面倒をよく見ている場面が多く、親御さんたちもあまり手を出さず見守っていることも多く見受けられました。しかし、親御さんも積極的に子供たちと一緒に遊ぶ場面もあり、自分の地域に住んでいる大人と比べて積極的な方が多い印象を受けました。

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まとめ

 早川町の子供は、他の地域とは違う環境で育っているからこその利点を十分に活かしているという印象を受けました。私も田舎と呼ばれる地域に住んでいて、個人的には便利なものが多い土地で過ごしたい、と思うことが多くありました。しかし、早川町の子たちは私の短絡的な欲求に蝕まれている現状とは違い、自然が多い環境で体力を付けたり、少人数の中で積極性を身に付けたりしています。関わったのは小学生の子が中心でしたが、とても勉強になりました。
また、そういった子供たちの成育環境を良いものにしているのは地域の大人たちによるものでもあると思いました。上原さんに、自分の子供の頃の生活と今の早川での生活で同じところは何かをお聞きしたところ、寛容さであるとお答えいただきました。この寛容さというものは、近所付き合いが頻繁であり、自分の家ではない子供とも親しくするなどといったことです。都市部では子供の遊ぶ声などを騒音と見なしてしまうこともありますが、早川ではそういったことがありません。昔ながらの寛容さを持ち、相互協力によって生活している早川町は子供の成長に良い影響を与えています。早川町の子供たちの生活について、少し自分の地域にも取り入れられることはないか、考えていきたいと思います。
(担当:藤巻)

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