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Fujii Kaze "Free live"感想文(前編)

もう何度アーカイブを観ただろう。ラジオ音源を聴いただろう。ライブが終わってもうすぐ2週間。毎日毎日暇さえあればFujii Kaze "Free" Live 2021 at NISSAN stadium(以下フリーライブ)を観ている&聴いている。


ずっとこういうライブを待ち望んでいた。これまでの生配信のような、床に座り込んでor寝そべって好きな曲を思いつくままにゆる~く演奏するようなライブも好きだけれど、いつかグランドピアノで本気の弾き語りをする姿を配信してほしいとずっと願っていた。もちろん有料で。やっとその願いが叶う時が来た…でもまさか日産スタジアムのような広い会場で、しかも無料での開催になろうとは、全く予想していなかった(いや予想できるはずない…いつも想像の遥か斜め上を行くチーム風よ…)

コロナ禍で窮屈な思いをしている人々に、"free"=自由な気持ちになって欲しいという願いを込めて開催された今回の"free"=無料配信ライブ。特設サイトに綴られたライブのコンセプトやチーム風の熱い想いを知ってからは、何としても無事に開催できるようにと祈り続ける日々を過ごした。感染拡大の影響で有観客での開催を断念することになり、天気もどう転ぶか分からないような状況の中、それでもこのライブを開催すると決断してくれたチーム風への感謝は尽きない。広いスタジアムでひとり、観客からの拍手も歓声もない中、時には雨に打たれながら、風くんは最高のパフォーマンスで私たちを楽しませ、心を自由にしてくれた。

弾き語りならではのアレンジやアドリブの数々、心を癒し元気付けてくれる最高のセットリスト、そして天気がよくなることをギリギリまで祈り続けた日々も含めて、私にとってかけがえのない、大切なライブの思い出がまたひとつ増えた。この有り余る感動を文章に書き残しておきたくて、久々にnoteを更新することにした。(実際の感動の半分くらいしか表現できない気がするけれど…あぁ神様語彙力をちょうだい(涙))

オープニング

日本最大のスタジアムで、無観客で、ピアノ弾き語り。一体どんな画になるのかと想像を膨らませてみるも、前代未聞でなかなかイメージが湧かない。そして迎えた当日、配信開始と同時にモノクロで映し出された広いスタジアムの中心には、ピアノが一台小さくぽつんと映っている。さすがに小さなステージくらいは用意されているものだと思っていた。雨が降るかもしれないので、当然屋根も用意されていると思っていた。ところがふたを開けてみると、告知の通り、芝生の上にピアノと藤井風のみというシンプルすぎるスタイル。雨が降って来たらどうするんだろう…という不安をよそに、ピアノの演奏が始まる。

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夏の香り

罪の香りをバラードにアレンジして弾いているのだと思っていたけれど、のちにこれが夏の香りとして演奏されていたことを知る。夏の香りといえば、あけおめ配信。

(31:10の辺り、罪の香りが元々は夏の香りという曲だったという裏話が初めて明かされたこの日。同じメロディーでも、罪と夏とでは全然雰囲気が違う。どんな過程で夏から罪に変わったのか未だに気になっている…。)

爽やかなピアノの音色が、徐々にドラマチックになりスタジアムに広がっていくにつれ、最初の画を観たときに感じた心細さが徐々に消えていく。後半は力強く、物語の始まりを予感させるメロディーに。ミュージカルや演劇のオープニングで流れる音楽のよう。これからどんなライブが展開されるのか…期待に胸が高鳴る。

きらり

きらりMV公開後のアフタートークで聴かせてくれた幻のイントロから始まるきらり。弾き語りをするのは難しいと言っていたこの曲を一番最初に持ってくるとは驚き!スローなバラード風に始まり、徐々に疾走感が増していく。間奏に差し掛かると、フリーライブのロゴと共に、モノクロだった景色に色彩が加わる。映画の始まりのような心躍る演出に興奮!

ピアノアレンジのきらりは、瑞々しくてキラキラしていて、芝生の上が良く似合う。そしてピアノ一本とは思えないグルーブ感。これぞまさに藤井風!

白いTシャツにジーンズという飾らないラフな姿で、ビーサンを履いてリズムを取る足元や、楽しそうにピアノを弾き歌う風くんの笑顔が映るたびに、喜びで胸がいっぱいになる。無事にこの日を迎えられて本当に良かったと、開始早々感動で涙がちょちょ切れる(T_T)

アーアアアーアー4連発でドライブ感が最高潮になったところで、長いブレイク。静寂に包まれた会場で、誰もいない客席をチラっと見て「フッ」と小さな笑い声を漏らしてから「どこにいたの」と再び歌い出す。このあとのMCで「こんな広い会場でひとりでライブするのウケる」と言ってたけど、この「フッ」の時も「ウケるわ~」って思っていたのかな(笑)この大舞台で、こんなふうに肩の力を抜く余裕を持てるところ、本当に凄いと思う。

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この表情が好き、きらり編。風くんの笑顔もきらり!

MCの第一声は”Welcome babe"。いつもの"Hello this is Fujii Kaze"じゃない!そのあとも、お馴染みの「言うてますけどmore」も登場せず、流暢な英語のMCと日本語の逐次通訳が続く。日本語の第一声は「こんなひ〜れぇ場所で、なんかひとりで、誰もおらんのにライブしよるのウケるんですけれども」。バリバリの岡山弁(ギャル風味)に笑ってしまう。こんな緊張しそうな場面でも、いつも通りのゆる~いMCができるなんて…。自然体にもほどがある!最高!好き!

しかしその後、空っぽの客席を見渡し厳しい表情を浮かべながらの「これが今のありのままの現状を表しています」という言葉にハッとさせられる。無観客ならば、スタジアムではなくどこかのスタジオから配信すればいいのでは?と思ったこともあったけれど、この景色を見せることにこそ意味があるのだと気付く。この広いスタジアムで、たった一人ピアノと向き合い演奏をすると決めた風くんの覚悟が胸に迫ってくる。そして「激レアな機会をいただけたことに感謝している」"I make myself at home(くつろいでやらせてもらいます)"「お互いリラックスしていきましょうや」と、ポジティブで風くんらしい言葉が続き、ホッとすると同時に、私の肩の力も少し抜けたような気がした。

Heal the World (Michael Jackson)

フリーライブ唯一のカバー曲。MCでは「もし彼(マイケル)が生きていて今のこの世界を見たら、きっとこの曲を歌うんじゃないか」「この曲が持つメッセージは今の時代にも通じると思う。それを感じてくれたら嬉しい」と語る。そして、ピアノを愛しむような仕草でイントロを弾き始める。ピュアで温かい歌声に聴き惚れる至福の時…。優しいピアノの旋律と歌声から発せられる癒しの波動のようなものが、配信を観ている部屋の中に広がっていくのを感じる。同時に心の中が温かい気持ちで満たされて、"happy tears"が溢れてくる。

ライブ後に放送されたラジオやテレビのインタビューで風くんが、「今回のライブのコンセプトにぴったりだと思って選曲した」(注:1)「みんなに幸せになって欲しいというピュアなメッセージを伝えられたらいい」(注:2)と語っていたけれど、まさにその通りだったと思う。コロナ禍で思い通りにいかないことも多いけれど、自分の音楽を通じてみんなが幸せな気持ちになってくれたら嬉しい、という風くんの想いが伝わってくる演奏だった。

「君と僕とみんなのために、より良い世界を作ろう」。風くんのモットーである「HELP EVER HURT NEVER」の精神にも通じるメッセージ。他者を思いやることの大切さ。改めて、心に深く刻み込んだ。

燃えよ

「次はいきなり新曲やりたいと思います」ということで、待ってましたの新曲初披露!歌詞が先に公開されるという今までにないパターンで、一体どんな曲なんだろうと想像を膨らまし続けてきたこの1か月強…やっぱり今回も外れなく大好きだ!藤井風バイブスが詰まりまくったメロディーと、疾走感のあるピアノの伴奏が最高!

ライブ終了後に急遽配信されたフル音源も、聴けば聴くほど癖になる中毒性の高いアレンジ。私が特に好きなのは、間奏でオルガンとベースがユニゾンするところ。フリーライブではこのフレーズが両手のユニゾンで速弾きされていて、見事としか言いようがない。間奏もアウトロも、ピアノの超絶技巧が炸裂!永遠に聴いていたくなるエキサイティングな演奏に、思わず体が前のめりになる。

歌声も最高にかっこいい!(個人的にこのくらいの音域で力強く歌う風くんの声が大好き)ストレートな歌詞に乗せられた、決意に満ちた力強い歌声が、聴く人に寄り添い、励まし、鼓舞してくれる。無条件に元気が湧いてくる曲だ。

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この表情が好き、燃えよ編。「迷いながら探すの」の直前。空を見上げ微笑む。

もうええわ

燃えよのアウトロから流れるようにもうええわのイントロへ。
"This song is called Mo-Eh-Wa"というMCののち、演奏がアグレッシブになる。生配信day1のもうええわを思い出すアレンジ。

(44:51辺りから始まるもうええわ。Aメロの出だしをちょっと間違えてしまった後に、それを挽回するようにアップテンポでガシガシピアノ弾きながら歌うAメロ大好き!)

アップテンポに始まるも、「手放すときは今」でピアノから手を離してブレイク(ここで手を離した鍵盤のアップが映し出される演出も最高!)そしてこの後!サビ前、「扉叩いて」のあとに、軽くブレイク、ジャーンからの「もうええわ~」…痺れる!!こういうの待ってた!予想外のアドリブに興奮が高まり「そうそうこういうのこういうのー!」と思わず叫んでしまった私。

予想外のアドリブはまだ続く。間奏を挟んで2番はまさかのラップパート。「ココロダッテココロダッテソンナフウニイエタナライイノニナッテ」…そうきたかー!きらりのフル音源を初めて聴いたときに「常にここに」が「ツネニココニツネニココニココニ」になっているのを聴いたときのような衝撃。ラスサビ前の「もうええわ~」は、首を左右に傾けながら子供に歌いかけるような(もしくは矢野顕子のような?)優しい表情と歌声。一曲の中で何度も表情が変わる。その全てに見惚れてしまう。

アウトロでは、降りしきる雨の中、頭をブンブン振りながら一心不乱にピアノを弾く姿が最高に絵になる。まるで映画のワンシーンのようだ。そして最後は優しい"Fuu"と共に美しいアルペジオで終わる。執着から解放され、自由になった喜びを表現しているかのような爽やかなエンディング。原曲ではフェイドアウトするアウトロ、武道館のアレンジも好きだけど(イントロのコード進行に戻るパターン)、今回のライブにはこの終わり方が合う。

優しさ

誰が予想しただろうか、優しさがアカペラで始まるだなんて。

バンド編成で演奏される優しさは、イントロの途中からオケが入って来るので、テンポを合わせるために多少の緊張が生じるのではないかと想像するのだけど、今回のイントロは何しろアカペラ。自由そのものだ。スタジアムを駆け回りながら、時に優しく時に力強く、ひとつひとつの言葉を噛みしめるように、カメラをしっかりと見据えて歌う風くん。カメラの向こうの人たちに歌を届けたいという想いが伝わってくる。後半、手を広げて空を仰ぎ、伸び伸びと気持ちよさそうに歌う風くんの姿が、まさに"Free"の象徴のようだ。

ラジオのインタビューで、「空と大地と繋がってやるという気持ちで歌っていた」と語っていたけれど(注:3)、まさに何か「でっかいもの」と繋がっているような神々しさを感じた。そして何よりその圧巻の歌唱力に度肝を抜かれた。これはきっと歴史に残るパフォーマンスになる。

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この表情が好き、優しさ編。歌うことの喜びを感じる表情。歌う人になってくれて本当に良かった…

特にない

「みんなと一緒に演奏したい」というお馴染みのMCで始まり、クラップを促し、グランドピアノの底を叩いてリズムを取り始める。そのピアノの扱い大丈夫なの?と少し心配になる(笑)でもこれも風くんらしい演出だ。いつもよりちょっと速いテンポで、淡々と演奏が進む。あぁ私のクラップの音を会場に届けられたらいいのに!次ライブに参加できる日が来たら、全力でクラップしようと心の中で誓いを立てる。なんなら私、指パッチンも得意です!

最後のアルペジオの音が、キラキラして美しい。「小綺麗に」なった私たちの魂が、キラキラ輝いている音のように聴こえた。

死ぬのがいいわ

聴き馴染みのあるジャジーなピアノソロが始まる。「何の曲か分かるかな」て…分かるに決まってるじゃろがい!!!私がどれだけ武道館ブルーレイ観てると思っとるんじゃい!!!しかしブチ切れるのも束の間、武道館verよりも自由で遊び心を感じる演奏に一気に心を持っていかれる。緩急の激しさに息が止まりそうになる。エキサイティングでスリリングなピアノソロ。これはぜひ、死ぬのがいいわをライブで演奏する際の定番になって欲しい。

間奏では、カメラをちらちら見ながら、いたずらっぽい表情でピアノと戯れるように演奏する風くん。ピアノとユニゾンしたりハモってみたりと自由自在。

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この表情が好き、死ぬのがいいわ編。カメラをチラ見。

そして後半、デレレンデレレンデレレベーイのあとに、4拍分のアドリブが加わっている!エモい!エモいぞ!この部分が好きすぎて、原曲聴くときもこのアドリブ部分が流れることを期待するほどになってしまった私。

雨の粒を毛先に纏い、時に切なげに、時に楽しげに、またあるときは挑発的な眼差しで…表情をくるくると変えながらピアノと戯れ歌う風くんの姿が美しい。かと思いきや、最後の「バイバイ」、可愛すぎるぞ!

長くなったのでここまで。後編に続く。。。

(画像は全てfree live アーカイブより引用)

(注:1) J-WAVE MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGYより引用(2021年9月4日放送)
(注:2)新・情報7daysニュースキャスターより引用(2021年9月4日放送)
(注:3)ROCK KIDS 802 OCHIKEN Goes ON!!より引用(2021年9月9日放送)


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