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【日記】家にいる記録3

【月】
安倍さんの緊急事態宣言延長を聞いた。
空虚。あまりにも空虚。全国民に向けた演説で、どうしてこんなにへらへらできるのか。

かつて貧困が社会問題になっているアジアの国へボランティアに行ったとき、一緒に活動した現地の大学生たちが皆「この国の政治は崩壊してるから」と言った。自分の国をそこまで信頼できなくなるのは悲しいなと、大学生の私はどこか他人事だった。

今、日本の政治こそ崩壊以外に他の適切な言葉がないじゃないか。自分の国をそんな風に思う日が来るなんて想像もしなかった。

【火】
昼過ぎに夫宛ての荷物が届き、それを私が玄関で受け取った。夫に荷物を渡しながら「置き配にしてくれたらよかったのに」と言った瞬間、自分でもびっくりするぐらい急に涙が出た。

朝から夫がテレビ会議をしながら笑っている声が聞こえると、どうしても苛立って仕方なかった。
働いていない、仕事をしていない、何にも属してない自分が何だか耐えられないような気分になった。

生活が変わって、予定がすっかり変わってしまったことは仕方のないことだ。それを受け入れて淡々と過ごそうと思っているのに、時々抱えきれない感情がわっと溢れる。

夜、夫に夕飯は何が食べたいか聞かれて「ポテトチップス」と答えた。夫はアイスと一緒に買ってきてくれた。自分の何もかもが子どもじみていると思った。

【水】
雨の1日。夫に、昨日ほとんど口を聞かなかったことを謝った。

唐突だが、夫は驚くほど傘を綺麗にたたむ。
私がどうせ自分しか使わないからと雑にたたむときに、夫のしわ一つなく丁寧に折りたたまれた傘を見ると何となく気恥ずかしさを感じる。

なぜそんなに傘を綺麗にたためるのか、前に聞いたことがある。
夫は小学生だったとき、自分のたたんだ傘が不格好なのが嫌で一人で折りたたむ練習をしたらしい。

この話を聞いて以来、私は雨の日の度にたたみ方の練習をする少年を想像してしまう。かわいくて愛おしくて、いつも一人で笑ってしまう。

【木】
頻発する地震が怖くてかばんに防災グッズになりそうなものを詰めた。夫と一緒に避難場所になっている小学校まで散歩した。

【金】
夫と10万円あったら何に使おうという話をした。私は新しいスマホとkindle本を読むためのタブレットが欲しい。新しいワンピースを買うのもいい。
生活のことを考えず、ただ自分の欲しいものだけを思い浮かべるのは楽しい。

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