同じ痛みのわかる人
まだ就職先が決まっていなかった僕が、何かの用事で役所へ行ったときのことです。
事務手続きをしていると、中から白髪交じりの車いすに乗った男性が出てきました。彼はスーッを着ていて、ちょうどお昼休憩なのか?爪楊枝を口にくわえています。年齢は見た感じ60歳くらいでしょうか?
「君、どこかで働いているの?」
目が合うなり、いきなり何を言うのかと思いましたが、現在は就活中であることを告げたところ…
「そうか~まだ若いからチャンスはいくらかあるよ。あっ!ここ(公務員)なんてどう?ま~味気ないかもだけど安定はしているから!」
「ええ…公務員試験を受けたことがあるのですが、生憎ここが…」
そう言いながら頭の方を指さすと、男性は残念そうな表情を浮かべてこう言われた。
「そうか~でも…見た感じ軽快に動けるみたいだから、事務作業にこだわる必要はないと思うよ。ところで、どこに住んでいるの?」
「この近くのA町です」
「えっ!A町と言ったら…この前あったマラソン大会に出なかった?」
「はい、ギリギリですが完走しました!」
「そうか、やっぱり・…辛島さんでしょ?」
「えっ、ご存じなんですか?」
「仕事中に書類整理していたら見かけてね…同じ車いす使用者で近くに住んでいるから気になっていたんだよ」
「そうなんですか~」
「俺なんか、こんなに太っているからマラソンなんて絶対無理!君はそこを活かして是非就職してほしいなあ」
「ありがとうございます」
「俺は今年で定年。これまでずっとここで働かせてもらったおかげで、一軒家を建てることができた。おまけに妻と出会え子供にも恵まれた。
本当はライン作業のような仕事がしたかったんだけど、俺には運動神経がないから…でも、どんな内容であっても就職先を見つけて収入源を確保できたからこそ、ここまで来ることが出来たと思っているよ。
だから辛島さんも職を選びすぎることなく…特に車いすユーザーの就職先は多くないし、年齢制限は健常者よりも厳しい場合があるから今のうちに頑張って!」
「はい、わかりました!」
自身が車いすユーザーであるからこそ言えること…
その重みある言葉は僕の胸に突き刺さり、その後の就職活動に活かされたのは言うまでもありません。
いかがでしたか?
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