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県政報告――宮下知事のもとで県議会がはじまった状況をふまえて

青森市内で、高橋ちづ子衆議院議員を迎えた演説会が開催されました。
ちづ子さんの話は、マイナンバー、大軍拡と財源、LGBT、優勢保護法など、国会論戦を踏まえながら、日本共産党の役割と、日本共産党自身が自己変革を遂げてきたことなどを縦横に語るものでした。
この機会に、知事・市長が新しくなったもとでの県議会・市議会報告を行い、県議会については私が、市議会については赤平市議が報告しました。

県議会は、一般質問が終わった段階です。
日本共産党からは安藤はるみ代表が質問しました。
宮下知事に対して――三村さんの時もそうでしたが――最初から「いい」とか「悪い」とか前提をもたず、一つひとつ出される議案、姿勢などを吟味して、県民の立場で賛否を考えるというのが基本姿勢です。
そのあたりのことも話しました。
私の議会報告の原稿を紹介します。
一部、19日の質疑でとりあげたいこともしゃべりました。

みなさん、こんにちは。ご紹介いただきました、県会議員の吉俣です。
 
まず最初に、4月の県議選で再選を果たすことができました。
再選後、三村知事のもとで臨時議会が開催され、物価高騰対策やキックボードの規制緩和のことなど質疑を行いました。また、宮下知事のもとで、教育長人事について質疑を行い、来週はその他の議案での質疑を予定しています。常任委員会は商工労働観光エネルギー委員会に所属し、毎月の委員会での質問を続けています。
一般質問は、党議員団代表の安藤県議が行いました。
 
県政も県議会もまだ、「宮下カラー」を強く感じる状況ではありません。宮下さんが知事に就任してから一ヶ月もたっていませんので、これはやむを得ないと思います。
その段階でも、県議会のなかにはすぐに与党入り宣言をした会派もありますが、日本共産党県議団は、宮下さんに対する評価の前提をおかず、出される議案や態度・姿勢の一つひとつを具体的に見極めたうえで、県民の利益にそったものであればさらに前に進める論戦を行う、逆に「新時代」の名のもとで古い政治が顔を出すようであれば、徹底的に対決するという立場で挑みます。
 
2つのことを報告します。
ひとつは、「新時代」とは何か、ということです。
知事は議案提案理由説明で次のように説明しました。
「知事が県民一人一人に直接向き合う時代」
「県民お1人お1人の意見が県政を大きく動かす可能性のある時代」
「県民による県民のための県政、県民が主役になる県政」
県民一人ひとりの声を大事にするというのが自己規定であり、これが貫けるなら、それは県政にとって大きな一歩となると思います。
注目したのは、知事がなぜそういう県政が必要だと考えたのか、ということです。
それは、「政治を変えたい」という県民の願いの強さにあります。
知事自身が、「青森や日本を覆うこの閉塞感を打破してほしいと願い、変化を望む多くの県民のみなさんから付託をいただいた」と述べました。「これまで光が当たらなかったところにも光をあてる県政にしたい」とも言っています。
たしかにいま、閉塞状況が生まれています。それは自民党政治が生み出した閉塞感に他なりません。宮下知事が、この閉塞感にどう風穴を開けるのか、具体的なものはこれから分かってくると思いますが、日本の政治全体をみれば、「大企業中心」「アメリカいいなり」の政治が閉塞状況をつくりだしてきたことは明白です。変革の党の本家本元の政党として、日本と青森の政治をかえる希望を語り、県民とともに切り開く役割を果たしていく決意です。
 
もう一つ言いたいのは、こうした基本姿勢がどう具体化されるのか、はまだ分からない、ということです。
いまのところ、子ども医療費や学校給食の無償化についての当局の答弁は、従来とまったく同じ――つまり一歩もすすまないというものです。また高校再編計画をどう見直すのか、原発・核燃政策をどうするのかなどでも、答弁は従来と同じです。
そのなかでも気がかりな部分もあります。
例えば教育です。
教育について知事は、参与を新たに設置し、教育施策全般にわたってアドバイスしてもらう、としています。この分野に知事の強い意欲があるのはいいんですが、これが教育の自立性を損なうのであれば話は違ってきます。
知事は就任前のインタビューで、総合教育会議に諮問機関をつくり県教委に対するチェック機能を持たせるとか、「私自身が教育行政の担い手の一人として関与する」と語りました。これは行き過ぎです。
首長と教育委員会の間には、「首長からの独立」という大事なルールがあります。それは、子どもたちを戦争に送ってしまった戦前の反省からつくられたものです。文部科学省のHPにも、教育委員会制度の特性は首長からの独立で、その意義の一つは政治的中立性の確保にある、と説明されています。「次世代における我が国の公正な民主主義の維持にかかわる問題」という解説です。教育委員会制度は、安倍政権のもとで廃止の危機に直面しましたが、党派を超えた共同がひろがり、制度改悪はありましたが、制度そのものは守られました。
教育委員会を飛び越えて知事がさまざまモノを言うことは、民主主義を損なうものとして許されません。
私はこの点、一般質問での知事の答弁を注意深く聞きました。就任前の発言から軌道修正があり、現在は、決まったルールを通じて教育委員会とともに教育をよくしていくという感じになっています。私自身も教育長任命について、政治的中立をどう考えているのか質問しました。「極めて重要」と答えました。これはまっとうな答弁でした。
他にも心配なことがいくつかあります。
日本国憲法についての認識は、安藤県議が質問しました。こちらも、憲法を守り尊重するという趣旨の答弁がありました。憲法99条の規定にそった答弁で、これも当然の答弁だったと思います。
原発・核燃については、従来の答弁の枠内にとどまっており、三村県政と比べて推進姿勢が際立っているわけではありません。
出生率2以上をめざす「青森モデル」の構築、ということも言われました。合計特殊出生率を引き上げていくことは必要な課題ですが、これが「産めよ増やせよ」になってはいけません。いま世界の人口政策のスタンダードは、結婚・出産・育児にかかわるすべての段階で一人ひとりの自己決定権と健康を大事にする、というものです。リプロダクティブヘルス/ライツ(「性と生殖に関する健康/権利」)といいますが、これを据えてこそ、出生率の向上にも結び付くし、その意味も出てきます。この点は、19日の質疑で聞く予定です。
宮下さんであってもなくても、知事を手放しに礼賛するのは危険です。もとより日本共産党はこうした姿勢には立ちませんし、議会全体がそうなっているわけでもありません。それでもなお、青森の民主主義を損なう危険な兆候については、これをしっかり監視し許さない党ならではの論戦をしていきたいと思います。
 
以上で私の報告を終えますが、宮下知事は教育で課題だと思っていることとして、教員の働き方や教員不足、医療的ケア児への支援体制などをあげます。一般質問では自民党議員が夜間中学の設置を求める質問をしました。いずれも私自身が一期目のときに取り上げてきた課題です。再び県議会に送っていただいたことを力に、さらに県民の要求実現へとがんばりぬく決意を述べて、報告とします。

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