見出し画像

「私をくいとめて」で溢れるのんちゃんの素敵さ

2020年に公開された映画「私をくいとめて」

本当に良い。私みたいな「恋愛したいけど距離置きすぎていざとなるとビビって逃げてしまう」ような人間には刺さりまくる。そんな自分を肯定してくれてるような映画。

私は朝ドラの「あまちゃん」が最高に好きで、中学生の時に毎話録画したものを4話分一気見し、「15分ドラマが1時間ドラマになるこの鑑賞方法まじで贅沢」と唸りながら楽しんでいた思い出があります。

今でもほんのりのん(能年玲奈)ちゃんが好きで、インスタを覗いては「大人になられて…」と感慨深くなっています。

だから、あの頃のピュアピュア高校生を演じたのんちゃんが「おひとり様アラサー」になると知り、「こりゃ見ねば!」となり視聴。

あらすじ

おひとりさまライフがすっかり板についた黒田みつ子、31歳。
みつ子がひとりで楽しく生きているのには訳がある。
脳内に相談役「A」がいるのだ。
人間関係や身の振り方に迷ったときはもう一人の自分「A」がいつも正しいアンサーをくれる。
「A」と一緒に平和な日常がずっと続くと思っていた、そんなある日、みつ子は年下の営業マン 多田くんに恋をしてしまう。
きっと多田君と自分は両思いだと信じて、みつ子は「A」と共に一歩前へふみだすことにする。

https://kuitomete.jp/

ここからネタバレ大ありで私の刺さった部分をダラダラと書いていきます。


おひとり様みつ子のスマートな積極性

作品内ののんちゃんは本当に見事に「おひとり様に慣れまくったアラサー」でも、彼女は恋する相手(年下の営業マン多田くん:林遣都)に思った以上に積極的で、着実に距離を近づけていきます。みつ子は私の仲間ではなかった…ちなみに、多田くんとはみつ子の作った夕飯を玄関先でお裾分けする仲。

例えば、多田くんがみつ子(のん)の部屋について『わざわざ大掃除しなくてもマメに綺麗にしてる感じでしたよ。いつでも人を呼べる部屋です。』と言ったことに対してみつ子は、

『じゃあさ…今日、良かったら呼ばれる?』『揚げ物したいけど、一人前だけ揚げるのはちょっとな…て丁度いま、思ってたの』

って言うんすよ!!!!

うわぁ〜〜ナチュラル〜〜〜!!

本当に恋愛ご無沙汰ちゃんかい?すごく参考にしたいと私、思いました。

多田くんもみつ子に気がありそうだったから行けたのかもしれませんが、あれは良かったです。恋が加速していく感じがいいよね。


脳内の「A」に吐き出したみつ子の熱い毒に唸る

この映画では終始みつ子が脳内の相談役「A」に自分の愚痴や不安などをぶつけ、宥めてもらっています。彼女の心を安定させるような存在です。

物語の最初は多田くんとの恋を相談をしたり、おひとり様焼肉をした話をしたり、可愛らしい感じ。

でも、後半になるとどんどん毒が強くなっていく。

あの熱量の毒がのんちゃんから吐き出されていることに本当に驚いた。

過去に上司にされたセクハラや、呑気に見せてるだけの自分を見透かして心を開かせようとした先輩に対しての嫌悪感。それらが次々とAに向かって溢れ出るそのシーンは、私には結構衝撃的で。

人は誰でも他人には見せない黒い部分があって、愚痴とか怒りとか、自分の心の中でぶちまけること、あると思うんです。

でも、それをのんちゃんが、怒りに満ち溢れた顔で声を荒げて吐き出すと、こんなに人の内側を見ちゃった感が出るんだと思いました。「…こわ。」ってなる。でも、それが本当に良かった。みつ子の秘めた熱さと、他人と距離をとってうまく自分を保つ姿に、かっこいいと感じました。すんごい良かった。


多田くんとの全く波乱のない恋の展開になんか泣ける

年下の多田くんといい感じになり、東京タワーの階段で告白され、ついにみつ子も彼氏持ちに。

この告白のシーン、別にロマンチックな演出でもなんでもないんですが、泣いちゃった。

勝手におひとり様も板についてきたみつ子にすごく共感して、年下男子多田くんとの恋が実った瞬間、私も報われた気になって泣いちゃいました。すごく良い、素敵。

そして、2人は初めて泊まりのデートをするんですけど、ホテル着く前に雪が降ってきて車内の多田くんが少し不機嫌になるんですよね。
いつもは優しい多田くんの初めて見せた表情に、みつ子は怖くなっちゃうんです。

そして、部屋に入った時多田くんに抱きしめられてそういう雰囲気になりそう…てなった時にみつ子、拒否しちゃうんです。久しぶりの恋愛に怖くなっちゃって。

その後廊下で脳内のAに不安をぶちまけて、「もうホテルから摘み出されるだろ!やめろ!」っ思うくらいでかい声で荒れるみつ子が結構見てて心配になった。情緒不安定すぎる。「多田くんとはやっていけないのか?」と思っちゃった。

でも部屋に戻った時に、多田くん先に謝ってくれるんです。そしてみつ子も「冷たい態度とってごめんね」って謝るんです。

この多田くんの優しさ。気まずい空気のままにさせない、すぐに謝れるところ。良すぎる。

そして
『黒田さん(みつ子)とはゆっくりで構わないんだ』
『黒田さん…すごく、好きです』

が本当に良い。
何!?『すごく、好きです』って!!!!かわいい!!!
ここに多田くんのみつ子への愛が詰まりに詰まってる。大切にしたいって、私を受け入れてくれるんだって嬉しくなっちゃいますよね。言われたい。

私も恋愛とは遠ざかってしまっているので、みつ子のひとりの楽さに甘えたくなっちゃって、恋愛で生まれる心配事に怯えて逃げたくなる気持ちにすごく共感しました。

でも、そんな姿を受け入れた多田くんに自分も救われた感じがして、泣きました。

そして、「そんな存在がいるってすごく嬉しくて幸せなことだよね、素敵だね」って、みつ子に想いを爆発させてまた泣きました。

2人はただ恋のライバルも現れず、大きな喧嘩をして破局の危機に陥るわけでもなく、優しい愛を育んでいきます。
映画内ではキスもしていないし、始まりから最後までずっとピュアでほっこりする恋愛です。

それがすごく素敵だなと思いました。

私は結構爽やかで、ピュアで、優しい恋愛に憧れていて、

でも、20代に入るともっと複雑な要素が詰まるものだと思っていて、私の憧れた恋愛は10代限定なんだと思って悲しくなっちゃってたんです。二度と戻れないしどうしようもないと思ってたんです。

でも、この映画は本当にアラサーの2人の初々しいやりとりが温かくて、理想の関係だったんです。簡単に相手に踏み込まず、ゆっくり恋人になっていく感じ。

やっさしい映画だった。いいなぁ。

みなさん、ぜひ見てください。amazon primeで見られます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?