見出し画像

Fujii Kaze "Free live"感想文(後編)

前編はこちらから

前編を読んでくださったみなさま、あたたかいリアクションをありがとうございました(T_T) めちゃくちゃ励みになりました!後編も長いですがどうぞお付き合いください。

後編には、藤井風アプリに掲載されている、ワイルドダンディーマネージャーことずっずさんによるstaff diaryのネタが何度か出てきます。ご存知ない方がいらっしゃいましたら、これを機にアプリをダウンロードしてみてはいかがでしょうか。(さあ、「藤井風 アプリ」で検索!)

死ぬのがいいわの余韻に浸る中、始まったのは武道館ライブのオープニングでストリングスのオケと共に演奏されたピアノソロ。もはやこれを聴くと自動的に涙が出てくる体になっている私。キラキラとした演奏が徐々に力強くなり、高揚感がピークに達したところで、風くんが突然ピアノから手を離す。

「みんな深呼吸しよか」

そう言って立ち上がり、四方に向かってゆっくり深呼吸をする。4度目の深呼吸で、両手を広げて大きく息を吸い込んだ後、ストンと椅子に座ると同時にイントロが始まる。まるでピアノが息を吹き込まれたかのように。

帰ろう

ささやくような優しい声で歌い始める。サビ前、「大間違い先は長い」のあと、助走をつけるように息継ぎをして、少しテンポを落とした「忘れないから~」に続く「あぁ~すべて忘れて帰ろう」の解放感…。風くんの歌声にリードされて、心が解放されていく。

2番に入ると、ピアノの伴奏が一気にリズミカルになる。細かく刻まれるビートとグルーヴィーな歌唱に、思わず体が揺れる。「最後くらい」「何ひとつ」の語尾の力の抜き方がたまらなく好きだ。

画像4

「少し背中が軽くなった」で、背中を映す神カメラワーク。白いTシャツを着た背中が、折り畳まれた天使の羽みたいに見える…

画像4

この表情が好き、帰ろう編。「あぁ今日からどう生きてこう…」

「帰ろう」が終わると、立ち上がり、MCが始まる。

「ホンマは晴れじゃったら、寝そべり配信ということで…」と語りだす。え?寝そべり配信とは聞いてないような…staff diaryでずっずさんが「リアルねそべりライブ、実際には寝そべりませんが。おそらく。。」とは言ってたけど…。今回初めて風くんの配信ライブを観た人は戸惑ったのではなかろうか。風くんがよく寝そべる人だって知ってる人、どれくらいいたのかな(笑)というか、この状況で寝そべったらかなり面白い画になるよな…なんて思っていたら…

「雨でも寝そべります」
"come rain or come shine, I do whatever I want."
(雨でも晴れでも、やりたいことやります)

と言って、本当に、寝そべった…!!!
思わずソファーから身を乗り出して、「あの子寝そべったわ!!」って叫びそうになったよ!魔女の宅急便で、トンボを助けるためにデッキブラシで空を飛ぶキキの映像がテレビに映るのを見て「あの子飛んだわ!!!」って叫ぶオソノさんのテンションで!!(突然の魔女宅ネタすみません大好きなんです…)

十数万人が観ている生配信で、広いスタジアムのど真ん中で、芝生の上にゴロンするなんて…自然体にもほどがあるアゲイン!あぁでもなんだか嬉しい…それがいつもの配信部屋でも、日産スタジアムのような大舞台でも、変わらない姿を見せてくれるんだな…それでこそ藤井風だな…!!好きだな!!!

「疲れてませんか?」
「この世には疲れることや窮屈なこといっぱいあるけど、休んでええんやで」

疲れてませんかはこっちのセリフですけど(T T)ああでもそうだった…風くんはいつも私たちに寄り添い、労ってくれる…ライブの時も、「立ちっぱなしで疲れませんか?座りたかったらあの…ご自由に…」とか言ってくれる人なんだった…。

そして「一緒に昼寝しましょマジで」と言って、目を閉じる。

画像1

お昼寝時間、結構長くてちょっとハラハラした…

「たまには目を閉じて自然感じて、でっかいもんと繋がる時間をとってください」

そういえば最近、目を閉じて自然を感じる時間取ってないな~と気付く。未来への不安に飲み込まれそうになることの多いこの時代に、肩の力を抜いて、今この瞬間をしっかりと感じることの大切さを、風くんはいつも思い出させてくれる。

青春病

「神様がくれた名曲」と紹介して始まる「青春病」。爽やかなイントロに乗って、まるで会場を吹き抜ける風のように、ドローンの映像が茶色のトラックから芝生の上を駆け抜ける。ドローンはそのまま日産スタジアムの中を大きく旋回し、近づいたり離れたりしながら、様々な角度からピアノと風くんを映し出す。ドローンが近づいてくると、カメラのほうを向いて楽しそうな笑顔を見せる風くん。

ピアノアレンジは、今年3月に行われたスペシャアワードで披露された弾き語りを思い出させる。ピアノ一本とは思えないほどの豊かな音とグルーヴ感。後日出演したラジオで、弾き語りの時は「原曲が持つにぎやかさを損ないたくない」「(原曲の)バンドの音をピアノに全部詰め込んでいる」と語っていた(注1)が、まさにそれを感じられる演奏だ。

エモーショナルなアウトロが鳴る中、ドローンが空を高く上り、スタジアムの外の風景を映し出す。風くんの奏でる音楽が、スタジアムを超え空を超え、たくさんの人に届いていく様子が目に浮かぶようだ。

旅路

「人生にはいろいろあるけど」「起こることにはすべて意味がある」「わしらはこの宇宙という大学の生徒」など、旅路の歌詞を含んだMCの後、イントロのコードを一音ずつ押さえながら、英語のMCが続く。
"I love you."
"Everything happens for reasons. So don't be afraid my friends."
(起こることにはすべて意味があるから、友よ、怖がらないで)
ピアノを弾きながら、穏やかな口調で語る風くん。教会で説教をする牧師さんのようだ。ゴスペル隊のコーラスが始まりそうな雰囲気。まるで礼拝を観ているよう。

"It's called Tabiji"
そうつぶやいて、お馴染みのイントロが始まる。

全体的に、今年3月に放送された報道ステーションでの弾き語りを思い出すアレンジ。

この時も、旅路リリース日の出演にもかかわらず宣伝は一切なく、コロナ禍で通常の学生生活を送ることのできなかった卒業生たちに「この曲で優しいパワーを持ってもらえたらいい」と語り、弾き語りを披露したのでした…。どんなときも、動機は愛しかないんだよなぁ(T T)

1番Aメロの、幼い子供に語り掛けるような、柔らかい歌声が耳に心地よい。低音パートの、深みのある慈愛に満ちた歌声に心が震える。「もう大丈夫」の安心感よ…!「この宇宙が教室なら」の「ら」の声の響きも素晴らしい。心をまるごと包み込まれるような感覚になる。

間奏から2番Aメロの、大胆なピアノアレンジとソウルフルな歌唱が胸に響く。ラスサビはピアノの打鍵も歌声もより一層力強くなり、盛り上がりがピークに達する。エモーショナルな演奏に涙が溢れてくる(「あなたに返すだろう」の「だろう」の前の一瞬のタメが特にエモい!)。

今年の1月にホールツアーで初めて旅路を聴いたとき、この先きっと色んなことがあるけど、風くんのペースで長い旅路を歩んでいってほしいと願ったことを思い出す。振り返れば激動の9か月間だった。戸惑うことや落ち込むこともたくさんあったのではないかと想像する。でも「色々あるけど、いつの間にかこの日さえも懐かしんで、すべてを笑うだろう、すべてを愛すだろう」と思えるのならば、きっとこれからも大丈夫だろう。旅路はいつも、この気持ちを思い出させてくれる。

「もう大丈夫、旅路は続く。」私もこの言葉に力をもらいながら、風くんの音楽と共に、この先の人生を歩いていきたいと思う。

何なんw

旅路の冒頭で風くんが「最後の曲かもしれません」って言った時から、次に何なんwが来ることが分かっちゃった私は藤井風検定何級ですか?

風くんが目を閉じて、低い音でハミングを始める。こ、これは!オームだ!!!これがオームだってすぐに気づいた私は藤井風検定何級でしょうか!?(何のことかワカラン!という人は今すぐ3/30のstaff diary 「その頃の風さん、21歳」へGO!)オームを何度か繰り返しながら、駆け上がるようなピアノが鳴り、”Na!"が来る!…のかと思いきや、ピアノの伴奏のみ。ここでArtist on the Riseの動画を思い出した私は藤井風検定何きゅ(しつこい)

一番最初に、実家のピアノで何なんwのイントロを弾く風くんが出てくる。このイントロにご注目!

再びピアノの底を叩きながらリズムを取り、ゆる~いラップでクラップをうながっす(韻踏んでみた)
"clap your hands, clap your hands, clap your hands everybody.
 that's the end, that's the end, that's the end of this party"
脱力感がめちゃくちゃかっこいい!ライブを"party”と呼ぶのもなんかイイ!

「みんなの中のヒーローに捧げる、ゴスペルみたいな曲かな」「知っとったら歌ってください」のMCから、"ey one, two, three, go" のカウントの後(このカウントも好き!風くんのカウント大好き!!)イントロに入る。でも、またしても風くんは歌わない。口は"Na!"の形に開いてるのに。みんなの歌聞いとるで~ってことだったのかな。そしてその後、いつもなら「んーチッ」って言うところが、「んっチッ」になってる!これはたまらん!たった一瞬の「んっ」に、こんなにも心を奪われるって何なんw!まだ歌い始めてないのにこんなに興奮してる私何なんw!!

軽快なスタッカートに心がウキウキしてくる。踊るようなピアノと、楽しそうな歌声。いつもの生配信の何なんwのような、ちょっとやんちゃで、肩の力の抜けた歌い方。リラックスして演奏を楽しんでいるのが伝わってくる。

「何なんw」の変顔も振り切ってる!世界よ、これが藤井風の変顔だ!!!となぜか私がドヤりたくなる(笑)

「裏切りのブルース」の巻き舌も冴えまくっている。そしてバラベレンべべレベレンべベレンババランバ後の「何なんw」が、もはや歌じゃなくて、セリフみたいになってる…!「もぉ~何なんっ!」って心の底から言ってるような…今まで無視され続けてきたみんなのハイヤーセルフが集結しちゃった感じ!?

武道館でもハートを射抜かれた「何なぁん、ハッ」。フリーライブでは、この「ハッ」が、よりリアルな笑い声になってる。何なんwの、草生えてる部分が見事に表現されている!風くんがカバー動画などで時々出す笑い声にめっぽう弱い私…(LizzoのJuiceやStevie WonderのSir Dukeのカバー動画で見られます)今回も心臓ぶち抜かれた!!

武道館何なんwはこちら。後半の「っなーんなぁん、ハッ」にご注目!「な」が裏拍で始まるところも好きポイントのひとつ。

なんなん、なんなあん、なんなーあああーああーああああの歌いまわしがブルージーなのも良い!

最後は、ジャンピングピアノとはいかずとも、立ち上がって中腰でアウトロを熱演。エンドロールが流れ始める。終わってしまう…このアウトロを、このピアノを永遠に聴いていられたらいいのに!!

しかし、来んと思った時はすぐに来てしまう…。
「観てくれて、来てくれて、そしていてくれてありがとう。みんな元気で。God bless you all. God bless us.」丁寧なお辞儀と優しい笑顔で、ライブが幕を閉じる。

なんて贅沢な時間だったのだろう。風くんの原点である、ピアノ弾き語りの魅力を存分に味わうことのできた今回のライブ。かつてはひとりでコツコツとYouTubeにアップロードしてきたピアノ弾き語りが、愛が結集したプロフェッショナル達の手によって最高の形で世界中に届けられたことに胸が熱くなる。そして観る人や関わる人たちの数が増えても、風くんは昔と変わらず、心から楽しそうに、ピアノと戯れ歌う姿を見せてくれた。(過去のYouTube動画と同じ顔してるな、と思う瞬間もたくさんあった)私はそれが何より嬉しい。

雨が降ったことも、最初に思い描いていたイメージとは違ったけれど、結果的には最高の演出になったように思う。鍵盤の上や毛先に留まった雨粒や、マイクから雨のしずくが滴り落ちる様子はとても美しく、雨音も演奏に神秘的な響きを加えていた。

そして何より、ライブの翌日に配信されたドキュメンタリーの最後に、風くんが言った「土砂降りの中ピアノ弾けることがまずすごい自由。雨の中やるっていうの、自由っすよ」という言葉に、目から鱗が落ちた。

ピアノを弾くうえでは、どう考えても悪条件になりうる雨という要素を、むしろ楽しんで受け入れて、自由を感じながら演奏していたなんて…。

「自分の音楽で、誰かがちょっといい気分になったら嬉しい」
「このライブを通じて、みんなが自由な気持ちになってくれたら…」
風くんが願うことは、風くん自身が体現していること。だからこんなにも心を動かされるのだと改めて思う。

風くんがこれからも、自由に楽しく音楽活動を続けていけることを願ってやまない。同じ時代に生きて、その活動を見守っていけることがとても嬉しい。そしてこれからもたくさんの人たちに、風くんの生み出す素晴らしい音楽との出会いがありますように…。

最後に。Free Liveの実現に関わった全ての人たちに心からの感謝を。素晴らしい時間を、ありがとうございました!!!

(画像は全て"Free" Live アーカイブより引用)

(注:1)ROCK KIDS 802 OCHIKEN Goes ON!!より引用(2021年9月9日放送)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?