見出し画像

子どもを望むタイミングで望む数を産める環境づくりを、子育て支援策の基本に――議案に対する質疑から①

昨日(19日)、議案に対する質疑を行いました。
その際、知事提案との関係ではっきりさせておいた方がいいと思ったことを2つ質問しました。
一つは教育政策についてです。
もう一つは少子化対策についてです。
いずれも基本スタンスについて質問しました。
結論から言うと、心配していた懸念は払しょくできたかな、というのが昨日の質疑の到達でした。
それぞれ紹介しますが、まず二つ目の方――少子化の問題について。

私が心配していたのは、「出生率2以上をめざす」という知事が、その目標に固執するあまり、「産めよ増やせよ」にならないかということでした。「世界人口白書」の言葉を引用すると、「人は生殖を強要される生殖装置ではありません」。そうならないためにも、結婚・妊娠・出産のあらゆる段階で自己の決定が尊重されることが必要です。
この点で担当部長が、「性と生殖に関する権利を重視する」とこたえ、産みたい人が産める環境づくりが基本としました。大事な姿勢だと思います。

以下、質疑の議事録を紹介します。
なお、下記の文書は▶Wordのトランスクリプト機能を使い、▶それを修正し、▶チャットGPTに添削してもらったものにさらに修正を加えています。正式なものは、今後、県議会HPに掲載される動画か議事録で確認ください。


〇吉俣議員
「青森県こども未来県民会議」の内容と今後の進め方について伺います。
〇永田県健康福祉部長
「青森県こども未来県民会議」は少子化の要因を分析し、的確な政策を立案、実行し、さらには政策効果を検証することにより、合計特殊出生率2以上に道筋をつける少子化対策「青森モデル」を確立することを目的に設置するものです 。
「青森県こども未来会議」については、できるだけ速やかに開催できるよう、委員の選定や開催方法等につきまして、今後検討を進めてまいります。
〇吉俣議員
合計特殊出生率2以上に道筋をつける、ということでした。 知事の説明の時には「2以上をめざす」ということでしたが、合計特殊出生率を引き上げていくことそのものは大事な課題だと思います。
ただその際、重要な原則がいくつかあると思い、それを国際的な到達から学ぶつもりで世界人口白書を読みました。こういう記述があります。 「低出生率に関する議論の多くから抜け落ちているのは、1人ひとりが自分自身の生殖生活(リプロダクティブ・ライフ)について、実際に何を望んでいるのかという点だ」「問われるべきは、すべての個人とカップルが、持ちたい場合に何人の子どもを持つかを選択する基本的人権を行使できるかどうかだ」。
つまり、女性やカップルがのぞむ子どもの数が、のぞめるときに子どもの数を産めると、この環境を作るところに人口政策の基本があります。
この点は県民会議においても基本に据えるべきだと思います。いかがでしょう?
〇健康福祉部長
リプロダクティブライツにつきましては、「性と生殖に関する権利」と訳されているものでございまして、1994年に国際人口開発会議で提唱された概念でございます。議員ご指摘の通り、子どもを産むか産まないか、いつ何人の子どもを持つのかを自分で決める権利というふうに理解されているところでございます。
青森県といたしましても、リプロダクティブライツを尊重した上で、結婚の素晴らしさを子育ての楽しさなど、特に若い県民の方々に伝わるよう、結婚や子育てしやすい環境づくりに向けた政策を推進して行きたいと考えているところでございます。
〇吉俣議員
リプロダクティブライツ/ヘルツについて尊重するということで、大変大事な答弁だったと思います。
女性やカップルが望む子どもの数が産める環境を作ると、ここに基本があるというこということも確認できると思います。
そうするとその場合、この合計特殊出生率2以上という数字が問題で、「2」というのは多分人口置換水準2.07のことだと思います。この人口置換水準に基づいて、既婚・未婚の割合や希望する子どもの数などを勘案し、政府が出した数字があります。希望出生率1.8です。この数字が妥当かどうかということについては議論があります。ただ、ともかく、希望する子どもの数と言うところから出発して1.8という数字になっています。 ところが今回は、この1.8ではなく2を採用した。その理由をお聞きします。
〇健康福祉部長
議員ご指摘の通り、お子様を持つ数というものには、そういった希望出生数あるいは完結出生児数、あるいは今回お示しをさせていただく合計特殊出生率などなどたくさんございます。今回はそのうちの一つであるところの合計特殊出生率というところでありまして、それ以上特段、その何らかの背景があって、特にそれのみを目指しているというわけではございません。様々な事情、さまざまな数を見ながら、色々と議論して行きたいというふうに考えております。
〇吉俣議員
 1.8が適切かどうかみたいなことではなくて、数字を出す以上は、なぜその数字を出したのかという意味が必要だと思います。 あるいは2.07いうのは人口置換水準ですから、いわば人口の都合から見た場合にそれが必要だと――「人口」というより、子どもが生まれる数から考えた場合に出てくる数字なわけですが、その2.07を基準にして、子どもを産みたい方、あるいは結婚したい方、そういった数を全て含めて1.8という希望出生率ということが出ています。 数字を出すというなら、その数字が何を意味するのか、そういうことをしっかり見てやってほしいと思います。
数字を入れる、というなら、希望する子こどもが産める環境づくりを目標にした上で、その目標を込めた数字にすべきだということを指摘しておきたいと思います。
知事は一般質問に対する答弁で、合計特殊出生率を早期に上昇のトレンドに載せたいとおっしゃいました。早期というのは4年の任期内と言うことでおっしゃったと思うんです。これはメディアも大きく報じました。
私はこの答弁を聞いた時、まあ、なんというか、「浮ついていないな」「地に足をつけているな」とは思いました。まず上昇を目指す、というのは当然ですから。 同時に、今の県の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」でも2024年度――つまり来年度までに出生率をあげると言うふうになっています。それは1.43を上回るということを目標にしています。だから、「いまよりも上回る」ということだけでみると、今と何が違うんだろうなと、というふうに思いました。
ただ、これまでと明確に違いが分かるのは、「子育て費用の段階的な無償化」が入ったことです。これは意味も大きいし歓迎します。
これまで私自身も、医療費や給食費など子育てにかかる費用を軽減・無償化させる必要性を訴えてきました。県の調査(「子ども・子育てに関する調査」)も紹介し、理想とする子どもの数は2.60人。 予定する子どもの数は2.33人だと――これは、子どもを持つ親のみを対象とした場合の調査で、合計特殊出生率とは数字が違いますが、理想とするのは2.60、持ちたいのは2.33だが実際の出生率は1.5を割り込みます。その要因も、教育費の負担の問題と育児の費用負担の二つが挙げられているということを指摘したこともあります。
子育て費用の無償化を段階的であっても直ちに着手すべきだと思います。 お聞きします。 子育て費用の段階的な無償化に向け、県はどのように取り組んでいくでしょうか?
〇健康福祉部長
県では、子どもの医療費や保育料、おむつ代、給食費等といった子育て費用の段階的無償化にあっては、今後、設置する青森県こども未来県民会議などから意見をうかがうなどして、市町村と連携しながら、改めて検討して参りたいというふうに考えております。
〇吉俣議員
昨年、兵庫県明石市に視察に行き、子育て支援の5つの無料化――医療費、第2子以降の保育料、学校給食費、子ども広場など公共施設の利用料、0歳児のおむつなど育児グッズの無償化――という取り組みを学んできました。 オムツの無料化というのは本当に大事で、むつ市でやられたということがありますが、本当に大事で、明石市の場合は、毎月育児支援員がグッズをお届けし、子育てを見守るというアウトリーチの手法が取られています。
(明石市で)担当者の方がおっしゃっていたのが財源のことで、それぞれ大事な施策だということとともに、いずれ国がやらざるを得なくなる、人も増え、税収も増え、財源は後からついてくるというのが市長の信念だったと紹介されました。 こうした姿勢に学び、子育て費用の無償化へ、スピード感を持って取り組んでほしいと思います。
ひとこと要望を言います。
先ほど部長から、リプロダクティブヘルス/ライツの話がありました。
私は子育て支援を県政のど真ん中に置くべきだと思います。これは子どもたちに優しいまちは、あらゆる世代に優しい街になると思うからです。
その上で、結婚しない、あるいは子どもを産まないという選択をする方々の意思も尊重する必要があります。
結婚しない選択をする、そういう方々も含め、みんなが大事にされる(ようにする)。そのことが結果として出生率の向上――県の魅力にもなり、出生率の向上にもつながり、その意味も出てくるという風に思います。 この点を指摘しておきたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?