感じざるをえない違和感。
9/5 9時ごろ、京都地方裁判所の前を通った。周辺には、見たことないくらい大勢の報道陣が待機していた。機械のチェックや仕事の流れの確認もひとしきり終わり、まだかまだかといった雰囲気を醸し出している。
警察の皆さんも同じく待機。周辺を周回するパトカー、空にはバタバタとヘリコプター。皇族の方が御所に入るときよりも警備が大袈裟のように感じる。
これから、京アニ放火事件の裁判が開始される。
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事件は2019年。もう4年も前か。
アニメに詳しいわけではないが、京アニは知ってた。「けいおん!」で存在を知り、京都の六地蔵にこんな素敵な会社があるのかと京都人として誇らしい気持ちになった。
その京アニ本社が襲撃された。
36名が亡くなった大惨事。
ショックだった。
周辺に住んでる知り合いが心配になりLINEした。
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9/5付け京都新聞朝刊の記事によると
青葉被告。
体の90パーセントは重度の火傷。
今日明日死んでもおかしくない状況。
にもかかわらず、生き残った。
焼けずに残ったわずかな皮膚細胞を培養して、シート状の表皮を作って移植する。
10回以上の手術を経ての救命。
1ヶ月後、意識を取り戻した青葉被告。会話ができるようになると、主治医の上田医師は朝夕に言葉を交わしたという。
上田医師いわく、青葉被告から感じていたのは「絶望や孤独のようなもの」だったらしい。家族のことが話題にあがることは一度もなかったという。
ただ、声を出せるようになったとき、青葉被告は泣きながら医療スタッフに感謝を伝えたという。価値観や考え方に変化があったかを尋ねると、変わらざるをえない、と答えたという。
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青葉被告には、事件と遺族に真摯に向き合う必要がある。真相を正直に包み隠さず話してほしい。なぜあのような惨劇が起こってしまったのかを裁判で明らかにしてほしい。
ただ、個人的に心がモゾモゾするというか、なんともいえない行き場のわからない気持ち悪さを感じてしまう。
大事件を引き起こして、生き残った現在の青葉被告には、事件を起こす前の彼にはなかった「使命」が与えられたような気がしてならない。
ある意味、今の彼にとっての生きる目的であり、事件以前の彼には持ちえなかった社会に対して大きな責任が発生したように思える。
これは、自分の意見であり、想像にしかすぎない。しかし、事件前の彼は、人生にヤケクソだったような気がしてならない。
逆恨みで京アニに現れて、急にガソリンばら撒いて火をつけて、他人を道連れにするなんて発想、無責任の極み、断じて許されることではない。
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おそらく、死刑になるだろう。極刑になるだろう。個人的な意見としても、そうしてほしいし、そうならなければいけないと思っている。
しかし、ここで違和感を感じてしまう。
彼が裁判で正直に話し、遺族と真摯に向き合い、刑が執行されることで、救われるのは、被害者や遺族ではなく、青葉被告のような気がするのだ。
事件前まで生きてきた人生よりも事件後の人生の方が人間らしく、少なくとも被告にとっては、いい人生のような気がしてならない。
こんなんあかん。
罪を償うって、いったいなんなのだろう。
行き場のないもどかしさを感じる。
柄にもなくそんなことを考えてしまった。
・こぼれ話
もし、気分を害された方おられましたらすみません。けど、裁判所の前を通り、朝刊の記事を読み、感じた違和感をどうしても書き残したくてnoteを書きました。
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執筆したのは9/5。
投稿は、9/29。
地元の京都新聞には、毎日、裁判の詳細が記事になってます。生々しい証言の数々に心を傷めずにはいられません。いくら被告人が話をしても、もう返ってこない命があるという事実になんとももどかしい気持ちになります。
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