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お鈴さんの大冒険終了



私は今韓国でゲストハウスに住んでいる。

部屋が4つあるマンションの1部屋で、その中の1つに日本人の同い年の女の子とルームシェアしている。


私が大学生の時1年新大久保のお肉屋さんでバイトをしていたが、そこで出会った鈴ちゃんだ。


私は東京で1年暮らしたが、同い年の女の子と出会う機会はほとんどなかった。いや、全くなかったと思う。

友達に年齢は関係ないが、やはり近いと親近感があって良い。


私が新大久保でバイトを始めて、半年ほど経って、鈴ちゃんが入ってきた。


初めて鈴ちゃんを見た時は、正直年上かと思った。

大人っぽいと言うよりは、なんか貫禄があるように感じた。

オブラートに包んで言ってみたが、わざわざ包んだオブラートを雑に剥がすと、元気のある若いママかと思った。そう言うふわふわしていない落ち着きがあった。

ちなみに鈴ちゃんが同い年と知ってテンションが上がった私は彼女に「友達になろう!🥰」と言ったらしい。後から彼女に聴いた話で私にはその時の記憶はないが、ENFP且つ友達が欲しかった当時の私であれば言いかねない言葉だ。
彼女はこの言葉を聞いて「あ、この子合わないわ。」と思ったらしい。これも後日談。


話してみると同い年で、大学まではずっと水泳をしていて、卒業後は卒業校の水泳コーチになる予定だったが、コロナの影響もあり卒業直前でその話がなくなってしまったらしい。

そこで、ずっと水泳だけをしてきた彼女は何をしようか悩んで、とりあえず元々好きだった韓国に関するバイトでもしてみるか、とうちのバイト先に来たらしい。


鈴ちゃんはとても話しやすかったし、私の話を驚きながらたくさん聴いてくれた。鈴ちゃんから見れば私は暴れん坊将軍というか、出会うたびに彼女であれば起こすことがないような新しい出来事の話をするような人だったみたいだ。

私と鈴ちゃんはバイトを一緒にしていた期間は3ヶ月ほどで、シフトが重なったのは10回ほどだったと思う。


そんなにたくさん会っていた訳ではないが、私が地元京都に帰った後も東京に遊びに行くたびに会っていた。



私が新大久保のバイト先を辞める時には、もう次の進路として韓国ワーホリが決まっていた。


だから、私は彼女を誘った。
どうせ進路が決まっていないなら一緒に行ってみないかと。

彼女がどれだけ悩んだかは分からないが、私からみると割と即決で行くことになったと記憶している。


彼女は語学堂に通うと目標を決め、バイトを掛け持ちしながらせっせと貯金を始めた。




そんな彼女が、明日、1年間のワーホリを終えて日本に帰る。

鈴ちゃんが韓国に来た日、私はもうすでに韓国で1.5ヶ月ほど生活をしていた。

私は、新大久保のバイト先で出会った韓国人の友達とその弟と鈴ちゃんの入国を韓国で出迎えた。


鈴ちゃんを出迎えた当日、ホンデに行ったもののパスポートを持ち歩いてなかったから飲食店になかなか入れなかったこと、ハイボールが日本のものと違って甘かったこと、そのくらいのことしか覚えていない。


あの日から既に3年くらい経ったような気もするし、鈴ちゃんとの生活が始まってまだ半年くらいしか経ってないような気もする。


鈴ちゃんは1年前に韓国語もほとんどできない且つ知り合いもほとんどいない状態で韓国に来てから、韓国での目標だった語学堂に通い、クラブで夜通し遊ぶ楽しさを覚え、図らずもダイエットに成功し、てんやわんやで通訳のバイトも体験し、高級寿司屋で有名人たちにチップをもらい、道端で長年の推しとすれ違って、韓国ソジュの怖さを思い知り、月に1回くらい韓国国内旅行に行き、ちゃっかり人生初の彼氏まで作った。


文字に起こすと尚更、大成功の1年間だったのではないかと思う。


友達が日本に帰るのももちろん寂しいが、何しろ1年一緒に過ごしたルームメイトがいなくなってしまうのが本当に寂しい。


これからキャッシュウォークのキャッシュが集められなかった悔しさや、街中に全然イケメンがいなさすぎるのではないかと言う愚痴、どこかしらから集めたどうでも良すぎる雑学を誰に話せばいいと言うのか。

(キャッシュウォークという、歩いたら歩数分ポイントがもらえて、そのポイントで特典がもらえるアプリがある。ポイントを集めるためには歩いた後にアプリを開く必要がある。アプリを開かないまま夜12時を超えるとその日に溜まったポイントが消えてしまう仕組みであり、私はよくアプリを開くのを忘れてせっかく溜まったポイントを消してしまう。)


彼女は私の分の洗濯物まで畳んでくれ、ドライヤーの時に抜けた髪の毛を拾ってくれ、忙しすぎる私をたくさん心配してくれた。

私からしたら最強スーパーマンだ。

2人でよく休日の夕方は散歩に出掛けて、お家でお酒もたくさん飲んだ。

彼女とはお酒を飲む量も歩ける距離やスピードも全てが合っていた。




鈴ちゃんがいなくなるのが寂しくて、今日の朝私は準備をしながら大森靖子の曲を聞いた。なんとなく寂しい時は聴きたくなるのが大森靖子の曲。

あと、なんだか寂しくてぼーっとしてたら朝電車を乗り間違えた。早めに家を出たはずが、予定に10分遅刻した。


でも「今寂しくて大森靖子ちゃんの曲聴いてるんだよ」とか、「色々考えてて電車乗り間違えちゃったよ」とか今本人に言うより、時間が経った後で「実はあの時、」って言う方が私の可愛さが伝わるんじゃないかと思ってとりあえず今は本人には黙っとく。

私はあざとさの鑑なので(?)。


彼女はまたすぐ韓国に来ると言ってた。

韓国の生活があっていたみたいだし、何を隠そうラブラブな彼氏がいるからだ。

鈴ちゃんが次に韓国に来るのがいつになるのか、滞在期間がどうなるのかはまだ全くわからないが、その時には私の1人韓国奮闘日記をたくさん語ってあげなきゃならない。




こんなことを一生懸命文字に起こしてたら、電車の前の席の老夫婦がお揃いに履いてたNIKEのいかつめのスニーカーの写真を撮るのを忘れてた。鈴ちゃんに見せようと思ったのに。もう老夫婦いっちゃったじゃん。残念。



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