富山凌雅の先発起用の意図について
どうも、yoです。全くと言っていいほどnoteを更新していませんでした。社会人2年目になって一人暮らしを始めて、仕事も忙しくて、なかなか書く時間が取れませんでした。仕方ない!!!
久しぶりに書こうと思ったのでリハビリ程度に手短に書いていければと思います。よろしくお願いいたします。
今回は、昨年の中継ぎ陣を支えた富山凌雅選手が2軍で先発で起用されている意図について考えてみました。
1.これまでの富山選手について
(1)2021年の富山選手
まず、ここまでの富山選手について軽く振り返ります。
昨季の富山選手は途中リフレッシュ抹消を挟みながらチーム最多の51試合に登板。チーム内2位となる22HPをあげるなど飛躍の一年となりました。
その活躍はシーズン内に留まらず、CSでは1点ビハインドの2アウト1,2塁で登板し、火消しに成功。日本シリーズでも3試合に登板していずれも無失点に抑えるなど年間通じてチームに貢献し続けました。
(2)2022年の富山選手
そして今季、開幕前は中継ぎとしてチームを引っ張り、「2年連続50試合登板」を目標にするなど更なる成長が期待されましたが、キャンプ中に下半身の軽いコンディション不良や新型コロナウイルス感染などもあり、開幕を2軍で迎えます。
その後、順調に回復を見せて3月24日に実戦復帰すると4月28日に中継ぎ要員として昇格します。
昇格後は3試合連続で無失点に抑えましたが、その後は捉えられるシーンが多くなり、5月31日のDeNA戦で2失点を喫すると6月6日に登録抹消されます。
(3)唐突の先発起用?
2軍でも中継ぎとして当初登板していましたが7月11日からは先発として登板。その後、5試合に登板していますが全て先発登板となっています。
ここまでの球数やイニング数を見る限りだと、球数は乱高下がありますが、イニングは3イニングまでと限定されています。
そのため、「富山、先発転向へ」ということは考えづらいです。実際、先発転向したビドル投手は、ファームで4イニングを投げたのちに1軍で5イニングを投げており、2ヶ月かけてゆっくりと…ということはなかったです。
では、昨季と今季で富山選手がなぜ不調に陥り、今2軍で先発をやっている理由について考えてみたいと思います。
また、ここからの各種データは悟さん(@bb_satoru)のデータを使用します。より詳細なデータが気になる方は以下の悟さん作成のサイトをご覧いただけますと幸いです。
2.昨季と今季の比較
まず、2021年のデータと2022年の1軍での登板についてそれぞれ見てみましょう。
(Zone%はストライク率、Zone Whiff%はストライクゾーン内でスイングしたうちの空振り率、O_Zone Whiff率はボールゾーンでスイングしたうちの空振り率です)
今年度のデータについてはあまり多くはないので2段目のデータ以降は参考程度にご覧いただけますと幸いです。また、昨年フォークと記載されていたものが今年はツーシームに変わっています。
今年の富山選手は「ストレートが遅い」とTLでよく見かけましたが、平均球速は1キロ程度遅くなっています。また、最速は昨季を上回る150キロとなっておりますが、これは球速インフレで有名なほっともっとフィールド神戸で記録したものです。それ以外での登板での最速は147キロが1回(横浜)、それ以外は145キロに届かないなど、昨季と比較して低下していることがわかります。
また、球速低下が要因と考えられますが、ストレートのZone Whiff%(ストライクゾーンでの空振り/全スイング)が昨季から11.07%→5.13%と大きく低下しています。昨季は押し切ることができていたストレートで押し切れずに痛打される。ということが成績が悪化した一因と言えそうです。
また、ツーシーム(フォーク)のZone%は昨季と比較して%が上昇しています。(38.65%→46.43%)
これはコントロールの悪化や、変化が小さくなったことが考えられますが、おそらく変化が小さくなったと思われます。
昨季、の富山投手のO_Zone Whiff%(ボールゾーンでの空振り/全スイング)は62.07%とまさに「決め球」と言える球でした。しかし、今季は同じ指標が0%となってます。今までストライクからボールに変化する球で空振りをとれていましたが、今季は空振りが取れなくなった=昨季より変化が小さいということができると自分は考えました。
一方で、スライダーに関しては昨季と比較して投球割合が増加しています。(11.38%→24.08%)
被OPSなど各種指標も昨年と大きく変化していないため、他球種と比較して「頼りになる球」として投球割合が増加したと思われます。
以上から今季の不調と考えられる要因のまとめです。
3.先発起用での富山選手
では先発起用で球種割合などはどのようになっているのか見ていきましょう。
ちなみに、今回も最速148キロは神戸で記録されたものとなっています。2軍降格以降の最速は中継ぎでの登板を含めると147キロが最速、それ以外では145キロとなっています。平均球速については昨季から5キロ近く下がっています。これは1イニングを全力で抑える中継ぎとは異なり、複数イニングを投げているためと考えられます。
球種別の詳細を見ると、ツーシーム(フォーク)の割合が低下すると共に(22.09%→20.44%→15.71%)、スライダーが非常に有効な決め球となっています。
被打率は.154と非常に低く、ボール球でもスイングしたら半分近く空振りになる(O_Zone Whiff%)など、2軍相手では「無双」状態となっています。
一方で、ツーシーム(フォーク)に関しても威力を取り戻せていないようです。空振り率も昨季の水準には戻っておらず、被OPSも.800を超えています。
以下は、2軍先発時でのまとめです。
4.先発起用の意図
では、なぜ富山選手は今先発で起用されているのでしょうか。ポジティブな理由・ネガティブな理由が1つずつ考えられます。まず、ネガティブな理由です。
(1)先発投手の数が少ないため?
ネガティブな要因としてあげられるのが先発投手の少なさです。山下選手など行方不明などで先発投手が離脱していることに加えて、昨年からの度重なるストガイ中継ぎ転向(K-鈴木、張奕、山﨑(颯)、本田各選手)で2軍の先発層が薄いと言われています。
上の表が現時点での先発陣の戦力層になります。谷間の投手数がやけに多いですね笑
この中からロングリリーフに起用する投手、コンディション調整に充てる選手などもいるため、2軍の先発陣は手薄気味と言えるでしょう。
(2)ツーシームの質を改善するため
それ以外で考えられるのは、ツーシームの質を昨年水準に戻すためです。中継ぎで1イニングのみで交代するとなると、そのイニングを抑えるためにストレートとスライダーが投球の大半を占める可能性があります。
そこで、ツーシームを投げるために中継ぎ起用の富山選手に敢えて複数イニングを投げさせているのではないのかと考えました。
実際、富山選手の登録抹消後の中継ぎでの球種別投球割合を見てみると、ツーシームの割合が非常に多くなっていることがわかります。
その後、先発時の投球割合でスライダーが再び多くなっていることを考えると、スライダーの質を維持しながらツーシームの質を取り戻すことが富山選手の現在行っていることであり、そのために複数イニングを登板する必要があり、先発起用を行っていると思われます。
一方、ストレートの球速は中継ぎ時より落ちるのは投球数が増えるため仕方ないと思います。
ストレートの球速アップも1軍で復活するためには必要不可欠であると思いますが、今後どのようにアップを図るのでしょうか。定期的に挙げられる舞洲魔改造を楽しみにしています。
富山選手の先発起用の意図についてまとめると以下のようになります。
5.まとめ
軽く書こうと思っていたらそれなりに長くなってしまいました。冗長な文章を読んでいただきありがとうございます。
個人的に、富山選手の度胸溢れるマウンド捌きは見ていて惚れ惚れするので中継ぎに必要不可欠な選手であると思います。(実際、今1軍に左の中継ぎいないですし)
今年のキャンプ時での度重なるアクシデントなどがあり、不運にも見舞われましたが、今後の激しい優勝争いやCS・日本シリーズを勝ち抜くためには富山選手の度胸が必要不可欠になると思うので、復活した姿がとても楽しみですね。