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青森県の来年度予算について――積極的部分を評価しつつ反対した理由と学校給食無償化事業について

青森県議会は今日、閉会日。
私は日本共産党県議団を代表し、一部反対討論を行いました。

今回の予算案には、学校給食無償化の事業をはじめ、前向きな事業が少なからず含まれています。党県議団では、賛成することも含めて、賛否について真剣な討議を行いました。
討議の結果、「それでも譲ることができないことがある」「原発・核燃依存を深めている点が最大の問題だ」という結論にいたり予算には反対しました。
次のように討論しました。

本予算の事業には積極的なものが少なくありません。
医療的ケア児の通学支援の仕組み構築や特別支援学校への看護職員の配置拡充、断熱・機密性能を備えた住宅の新築・リフォームへの支援は私自身も繰り返し問題提起をしてきたつもりのものですし、医師・看護師の就学資金の拡充、太陽光発電整備等の導入支援や不妊治療費助成も画期的です。そして、全県的な規模で、特別支援学校や私学を含めたすべての小中学生の学校給食費を無償化する「学校給食費無償化等子育て支援事業費」の意義は極めて大きいと思います。
それでもなお本予算案に反対するのは、どうしても譲れないことがあるからです。
最大の問題は、原発・核燃依存です。
核燃料物質等取扱税の税率引き上げが反映され、依存度が高まりました。
一方、核燃料物質等取扱税交付金は、立地・周辺自治体への交付額を増やすとともに、立地・周辺以外の自治体に対しては、従来は、むつ小川原地域・振興財団を通じて助成していたものを、内容がほとんど変わらないのに核燃料物質等取扱税交付金に衣替えをして増額する措置をとりました。
税収の依存度という点でも、市町村への交付のあり方という点でも、核燃料物質を取り扱えば取り扱うほど恩恵があるように見える、という性格を強めた本予算は、原発・核燃への依存を強め、この政策の硬直化を招いてしまいます。
いったん事故が起これば地域を丸ごと失う原発・核燃の異質の危険性を軽く見ていた福島原発事故以前の政治姿勢――旧時代とも言うべき政治姿勢に立つべきではありません。原発・核燃推進を前提とし、依存度を高めた本予算には反対します。

学校給食無償化の事業そのものについては、「極めて前向きだけど改善点もある」という立場から論じました。
学校給食費無償化だけでなく、そのほかの子育て費用の無償化にも進もう、というこの制度の問題意識も、極めて大事だと考えました。
だけど、改善点はあります。
このあたりのバランスをどう表現するか、考えました。
”全然だめだ”と一刀両断にするものではないし、
しかし、“ここを改善しろ”というだけでは物足りないし…
と考え、制度の問題意識を積極的にとらえ、実らせるために、どういうことが必要か――次のように提起しました。

もう一点、「学校給食費無償化等子育て支援事業費」についてです。
この事業について知事が、二段階で――すなわち、第一段階が学校給食費無償化、第二段階でそれ以外の子育て費用の無償化に分けて説明したことが分かりやすかったので、援用させていただきます。

冒頭に述べたように、学校給食費の無償化のための県事業がはじまることを歓迎します。またこの事業が、第一段階にとどまらず第二段階をも見据えて設計されたことも前向きだと考えます。ただこの二つの段階をどうつなぎ合わせるかをめぐり、いくつかの不公平感を生んでいると感じます。
一つは、第一段階のなかに、県の交付金を使える市町村と使えない市町村という区別ができてしまうこと。
二つは、第一段階と第二段階の間に交付率の差があるため、第二段階が8割という高い交付率であるにも関わらず、十割交付となる第一段階と比較して不公平感が生まれること。
三つは、第二段階をもいっぱいいっぱい行っている市町村にとっては、準備された交付金を使い切るだけのメニューが残っておらず、結果として、交付金が十分に生かされない可能性があること。
四つは、これらすべてが、さまざまな子育て支援メニューのなかでも学校給食費無償化に先行してとりくんできた市町村ほど不利に働くこと。
知事がいうように、交付金の算定自体は公平なものですが、問題は、実際に交付される時に生まれるこうした不公平感です。しかもその不公平感は、年を増すごとに積みあがっていきます。
解決の道は、すでに学校給食費無償化にとりくんでいる自治体にも、市町村交付金を充てられるように制度改正を行うことです。あるいは、二段階論をやめ、学校給食無償化も既存制度もすべて含めてあらゆる子育て無償化のために使える交付金とすることです。市町村交付金の改善を強く求めます。

おそらく県は、第一段階が終わった自治体にも給食費分の交付金を入れると、浮いた分が第二段階に回る保証がないことを心配しているんだと思います。
私はこの点を、県民の世論と運動で乗り越えることを提案します。
この市町村交付金は改善が必要だとしても、県下全市町村で子育て無償化をひろげる追い風になることは間違いありません。この追い風を県民とともに全県に響かせ、すべての市町村で第二段階の高いところまで子育て無償化を実施するための大きな世論がひろがるように、私自身も力を尽くす決意を述べ、一部反対討論とします。

「改善点はあるけど、県内で子育て無償化を大きくひろげる追い風になる」――というのは実感です。
追い風にするために、県民の世論と運動をひろげ、市町村にも国にも迫っていく必要があります。もちろん県自身もさらに努力が必要でしょう。
私自身、そのためにがんばりたい、という一部反対討論をしました。


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