生きる

何年ぶりだろうか。
思い立って映画「生きる」を見た。
1952年の映画である。
主演の志村喬は当時47歳だと言う。

初めてこの映画を観たのは10代だったか、20代だったか。
いずれにしてもだいぶ前の事。
当時は想像もしなかった人生となり、改めてこの映画に引き寄せられた。

役所には縄張りがある。
何もしてはいけないのが役所だ。

今から70年前の映画でその本質を喝破している。
しかし、これらの理屈に青臭く異を唱える事は、映画にもあった様に「センチメンタルが過ぎる」と言うのが、今なお「大人」の理屈であろう。

誰だって波風は立てたくない。
損な役回りはしたくはない。

「まあまあ」と言って、適当にアジ演説をして、一時の団結感を得て一晩寝たら日常に帰っていく。
それが回っているうちは、そりゃみんな、敢えてリスキーな事をする必要はないだろう。

先日、いつも通り悶々とある事を考えていて、ふと、「You do not know Silence like a cancer grows」という一節を思い出した。

Simon & Garfunkel - The Sound Of Silenceである。

静かに、何か良くないものが広がり、放置されていると思う。
「静寂は癌のように広がる」と言う歌詞にある様に。

70年前の映画「生きる」にある様に、一つの特異な「エピソード」で終わるのか、そうでないのか。

その事を、少し考えました。