副業している方たちの話を聞いたらとっても面白かった

私は自分の思っていることを言語化するのがすごく苦手なので、発信を避けてきたけど、今日の講義を受けて頑張ってみようと思いました。

自分について

私は高齢者を専門にみる歯科医師です。
仕事もじいちゃんばあちゃんも大好きなので、嫌なことがあっても診療していると元気になります。
もともと歯医者さんは大嫌いで、治療中暴れてしまうので網に入れられて治療を受けていました。
でも、左側にいるピンクの服を着た女の人はとても優しくて大好きだったので、幼稚園児の私はこの人みたいになりたいと母に言いました。
そしたら母は、「ようこ、この人はね、歯医者さんって言うのよ」と言いました。私はそこから歯医者になりたいと生きてきました。刷り込みってすごいです。

歯学部は6年間行きますが、ただ遊び呆けて過ごしました。入れ歯と全身疾患のことを学びたくて高齢者歯科という医局の大学院にそのまま進みました。
私たちの親の世代は、歯医者イコール金持ち、で、私たちも学生時代、歯医者になったらお金は稼げるであろうとそこを疑うことはありませんでした。でも、実際なってみると違いました。歯科医院の数はコンビニより多く、ワーキングプアと言われる職種になっていました。大学院生だった私は、大学院の授業料を払いながら、歯医者としてバイトをする生活で、奨学金という借金が10年分溜まる一方でした。
今でこそ、無給医が問題になってきましたが、そんなの当たり前の世界で疑問に思うこともありませんでした。

総合大学に行っていたらもっと違う知識を得られたかもしれないし、危機意識を持った学生だったらその時からビジネス書読んでたかもしれないけど、そんなことなにもせずに過ごしてきてしまいました。
今も知り合いは医療従事者しかほぼいません。専門を磨けば磨くほど、狭い世界に埋もれていきます。


在宅医療での出会いと気づき

2年前に、大学病院に居続けても自分のやりたい臨床はできないと思い、大学を辞めて就職しました。10年前から訪問診療のバイトをしていたので、在宅医療専門の医科のクリニックの歯科部門に就職しました。

一般の歯科医院の外来診療だと、患者と自分で完結してしまう世界であり、歯科治療が目的でゴールですが、訪問診療は異なります。患者の生活をみながら多職種と協力していくので、歯科診療は目的ではなく手段になり、ゴールは患者さんや家族が納得のいくように支えていくことになります。自分たちのできることは生活の場では本当にちっぽけですが、楽しいです。私は臨床をしながら臨床研究を続けられればそれで満足と思っていました。

ただ、ある出会いが私の焦燥感を生みました。
その人は加藤さんという介護施設を経営している方で、加藤さんやその施設の人たちは、私の大好きなじいちゃんばあちゃんと、ものすごく人と人として関係ができていて、生活を支えられているじいちゃんばあちゃんはすごく幸せそうでした。
私は羨ましさと焦りを感じました。私ももっと人としてじいちゃんばあちゃんと接したい、役に立ちたいと思うようになりました。


独特な(?)世界

私たちの世界は診療報酬で成り立っており、かつ日本の保険制度は疾病が生じて初めて報酬が生まれます。かつ、国民皆保険制度だったり、色んな保障があるので、医療は高くなく受けられるものというイメージが定着しています。予防の重要性はあまり伝わってなくて、病気になっても薬飲めば治るんでしょ、痛くなってから歯医者に行けばどうにかなるでしょ、インプラント30万高い!、保険のきかない高い診療はなんであるの?、となります。

また、ドクターと患者という関係はフラットではなく、聞きたいことも聞けない、怒らせてはいけないからいうことを聞くしかない、何を言っているか理解することが難しく言うなりになるしかない、という現状があります。

これが病院の外来じゃなかったらもう少し気軽にコミュニケーションがとれるのに。病気で大ごとになる前に誰かに相談できていたらちがったのに。病気も介護もどうしたらいいのかわからない、助けてほしいけど、相談場所もわからない。こう思う人は少なくありません。かつ、人生は100年時代になり、容易に死ぬことはできません。

今の日本には、このような現状をどうにかしたいと立ち上がっている人たちがいます。
コミュニティナースや暮らしの保健室、認知症カフェなど、インフォーマルな部分で困りごとに対応しようとしています。
医療の知識を持ったおとなりさんとして人の役に立ちたいと奮闘しています。
人と人として関わる雑談の中からその人の人生が見えてくるので、実際病院で患者として話を聞く時より、そうでない場の方が聞く方にとってもすーっと入ってくることも多いのです。
患者でなく住民へ、地域のニーズをひろい地域力を高める、重症化を防ぐ予防の視点を持つ、敷居を低くする、早めの相談がよりよい最期につながる、これらが彼らの原点です。

でも、患者と医療従事者という関係がない状態では、ボランティアの域を超えて継続することは容易ではありません。
ボランティアを業にするにはどうすればいいか、そのヒントを得られるように学んでいきたいと今日強く思いました。実際副業まで至れるかはわからないけど、沢山のヒントを頂きました。
すごいなーと口が半開きの2時間でした。次回も楽しみです٩( ᐛ )و


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