AD時代のはなし

『ツレがうつになりまして。』がすごいよかった話
2018年6月21日
お疲れさまです。弱きものです。
映画『ツレがうつになりまして。』
がすごいよかった。
まあ、観たの3週間くらい前だけど笑
「ツレがうつになった原因じゃなくて、
ツレがうつになった意味を考えるようになった」
という書けそうで書けないセリフがよかった。
別にポジティブにとらえようと言ってるわけじゃなくて、
頑張ろうと言ってるわけじゃなくて、
ゆっくりやっていこうや。
みたいなスタンスがよかった。
僕がうつになりかけてたかもしれない話
まあ、そろそろ自分の情報を小出しにしていってもいいだろうと思うので言いますが、
僕は1年ほど前、フジテレビで情報制作に配属されました。
番組は、めざましテレビです。
あんまりテレビを観ない人でも名前くらいは知っているかと思います。
とくダネ!、ノンストップ、グッディ、
などがどの局の何時にごろにやっているか知ってる学生は少ないと思いますが、
めざましテレビだけは、多分多くの人が知っていると思います。
僕もさすがに知ってたし。(笑)
まあ、配属の細かい経緯とか、僕がドラマ志望だったのに情報制作に配属されてくそーと思った話はまたいつか需要があったらするとして、
まあ、話をすっ飛ばしていってしまうと、
僕は、めざましテレビに配属されて、たった1ヶ月ほどで「うつっぽい感じ」になりました。(笑)
そっこうなりました。
「うつ病っぽい感じ」とうやむやにしてるのは、
なった当時は「うつ病」の「う」の字も先生に言われなかったからです。
でも、さっき『ツレがうつになりまして。』を観て確信しました。
あれは、確実に軽い「うつ病」だった。(笑)
『ツレがうつになりまして。』に、
マジでどんだけ頑張っても寝れないという描写と、
マジでどんだけ頑張っても起きれないという描写があって、
うわー、俺もまさしくこれだったわー、ってなりました。(笑)
めざましテレビの仕事、はっきり言ってめちゃんこきついです(笑)
あ、最初に言っときたいんですけど、僕はめざましテレビをディスりたいわけじゃありません。
こんなポンコツを面倒見てくれたことに心から感謝しているし、
というか、今でも、みんななぜか仲良くしてくれます(笑)
(つい最近も班の飲み会に呼んでもらった(笑))
僕は、めざましテレビのADになりました。
もともと社会人としてはダメな方の人間です。
でも、めざましテレビなら、いわゆる他の情報番組よりも「企画」も多いし、楽しくできる。
ドラマ志望だった僕を、最大限気遣ってくれている感覚でした。
ふつーにありがたかった。
というか、入ってすぐはすごく楽しかった。
めざましテレビは、いろんな企画、班が別々におのおののコーナーを担当していて、
(「ココ調」とか「きょうのわんこ」とかね)
新入社員の多くは、だいたい企画もロケもない「ニュース班」ってところに配属されるんだけど、
僕は、とにかくいろんな企画ができて、ロケも多くてたくさん外に出れる班に入らせてもらえた。
これもすごいありがたいことで、
ADの仕事もまったく覚えてないうちから、おもしろいロケに連れていってもらえた。
多分、同期の中でも、1~2位争うほど楽しい仕事をやらせてもらえてた。
うん、間違いなく楽しかった。
ただ、勤務時間が異常にきつかった。
何年もこの仕事を続けている人は、何をいまさらと思うかもしれないが、
もともと、怠惰の権化みたいな僕にとっては、いやもうかーーなりきつかった。
めざましテレビのオンエアは朝の5:25分に始まる。
そのオンエア開始のために、曜日別に組まれたシフトの日の朝8時にADは出勤する。
つまり、
担当オンエアが火曜日の朝だとしたら、
その前日の、月曜日の朝8時に出勤し、次の日の朝、番組が終わる8時まで一切眠らず仕事をし、さらにそこから片づけなどでなんやかんや昼頃までなんかやってる。
まあ、ひとり27時間テレビだね(笑)
それが、最低週2回。
次の週にいろいろ準備の多い企画についていた時は、それが週3回なんてこともしばしば。
昼過ぎに家に帰った日には、死んだように寝て、起きたら、夜22時とか。
そこからなんかやろうと思っても、
飯食って風呂入ってーなんてしてたらあっという間に0時。
次の日もまた朝に出勤して、次の日の朝までミニ27時間テレビでノースリーピングでしょ?
やっべ寝とかな!
となって、
の繰り返し。
テレビ局の制作現場はきつい
そんなことは耳にタコができるほど話には聞いてたけど、
思ってたより数百倍きつい!!
きついんだこれ!!!
寝ないということがこんなにきついとは思ってなかった。
ただでさえ僕は超ロングスリーパーだ。
まず、寝ない、ということ自体が向いてないのだ。
その上、僕はアホなので、
大学頃から続けていた、脚本書きを、そのオンエア明けの昼帰りの日に寝ないでやっていた。
ドラマ脚本を研究したり書いたりすることが楽しくて、面白すぎて、
あとやっぱ、
いつかドラマ企画出したくて、ずっと書いていた。
死ぬほど眠いのを無理矢理我慢しながら書いてた。
・・・
ある日、
ああー、めんどくさいけど今日も朝から次の日の朝までがんばるかー
といつものように起き上がると、
異常なほどの耳痛が襲った。
右耳だけだった。
一瞬で「これはやばい」と思った。
けど、あほなので、
「ほっとけ!若いんだし!」と思い、
会社に向かった。
右耳、その間もけっこう痛かったけど、
いつも通り、仕事を終えた。
たっぷり寝て、
次の日は金曜で、土曜日はオンエアがないので、ゆっくりできる日だった。
さあ、今日は会社でゆっくりして先輩と飯でも食おう~
なんて思って、
電車に乗って、東京テレポート駅で降りて、
フジテレビまでつづくあの大きな橋を渡ってる途中、
あの、無駄に巨大な球が目に入った。

その瞬間、
身体が動かなくなった。
球に
近づきたくなかった。
これ、マジだった(笑)
せっかく会社の前まで来たが、
先輩ADにLINEで、「今日は休みます」と送った。
初めて会社を休んだ。
ドタキャンだった。出勤のドタキャン。
スマホの電源を切った。マジで怖かった。絶対怒られる。
基本的に非常識な僕の中の、精一杯の常識さが、
「これは、社会人的にはマジでNGだからな!」
と叱ってきたので、
うるせぇ!
と思いながら
とにかく寝た。
夜、起きた。
おそるおそるスマホの電源を入れた。
ラインを開く。
開いた瞬間、着信とメッセージであの赤い通知の数字が一気に「49」くらいになる
そんな地獄を予想していたのだが、
通知は「1」で、
先輩の「オッケー!お大事に!」
だけだった。
ビビって損した。
それから、少し休めということで、
土日をはさんで何事もなかったかのようにまた月曜日の朝に出勤せよとのことだったので、
日曜日の夜は耳の痛みをごまかしながら早めに寝た。
・・・
気が付くと、僕は、東京テレポート駅にいた。
少し歩くと、あの巨大な球が見える。
また体が動かなくなった。
くそ・・・なんなんだこの現象は。
なぜ俺が、あの巨大なだけの空虚な球ごときに身動きを奪われなければいけないのだ。
相手はたかが球だぞ。
むかついてきたので
むりやり体を動かそうとした。
すると、足元に、「めざましくん」が一匹現れた。

わあ、かわいい!めざましくんだ!おはよう!
するとめざましくんは、
僕の足を掴み、
「6時55分、6時55分、6時55分、6時55分、6時55分・・・」
と延々に連呼しだしたのだ。
「こわい」
そう言って、僕は思わずめざましくんを蹴飛ばしてしまった。
本当の恐怖はそこからだった。
蹴飛ばしためざましくんが、突如分裂をはじめたのだ。
めざましくんの増殖がはじまった。
2匹、4匹、8匹、そうして一瞬のうちに
2000匹ほどのめざましくんに周囲を囲まれてしまった。
それはそれはおぞましい光景でした。
一匹だけならそこそこかわいらしいめざましくんも、
ここまで大量発生してしまうと、身の毛がよだちます。
「6時55分、6時55分、6時55分、6時55分、6時55分・・・」
およそ2000匹のめざましくんが同時に鳴きだす。
2000のめざましくんが僕の周りをぐるぐると行進しはじめる。
「6時55分、6時55分、6時55分、6時55分、6時55分・・・」
恐怖。
いやだ。
助けて!!!
ピンポーン。
と、インターホンの音が聞こえます。
・・・
目が覚めます。
インターホンが鳴っています。
なんだこんな朝早くに、と出てみると、
そこには職場の上司がいます。
一瞬なにが起きているのかわかりませんでした。
なんで俺の家に来てんの?
時計見てみたら、昼の11時過ぎ。
・・・え!?
そう。出勤は8時だ。
僕は完全に寝坊していた。
というか、こんなことは人生で初めてレベルだった。
体調を崩していたこともあり、心配して家まで来てくださったのだ。
申し訳ない。
そう、これが今思えばうつっぽい症状だった。
その前日の土曜日、僕は耳痛もあって朝まで寝付けなかった。
そして、日曜日の夜は気が付いたら、目が覚めないほどぐっすり寝ていた。
睡眠がまったくコントロールできなくなっていた。
とまあ、こんなことがあり、なんやかんやあって病院行って1ヶ月ほど休め的なことになった。
病院の先生に、会社の巨大な球を見たら体が動かなくなった話や、大量のめざましくんに殺されかけた夢の話などをしてみると、
ケラケラ笑いながら「話術がすごい」と褒められて嬉しかったのを覚えてる。
まあ、実際その時は僕もその症状のことをかなりなめてて、
慣れない社会人生活に体がびっくりしているんだろう、と軽く考えていた。
というか、耳痛も比較的すぐ引いたし、
1ヶ月ほどやりたいことに没頭できたので、なんなら楽しかった。
が、1ヶ月たって会社に行き、久しぶりに自分のデスクに座ったとたん
再び強烈な耳痛に襲われたのだ。
まあ、もうなんか休む手続きとか踏むのもめんどくさかったので、
そのまま年明けの休みまで無理矢理平気なふりを続けていたが、
今思うとけっこうやばかったんじゃね?と思う(笑)
夜中の追い込みの時間になるとイライラしてエレベーター蹴りまくったりしてたしなあ(笑)
なにより、体ってマジで正直なんだな、ってちょっと感動すらしました。
ほんとに、デスク座った瞬間、ぴきーんと痛みが来たんですよね。
まあ、そんなこんなで、
これもなにかの合図かなと思って、ガチ目に辞めることを考え始めた
という話でしたとさ。(笑)
辛めな経験は、のち、かけがえのないエンターテインメントになりうる
まあ、僕のめざましくん大量発生ストーリーはどうでもよくて
ここからがやっと今回言いたかった核心なんですけど、
辛めの話は、のちのち強烈なエンターテインメントになるぜ
ってことです。
これ、ほんとになめた話ですが、
僕は、自分の体がなんか変な感じになって、変な夢を見て、寝れなくなって的なことが起きた時、
まず第一に思うことが、
あ、これ、いつか人に話して笑いがとれるかもしれない!ってことです。
逆に、辛いことや大変なことが起きてない時は、安定が目に見えた時、ぽんぽんぽんとうまいこと事が進んでいるように感じている時、
何かが間違っている兆候だと考えるようにしています。
うまくいく時ってのは、それと引き換えに、
もしかしたらうまくいかなかったかもしれないパターンを経験できずに終わるってことです。
あくまで、個人的なあれですが、
僕はうまくいってる時に新しく何かできるようになったことがない。
うまくいかない時に、苦しんで考えることでしか、脳みそがぐにゃっと変化することはないんですよね。
かなりきついけど、
べつにうまくいったって、それはまやかしで、結局苦しいですよね。なにかと。
情けなさ全開で、ゆっくりいこうよ
人と人は、自分たちが一緒にいる理由を、弱点を補い合うことでしか見いだせない。
そうなんだから、自分ができることだけを、一生懸命やればいいのに。
なんでみんなこんな急ぐんだろう。
なんでみんなできないことを嘆くんだろう。
ゆっくりやりたい。
急ぎたい派が多すぎんね。
ゆっくり派が多数派になって、
むしろ、急ぎたい派がうつになるような。
そんな社会、つくっていこうや。

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