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[文字起こし]いんよう!第50回【好きなもの、】

よう先輩がちょっとテンション高めに好きなものを語っておられて、珍しくヤンデル先生のほうがやや受け身な感じの最新回(2019年7月30日リリース)です。私はこういう話題「を嬉しそうに語っている人」が大好きで、とても癒されるのでまたしても飛びついてニヨニヨしながら起こしております。ガチの学問はとっつきにくいのですが、それが好きな人の主観が入りまくった話は大好きなんです。二次創作ってわけでもないんだけど……「何かを好きな人が、その愛を語るところを愛(め)でたい」というか……分かってもらえますかねこの感じ……。

★注★この回に限らず、おふたりのセリフ「以外」の部分(主にリンク)については、文字起こし人が文字起こし中(勉強中)に見つけたものを適宜貼っており、「いんよう!」のおふたりには一切相談しておりません。「リンク先が不適切」などのご意見がありましたら、文字起こし人である私( @2ndears )までお願いいたします。

(♪)
よう/最近読んだ本で……ええとね、『真理の探究』っていう本があって。
いん/ほう。
よう/サブテーマが「仏教と宇宙物理学の対話」っていうんだけどさ。
いん/あ!ああ、それか~(笑)はいはい。

よう/そうそう、いっちーも読んだみたいだけどね。
いん/ほんとだ。本のタイトルが『真理の探究』だった、っていうのを忘れてました。
よう/うん。あの~、仏教学者の佐々木 閑(ささき しずか)さんっていう人と、大栗 博司(おおぐり ひろし)っていう、理論物理学者の……日本の大エースの人なんだけどさ。
いん/大エース!うん。
よう/著作もいっぱいあってね。一般向けに、自分の研究内容を分かりやすく書くっていう……。
いん/うんうん。
よう/あの~、俺は大栗さん……大栗博士のことが、好きで、本も何冊か持ってるんだけど……
いん/はいはい。

よう/で、仏教もなんとなく……というか、俺は「ブッダのファンだ」って言い張ってるんだけど。
いん/うん。
よう/「ブッダのにわかファンだ」って言い張ってるんだけどさ。
いん/うん、うん。
よう/なんか、その2つの「好きなもの」をやっている人同士が対話してるっていう、もう完全に「俺得」の本だったんだけどさ。
いん/んっ、うん(笑)
よう/もう「そう!そうだよ!!」っていう感想しかない(笑)……で、そのまま終わったんだけどさ(笑)

(※文字起こし人注:カギカッコ内、よう先輩は普段より1オクターブ近く高いハイテンションの声)

いん/んっはははははははは(爆笑)
よう/でね、なんか要は「物理」っていう、科学を代表するような領域のさ、それも「理論物理学」っていう、割と基礎中の基礎みたいなところにいる人と……
いん/うん。
よう/宗教学者とが対話してるっていう……まあ、もしかしたら違和感のある組み合わせかもしれないんだけど……
いん/確かにね~。


よう/でも、「ブッダの思想」っていうのに限定していうと、あんまり神秘的なものがなくてさ。なんか「哲学だな」って思うんだよね。哲学に近いっていうか……
いん/……そこ、僕はこの本を読むまで分からなかったんですよね。
よう/うん。で、その……仏教の話をするときにいつも思うのは、「宗教の話をしている」っていう、日本人の感覚ってあるじゃん。違和感というか。
いん/あります。「仏教の話といえば宗教の話」っていう……。
よう/そう。で、「宗教の話を大っぴらにする」っていうことに対する、違和感とか抵抗感があるわけじゃん。
いん/あるある。例えば「レストランで宗教の話をするな!」みたいな話ですからね。
よう/まあ、そうだね。
いん/うん。
よう/なんかでも、(俺にとっては)「割と好きな哲学のひとつ」っていう感じなんだよね。まあ、哲学にそんな詳しいわけじゃないんだけどさ。
いん/「そうなんだな~」って感じですね、確かに。

よう/うん。で、この著者の佐々木 閑さんって人、知らなかったんだけど……
いん/はいはい。
よう/もともと、化学(ばけがく)をやってた人なんだよね。で、寺の息子だから、もう1回、大学に入り直して、仏教のことを勉強して、いまそっちのほうで専門として研究されてる……という方みたいでさ。
いん/うん、ふむふむ。
よう/で、そういうのが影響しているのかどうか分からないけど、まず「輪廻とか地獄とか信じてません」って言ってるからね(笑)
いん/うん、ふふふ(笑)面白かったですね。僕、この人はお坊さんだと思ってたんで、「それ言っていいの? 檀家さん怒らないの?」って思いましたもんね。
よう/そう、そうだよね。これが仏教界隈でどれくらいメジャーなのか、マイナーなのか、よく分からないけど……
いん/分からないですね。
よう/でもなんか、この佐々木さんって人は……ええと、「ブッダの教え自体」というか、一番最初のところの教えを、「信仰しているわけじゃなくて」って言ってるよね。
いん/うん。
よう/「ブッダの教えを理解して、自分の人生に役立てる」っていうか、「生きていく糧にしている」というスタンスなのかなって思うんだけどさ。「仏教者(ぶっきょうしゃ)」っていう言い方をするって人だよね。
いん/そうだ。そう言ってました。
よう/「信者じゃない」って言ってるもんね。
いん/うんうん。

よう/そういうスタンスもさ、レベルの差はすごくあるにせよ、なんかこう、俺が思っていたのとちょっと近い気がして、嬉しかったんだけど……
いん/うん、うん。
よう/あと、なんか……「科学について思うこと」はさ……別に「科学」って、「世界を知る唯一の方法」ではないと思うんだ。
いん/うん、うん……!
よう/で、大栗博士もそういうことを言ってるよね。「世界を知るための方法のひとつである」と。
いん/うんうん……!
よう/で、多分いまのところ「もっとも成功している方法」ではあると思うんだよね。
いん/うんうん(笑)確かにこの本って、先輩の言ってることと、ほとんどパラレル……ほとんど一緒なんだよな。
よう/うん。「唯一絶対の方法」ではないし、「科学的な方法でないものは全部だめだ」ってことではないんだよね。
いん/うんうんうん。
よう/いろんなアプローチの仕方があるからさ。
いん/はいはい。

よう/んで、これは蛇足だけど、えっと……俺は、別に「科学じゃないものの見方」をしても、別に全然いいと思うんだけど……
いん/うん。
よう/「科学じゃないものを科学だって言い張るのが腹が立つ」っていうだけの話なんだよね。
いん/あああ~!……でも、その話はこの本には出てこなかったでしょ。
よう/出てこなかったね。
いん/それが出てたら、もうほぼ先輩(の主張そのもの)でしたよね(笑)
よう/そう。俺は、似非科学はイヤなんだと。科学的に証明されていないことを、いかにも「これは科学的なことなんだ」というフリをするのが、腹立つって言うだけ。だってそれって正しくないじゃん!っていうことだからさ。
いん/分かるな~、分かるわ~。すっげえ分かるわ(笑)
(05分19秒)

よう/で、またさあ、その……仏教になんとなくシンパシーを感じるのは……
いん/うん。
よう/「縁起(えんぎ)」っていう、すごい大事な言葉があって。
いん/はいはい。
よう/「縁によって起こる」だよね。
いん/そうですね。

よう/ブッダの持つ世界観としては、「世界は色々な要素から成り立っていて、その要素が、互いに相互作用することによって……いろいろ集まったりバラバラになったりとか……、お互いに影響を与えながらこの世界が成り立ってる」っていう、「法則」があるんだ、と。
いん/うんうん。
よう/「その法則に従って全部が動いているんだよ」っていう話で。
いん/うん。
よう/この「ものの見方」は、科学にかなり近いというか、通底する部分があると思うんだよ。

いん/……そう。そうなんですよね~。いやだから、僕は、「法則が」っていうのを「神」って言っちゃうのが宗教だ、と思っていたから……。最初、そこは混乱してたんですよ。
よう/あ~、そうっすか。
いん/仏教では、「仏様=神様なわけではない」っていうことを知らなかったから……
よう/ああ、そうだね。その辺のことも(この本に)書いてあるよね。
いん/書いてある。

よう/で、だんだん時代が下がって、いわゆる「大乗仏教」が生まれてきたあたりから、ブッダの「神化(かみか=神格化)」が始まるわけだよね。
いん/そうですね。いわゆる我々が考える「宗教」に近づいてくるというか……。
よう/そうだね。まあ、「ブッダ」ってもともとは「悟った人」っていう意味でしょ? 「覚醒した人」とかさ。
いん/うんうん。
よう/だから、固有名詞じゃなくて一般名詞なんだよね
いん/そうですね。

よう/で、今、日本語でいうと「ナントカ仏(ぶつ)」とか、「ナントカ如来」っていうのが、「ブッダ」だよね。
いん/うんうん。
よう/だから、阿弥陀如来とか、薬師如来とかさ、「いっぱいブッダがいる」っていう世界観だけどさ。
いん/うんうんうん。
よう/いろんな時間軸……いろんな世界があって。あ、大乗仏教って、マルチバース(多元宇宙論: multiverse)なんだよね。
いん/マルチバースね!(笑)
よう/パラレルワールドなんだよね。で、「いろんな世界のいろんな時間軸に、いろんなブッダがいるはずだ」っていう世界で。あれ面白いよね(笑)
いん/面白いですよね(笑)そういうふうにしないと、ブッダに会えない。会えないと救われないから……って言う話が、後付けでジャンジャン出てくるっていう……。うんうん。
よう/でもさ、その始祖というか、発端になっているブッダ、つまりゴータマ・シッダールタっていう、インドにいた人は「自分で悟るしかない」って言いきってるしね。
いん/うん、そうなんですね。
よう/そうそう。だから「世界の理(ことわり)を理解して、それを受け入れろ」って言ってるわけだよね。
いん/うん。
よう/元も子もない思想だけどね(笑)
いん/生老病死(しょうろうびょうし)のアレでしょ。
よう/そうそう。
いん/生老病死っていうのがあって、それを受け入れろ」とか……。
よう/そうそう。人間の身体も、そういう「世界を構成する要素」が一時的に集まってできているに過ぎないのであって、「それらは変化する」というのが理。だから、「老いる、死ぬ」というのは、理にのっとった現象だから、当然だろう、と。

いん/うん。……で、こういう話になることを見越して、この本の序論では「でも、『仏教と科学の類似性』みたいなことを言われると、それはそれで腹立つんだよ!」みたいなことをふたりともしゃべってて、面白ぇなって(笑)
よう/うん、「それは違います」って最初に言ってるからね(笑)
いん/「そういうことじゃねぇんだよ」みたいなことを書いてあって、面白いなと思うんですよね(笑)だって、言いたくなるでしょ(笑)
よう/言いたくなるなる(笑)「曼荼羅と量子力学の、ここに共通点がある」とか(笑)
いん/あははは(笑)
よう/だから「仏教というのは、何千年も前から今の最先端の科学のことを見通していた、すごい」みたいなのは、やめてください!……って(笑)
いん/「そういうことじゃねえんだ」って(笑)すごい、あれ最高に面白いんだけど(笑)
よう/最高に面白いね(笑)最初、ダメ出しから入るからね(笑)
いん/「ええっ、そこ封じられちゃうの?」って思うけど、でも結局、仲良くしゃべってくっていうね(笑)

よう/うん。でもそれって結局、「神秘主義」だと思うんだよね。
いん/ああ、そうなんですね。
よう/その……「昔の仏教は特別で、すごいんだ」みたいなのは、「それは、神秘主義だからやめてね」ってことだと思うんだけど。
いん/そうなんですよね。

よう/むしろ、(本来のブッダの思想は)もっと客観的というか、元も子もない思想だと思うんだよね。
いん/うんうん。
よう/「老いるのも当たり前だし、死ぬのも当たり前だから、受け入れて」っていう思想だからさ。まあ、なかなかにツライものがあるんだけどさ。
いん/うん。そうですね。……ただ、アプローチの形は違っても、同じ山を登っていると、「アプローチの方向は違っても同じものが見えてくる時がある」っていう意味で、融合しているのであって。
別に「仏教が最初から科学の前を歩いていた」とか「同じ道の前を歩いていた」って言いたいわけじゃない、っていうことなんですよね。
よう/そうだね。ただなんか、世界観というか……う~ん……。「アプローチの仕方」は、むしろ(仏教と科学は)似てると思うんだよね。
いん/うん、確かに……?
よう/まあ「似てる」っていうと言いすぎかもしれないけど、「共通する部分がある」。
いん/俯瞰して見てみると、似てるんですよね。
よう/そうそう。「できるだけ客観的に世界を見て、その観察結果を受け入れて、そこから考える」っていうさ……。
いん/うんうんうん。
よう/科学も、やっぱり「実験結果ありき」だからさ。それを元に、「そこにどういう法則があるのか、論理的に考えてみましょう」っていう……
いん/はいはい。
よう/「世界に対するアプローチの仕方の1つ」だからね。
いん/うんうん、そうなんですよ。

よう/「実験するかしないか」とか「実証することにどれだけ重きを置くか」っていうのが、全然違うところではあって。科学は「そこが一番大事」って思ってるけど、まあ時代のせいもあるかもしれないけど、仏教は「実証する」っていうことに関してはそんなに重要視していなくって。「自分が知覚したこと、観察したことをもとに考えましょう」っていうことだから……
いん/うん。
よう/もしかしたら、ギリシャ哲学とかのアプローチにも共通するところがあるのかなって思うけどね。
いん/……「ギリシャ哲学」って、何スか?
よう/ギリシャ哲学って、「この世界はこれ以上分割できない粒から成り立っている」とかさ。

いん/ああ、あれギリシャ哲学か。
よう/うん。あと「この世界は火と水とナントカとナントカの要素が混ざってできてるんだ」とかさ……あと、「イデアっていうのがあってだな」とか。

いん/はいはい。あれギリシャ哲学か……なるほど。
よう/そう。「できるだけ世界を客観的に観察して、そこから真理を見出しましょう」っていうアプローチは、割と近いものがあると思うけどね。
いん/うん、うんうん。なんか、「哲学と、生命科学と人文学みたいなのが、全部、同根だった時代」があって……。
よう/うん。
いん/そこから(今は既に)分かれてるんだけど、科学の中にも意外とその「根」が残っている、みたいな話が、やっぱりあるわけですよね。
よう/うん。哲学と科学が分離する「前」っていう時代があったわけだよね。
いん/そうですね。いや、面白いですよね。

よう/ギリシャ哲学の中にも「神秘主義」みたいなのがあってさ。
いん/ほう。
よう/宗教的な行動をしているのも、確か、あるよね。
いん/ありますね、ありますあります。
よう/プラトンとか、確かそうだったと思うんだけど。
(12分42秒)

いん/うんうん。
よう/その辺は、多分、不分離だった時代なんだと思うんだけど……論理的なものと、宗教的なものが。
いん/そうですねぇ。
よう/ブッダは多分、「どうしようもなく世界が変わってしまうのに、それに悩む自分・人間」っていう対比というかさ……
いん/うんうん。
よう/死ぬのは当たり前なのに、それを「悲しい」とか「怖い」と思うように、人間の心は出来てるから。
いん/うん。
よう/その心のシステムを……「心的(しんてき)システム」って本の中では言ってたけどね、その「心的システム」を変えましょう、と。まあ「ものの見方を変える」でもいいと思うんだけど。
いん/うんうん。
よう/変えれば、「当たり前のことを当たり前だと思えるようになり、煩悩が消えます」っていう。
いん/うん(笑)
よう/そのためには……「めっちゃ修行しようぜ」ってことなわけでしょ?(笑)

いん/で、それが……そのままじゃ皆がついていけなから、「ブッダに会えれば消える」みたいに、だんだんアレンジが加わったものが日本に伝わっているわけですよね。
よう/そうそう。そんな(修行しましょうとか)言われてもさ……まあ「理屈はそうかもしれないけど、そんなこと出来んよ」って皆、思うわけじゃん。
いん/うん。
よう/「選ばれた人しか、悟れないよね」って皆が思い出してさ……
いん/「選ばれた人しか」、ねえ……
よう/仏教を信じていれば信じているほど……ブッダの教えを信じれば信じるほど、「それって、自分にはできない」って分かってくる。そうするとさ、世界は「闇」じゃん。
いん/そうですよね……「ストイックで、優秀じゃないとできない」みたいな。
よう/そうそう、優秀じゃないとできないと思うね。
いん/うんうん。
よう/で、だんだん「ブッダに会えばいい」っていう話になってくるわけでしょう。

いん/その「ブッダに会えばいい」って面白いですよね(笑)
よう/(笑)「最初にブッダに会って、そこから修行すればいい」っていうみたいになって、そこからだんだん「修行」のところが取れてきて……「ブッダに会えばいい」みたいな(笑)
いん/でも、「一番最初のブッダは もう涅槃に行っちゃってるから、次の新しいブッダが出てくるまでは皆、救われないってことになるじゃないか」ってことになって。……だから、ブッダは複数存在して、同じブッダがいろんな次元にいるんでしたっけ?(笑)
よう/そうそう、マルチバースにね(笑)「いろんなブッダがいるから、どこかで会えるだろう」って。
いん/「だからみんな、大丈夫」みたいな(笑)
よう/無限に宇宙があれば、絶対どこかにいるはずだ」っていう思想だよね。
いん/すごい考え方ですよね。
(15分16秒)

よう/そうだね(笑)ある意味、数学的な感じはするけどね。
いん/ちょいちょい、そういうところに……大栗先生が「次元が折りたたまれている」みたいな話を……チラっと、なんかビーンボールみたいに投げてくるのが面白かったですけどね。
よう/そうそう、「カラビ・ヤウ多様体」の話してたしね(笑)

いん/ああ、そうそう(笑)あと、地味にひどいのが、この佐々木さんって人をブラックホールに付き落とそうとするのが、もう、かわいそうでね(笑)
よう/そうだね(笑)
いん/かわいそうで、かわいそうで(笑)
よう/「佐々木先生が、ブラックホールに落ちたとします」みたいな(笑)
いん/そうそう(笑)
よう/物理の説明のときに、よくある軽いジョークだよね、ジャブというか(笑)
いん/本の中で、3回くらい、落としてますよね(笑)
よう/まあ、ホーキングもよく本の中で言ってたしね(笑)「残念ながら、ブラックホールではメールを打っても届きません」とか(笑)
いん/そうそう(笑)すぐブラックホールに落とすから、もう(笑)……でも、この本、良かったですよね。

よう/でもこれさあ……この大栗先生のゴリッゴリの理論物理の話さあ、説明されて分かるのかな……いや、俺も分かんないんだけど。でも、同じ説明をしている本を前に読んだことがあるんだよ。ひも理論の話とかさ。
いん/あ~……僕、これ読んで、特に違和感なかったんですけど……。大栗先生だって知らずに読んだ「ひも理論」の本、実は大栗先生のだったんじゃないかな?……って今は思っています。
よう/ああ、なるほどね。
いん/おんなじ説明の本を読んだことがあるんですよ、絶対に。
よう/ああ、そうかそうか。
いん/でも大栗先生と知らずに読んでたんじゃないかな。あとこの本、(読んだきっかけは)「大栗先生の本が良いから読みなよ」ってアイカワに言われたんですよ。
よう/ああ、なるほど。
いん/で、検索したらこれが出て来て、「面白いかな」って思って読んだ。で、選んだのは「仏教って書いてあるから、先輩も読むかもしれん」って思ったんですよね。
よう/いやあ、まあ読むよね。
いん/読むよね……。これ、面白いわ、この本……。でももう『真理の探究』っていう書名は、完っ全に忘れてました。「佐々木さんと大栗さんのふたりがしゃべってる本」としか覚えてない。
よう/うん、だから……「科学も宗教も、両方とも『真理の探究』なんだよ、方法は違うけどね」っていう話だよね。
いん/そうね~。いやその……、「一時的に構成要素が混じって、また戻ってく」みたいな話は、すぐエントロピーの話と結びつけたくなるじゃないですか。「お、エントロピーの話してる」って。
よう/なるなる。
いん/なりますよね。でもそれを序章でつぶされるわけですよね。
よう/そうそう。「安易にそれやるなよ」って(笑)
いん/「一致を安易に見つけて喜ぼうとするな」みたいな(笑)もうこれね、読む人を分かってるようにしか思えない。こういう本、好き。面白いね~……。
(17分44秒)

よう/この本……(言いかけて重なったので止める)
いん/これって……(言いかけて重なったので止める)
あ、ごめんなさいね。きっかけは……大栗先生、こないだ新しい論文を出してたんですよね、確か。
よう/ああ、そうだね、そうそう。
いん/なんだっけ……「対称性のやぶれの話から先が見つかった」とかなんとか……?
よう/書いてたなあ。……もう、覚えてないなあ。
いん/忘れちゃったなあ。で、それにコメントしたのか、発見者だったか忘れましたが、それで「大栗先生」ってのがTL(タイムライン)にドバドバって出てたから、「へ~」って思ったら、アイカワが「大栗先生の本、面白いですよ」っていうから、読もうって思ったんですよね。この本は3~4年前の本だけど。
よう/うん。あのさ、結構前だけど、「宇宙論についてのうすい感想」っていう回があったと思うんだけど……
いん/ああ、やりましたね(笑)
(18分28秒)

〔文字起こし〕いんよう!第26回【最近の宇宙論についてのうすい感想】
https://note.mu/youyakuhikki_ken/n/n00f0ad18ae1b

よう/うん。そこで「この世界は3次元じゃなくて2次元で、粒子……量子が相互作用することで、もうひとつの次元が立ち上がる」みたいなことが(日経サイエンスに)書いてあってさ。
いん/うん、言ってた言ってた(笑)
よう/「なにこれカッコイイ」って俺、言ってたじゃん(笑)
いん/あはははははは(笑)薄い、薄い(笑)
よう/この話、出て来てたもんね(笑)
いん/出てきてましたね(笑)
よう/出て来てたよ。「あ、次元立ち上がってる!」と思ってさ(笑)
いん/立ち上がってた(笑)もうねえ……全部、「面白ぇなあ」って感じで集まってきてるのが、いいですね(笑)そうそう……(笑)
よう/んでやっぱりね、宇宙論の話を研究してる人だからね……まあ、専門はひも理論だけど、「究極的には重力と量子力学を統一するためにやってる」って書いてあったからさ。
いん/うん。統一理論をね……。
よう/うん。で、まあその、量子力学と、重力……一般相対性理論だけど、それを融合するときに、「なかなか両立しない」っていうのが今、大きな問題としてあって。
いん/うん。
よう/それを考えるうえで、ホーキングが「ブラックホールを考えてみると、そこは量子力学も、一般相対性理論も考えてみなきゃダメだから、多分いい材料だ」っていう話をしたんだと思うんだよね。
「その2つを融合するために、あるいは矛盾するのを見るために、ブラックホールはいい題材だからやってみようよ」っていう話だと思うんだけど……
いん/なるほど。
よう/で、なんか色々問題だったところが1つ解決したっていう……。
いん/この本の中で、確か「ブラックホールについては解決した」っていう話をしていましたよね。
よう/「ブラックホールの情報問題が解決した」って書いてあったね。
いん/あ、そうだそうだ。
よう/「ブラックホールの中に吸い込まれた情報は、無くなってしまうのか」っていう問題ね。
いん/「それは無くならないんだ」って。
よう/なくならない。「ブラックホールの表面に全部、情報は保存されている」っていう。「……ほう!?」みたいな話だけどさ(笑)
(20分27秒)

いん/うん……なんでしたっけ、たとえ話してましたよね。なんか「筒の上に投写されてる」みたいな絵が1枚あって……
よう/あ、そうそう。ええと、「ひも理論」って、ちっちゃい輪ゴムみたいなやつが、物質の一番小さい存在というか……量子のさらに奥に入っていくと、ひもみたいなものがあって。これは多分、比喩的に「ひも」って言ってるんだけど。「ある振動のパラメータを持ってる」みたいなことだとは思うんだけど……。
いん/うん。
よう/普通は輪ゴムみたいに閉じてるんだけど、ブラックホールの表面に行くと、ええと輪ゴムが切れて、両端がブラックホールの表面にぴたっと張り付いて……なんか「取っ手」みたいになるんだよね(笑)
いん/うん、そう書いてた(笑)
よう/「それによって、情報が全部ブラックホールの表面にいるってことが分かりました」ってさ……。「ほう。全然分からん」と思って読んだんだけど(笑)
いん/あははははは(笑)これ、文字起こしするkeiさん、大変だろうな……あははは(笑)

よう/イメージとしては、開いたやつがペコッとくっ付くからさ。「おう、そ、そうなのかもな……」って(笑)
いん/分かるわかる(笑)
よう/でもなんか、ブラックホールの中って、その……要は、重力とか空間のゆがみが、光速を超えるわけでしょう?
いん/はい。
よう/だから、なんか因果律が壊れそうな感じがするんだけど……。
いん/僕、「虚数時間に入るんだ」と何となく思ってましたもん。
よう/情報がさ、(ブラックホールの)中じゃなくて、全部ギリギリの表面にいるっていうのはさ、何となく直感的に受け入れやすい感じがしたけどね、素人ながらに……。
いん/そう、「素人でも直感できる絵を描けるかどうか」っていうのが、ゴリゴリの物理学者の手前にあるわけですよね、多分。
よう/そうだね。
いん/うん。本当は、もっと……脳内の、それこそ9次元とか25次元くらいの思考をしている人たちが、我々に届くところにイメージを投影してくれて、それが見える時が、たまにあるんですよね。
よう/そうだね。
いん/まったく足りないんだけど、「そういうことを言いたいんだろうな~」っていうことを出してくれた人の理論だけ残る、みたいな……。
(22分32秒)

よう/あとね、観測の限界というか「観測できる小ささの限界」?
いん/はいはい。
よう/我々、生物学をやっていると、顕微鏡の「光学分解能」ってのが出て来て。
いん/はいはい。
よう/いわゆる、普通の顕微鏡ではだいたい、0.2ミクロンくらいまでしか、見れないんだよ。
いん/……それ、こないだ何かで読んだな。『病理と臨床』の最新号かなんかにも、それ、書いてあったんですよね。顕微鏡の人で、なんかすごい……東大の、トトロみたいな顔した人が、論文を書いてたんですけど(笑)

いん/それは、アレですよね、波長と、カイセキ効果か何かで……あ、回折(かいせつ)効果か。違いましたっけ?
よう/そうそう。えっと……多分、1点に集光できないんだよ、厳密にいうとね。
いん/ああ(うなずく)。
よう/まあ、それはいいんだけど……どうでもいいマニアックな話をすると……。
いん/あ~、今日、ぜんぶそうだ(笑)
よう/あ、そうだね、最初から最後までね(笑)えっとね……顕微鏡の……(と言いかけて)これ、多分反応するの今尾さんだけだな。
いん/あははは(笑)

よう/えっとね、顕微鏡の対物レンズに、「NA」ってのが書いてあるんだよ。「Numerical Aperture」って書いてあるじゃん。
いん/……あ、それそういう意味なんだ。
よう/あれって、日本語でいうと「開口数(かいこうすう)」なんだけど、あの値って1.4とか1.0とか書いてあるんだけど、あれが分解能に関係するんだよ。
いん/あ、そうなんですか。
よう/あれが大きいほど、分解能が小さくなるんだよね。
いん/ふ~ん……!

よう/で、俺らが使っているのは1.4くらいが限界なんだけど、そうすると、(分解能は)だいたい200ナノメートル(nm)くらいなんだよね。
いん/なるほど。「ナノ」ね。
よう/で、要は200ナノメートルってのは0.2ミクロンなんだけど……
いん/はいはい。
よう/それより小さいものを見ようとすると電子顕微鏡になる。なんでかっていうと、電子が持ってる波長がもっと小さいから。
いん/なるほど、光学(顕微鏡)では……というか「可視光では」無理だけど、ってことか。
よう/そうそう。電子線を使えば……電子を使えば、電子の波長は小さいから、ちっちゃいものが見えるというわけ。
いん/なるほどなるほど。
よう/でさ、それをどんどん突き詰めていくと、……要は「波長が小さいものほど、エネルギーは大きい」という法則があって。反比例するの。
いん/はいはい。
よう/だから、「よりエネルギーの大きいものをぶつければ、より細かいものが見える」っていう言い方もできるみたいなんだよね。
いん/おお~……。「波長をどんどん細かくしていけば、細かいものが見える」から、「エネルギーが大きいものをぶつければ、見える」と。なるほど。
よう/そうそう。波長が小さいものほど、エネルギーが高いから。
で、そうすると……「加速器」ってあるじゃん。
いん/ありますね。
よう/量子をぐるぐる、磁石の力で回して、光速の90数%くらいまでの速さにしてさ。
いん/はいはい。

よう/で、陽子同士をぶつけると、すごい速さでぶつかるから、そこでめっちゃエネルギーが出るんだっていう……。
いん/うん。
よう/で、エネルギーが高い状態でしかできない粒子、素粒子とかを見つける、みたいな。……で、え~っと、なんだっけ。なんか最後にすごいデカイやつが見つかってたよね、数年前に。
いん/あの、クオークの……
よう/ええっと……まあいいや。
いん/えーと……ヘビー、ストレンジ、みたいなやつ(笑)

(文字起こし人注:全然わけが分かってないのですが、ヤンデル先生のご発言について勝手に「これか……?」というのを貼っておきます(^^; )
https://www.kek.jp/ja/newsroom/2012/08/31/1800/

よう/あー、それもあるんだけど……「標準理論の証明になった」みたいな話なんだけど。

(文字起こし人注:こちらはよう先輩に確認しました。「ヒッグス粒子」のことだそうです)
(1)東京大学素粒子物理国際研究センター
https://www.icepp.s.u-tokyo.ac.jp/elementaryparticle/standardmodel.html
https://www.icepp.s.u-tokyo.ac.jp/elementaryparticle/higgsparticle.html
(2)HIGGSTAN(ひっぐすたん)(※可愛かったので(^^; )
https://higgstan.com/what-is-higgs/

いん/うん……。
よう/でさ、この本に書いてあったんだけど、「じゃあどんどんエネルギーをあげていけば、どんどん細かいものが見えるのか」というと……ある一定以上、エネルギーを1か所に集中させすぎると、「エネルギー=質量」だから、「そこにブラックホールができる」って書いてあるんだよね。
いん/そうだ。
よう/「確かにそうだ!」と思ってさ……。
いん/安定しないからすぐに消えちゃうんだけど、でもブラックホールにはなっちゃうんですよね。
よう/そうそう。で、ブラックホールの中身っていうのは……ブラックホールは光も何も出てこないから、要するに「観測できない」んだよね。
いん/うん、なるほど。
よう/ブラックホールが出来たら、ダメなんだよ。それ以上細かいところは観測できなくなっちゃうから。
いん/そうか……観測しようと思ってエネルギーをどんどん上げていくと、最後にブラックホールができた瞬間に、その先は観測できなくなる、と。

よう/うん。で、さらにそこから面白いなと思ったのは……
いん/うん。
よう/物理では、観測できないものは『ない』と考えます」ってあってさ(笑)
いん/あははは(笑)存在しないってことでしょ?観測できないものは。
よう/うん。だからブラックホールの直径があるんだけど、それより小さいものは「ないです」ってあるんだよね。「存在しません」って。
いん/(笑)突然のデジタルな世界観に……(笑)
よう/そこが、究極の大きさ(小ささ)なんだよね、多分ね。それが一番小さい世界で。
いん/なるほどなるほど。
よう/うん。
(27分37秒)

いん/あの……この本、割と全力でゴリゴリ物理で殴ってくるじゃないですか。
よう/うん、殴ってくる。
いん/割とこれ……仏教でもゴリゴリ殴ってるはずですよね。
よう/仏教のね……。「律蔵」って、要は「戒律」だよね。

いん/うん。
よう/修道院みたいなところ……「僧伽(さんが)」だっけ?
いん/うん、僧伽。集まる場所。
よう/そうそう、お坊さんたちが集まって修行している場所ね。
いん/はいはい。
よう/そこの戒律を書いた「律蔵」があって。
いん/「三蔵法師」の「三蔵」のひとつでしょ?
よう/あ、そうそう。律蔵と、あとなんだっけ……。
いん/経蔵(きょうぞう)? ケイゾウ? あと論蔵(ろんぞう)。「律・経・論」だかなんだかですよね。

よう/だね。その……なんだっけ、ええと……なんか、「異端をどうやって判定するか」みたいなのがあって。
いん/ああ、あったあった、あっはっは(笑)
よう/それを、「今までよく分かってなかったから、調べて明らかにしました」みたいな話があって。延々とその手の話が書いてあるよね。
いん/だから……僕、この手の話は初めて読んだんですけど、1回読んだだけでは、自分が何を読んだのかも分からなかったんですよね(笑)
よう/うん、分かんなかった。まあでもね、「まっとうな人文科学系の研究だな」っていう感じはしたんだけどね。
古文書みたいなのとか、あるいは……インドだから、(古代を研究するなら)石碑だよね。「王様の命令を彫り付けた石」みたいなのが残ってるから、その古代文字を解読しつつ……みたいな話。
いん/ああ、あったあった。「昔の文献以外に頼るものはないから、それを探して、昔どんなことが考えられていたかを明らかにしなければならない」って。
よう/うん。

いん/ただ、(昔の)歴史学者が作った文献は、時の権力に合わせて書いてあるから、「ウソ」が入ってる、と。
よう/ああ、文献っていうか、「歴史書」ね。
いん/あ、そうそう。「歴史書」。
よう/歴史書は権力者が編むものだから、事実が書いてあるとは限らない」と。
いん/うん。けれども、「全然関係ないもの……お役所の文書や石碑の注釈みたいなやつは、そういう圧力が加わってないから、かえって真実が書いてある」みたいなことを、ずーっと書いてあるんですよね(笑)
よう/そうそう。だから「歴史書を使わずに研究をすすめました」って書いてあるよね。要は、公平な文書と思われるものだけを集めて、仮説を作って、それをもとに歴史書を見ていく。そうすると、仮説とズレてるところは「権力者にとって都合が良いようにズレてる」から、これは仮説を否定するものではない……とか。そういうことを ひとつひとつやっていった、みたいな話だったよね。10年くらいかけて
いん/あれは、帰納でも演繹でもないから、大変ですよ。「仮説形成法」ってやつですけど……。もぉ~、説得力をあげるためには、日本語の能力が非常に高くないとできないやつですよね。
よう/ああ、そうだね。
いん/「すごいなぁ~!」と。あれを延々としゃべってるところが、「おもしれぇな~!」って思って。まったく分かんねえけど、「おもっしれぇな~!」と、ふと思うんですよね……
よう/あはは、そうだね(笑)理論物理学と同じくらい、「一見して分からない」んだよね。
いん/そう。何言ってるか分かんない者同士がしゃべってて、なんか面白いこと言ってるんですよね~。
(30分50秒)

よう/そうそう、そうなんだよ。まあ多分、仏教研究の話は、何回か読めば、なんとなくスジは見えてくると思うんだけど……。
いん/そうね。うん、うんうん……。面白いですよね、未だに仏教者……仏教を研究している人も、「仏教の解釈は、いまだに統一されていない」っていう……。まあそこに、宗教の本質があるのかもしれないですけど。いいですよね、「こっちのほうがいいんじゃないか」っていうのを何千年も繰り返してる、っていうのが、ちょっと面白いなあと思いますけど。

よう/そうだね。なんか割と、仏教ってどんどん分派していくしさ、どんどん変わっていくしさ……。
いん/そうそう(笑)
よう/だから多分、どっちかというと「1つの哲学の流派」でしょう?
いん/ああ、そうですね……。

よう/西洋哲学だって、弟子が連綿と続いていくわけじゃん。で、師匠の考えを一部改変したりとか、否定したりして、自分の哲学を作っていくわけでしょう。
いん/はいはい。
よう/「聖書があって、神がいて、これは絶対です」みたいな……。仏教の場合、争おうとしても、「神の言ったことの解釈」をめぐって分裂していくわけじゃなくて、新しいものを足してってるもんね。
いん/足してってますね。その場その場で足してってるんですよね~……。
いやしかし、面白くないですか? 僕、キリスト教やイスラム教はそれこそ全く分からないので、あんまり余計なことは言えないんですけど、あっちはそんな、何百、何千もの派閥は無いはずですよね、確か。

よう/まあいっぱいあるんだろうけど……ただ、なんか、仏教ほどは変容していないのかな~、と思う。
いん/ですよねえ。
よう/でも、イスラム教と……あ、違った「ユダヤ教とイスラム教とキリスト教」っていうのは、んーと……「(唯一神の)神を信じている」という意味では、同じなんだよね。
いん/なるほど。
よう/要はその「信じ方が違う」。「唯一絶対の神を信じている」点は同じで、その信じ方が違うって話でしょう?

いん/……なんか、そういうのでひとつ、世界の6割くらいの人達が信じるもの(宗教)ができて……。でも「メジャーなものができたからといって、世の中(世界)全体の人ががそれに飲み込まれるわけではない」っていうのが……。これ、行動経済学じゃなくて、社会行動学でもなくて……行動心理学?なのかな。要は「マイナーなものが残り続けてる」ってのが、面白いなあと。
よう/ああ……この場合の「マイナーなもの」ってのは、「仏教も含めて」ってこと?
いん/そう(笑)仏教を「マイナー」って言ってるから、面白いなあと思ったんですけど……。
よう/そうだね。確かに世界三大宗教には入ってるけれども、イスラム教やキリスト教とは全然、違うからね。
いん/違いますよね。しかも……日本みたいな土地柄だと、「他と隔離されてるから仏教がちょっと強くて」とか「神道に飲み込まれて」とか、いろいろあると思いますけど、「同じ大陸の中でも」生き残ってるっていうのが面白いなあと思って。「文化って、そうなんだなあ」と思いますね。
よう/確かにな~……。

いん/だって、「物理」って統一されてくんでしょ?これから。
よう/ああ……まあ、物理って言うか、「科学」っていうひとつのアプローチの仕方は、いちおう世界的に敷衍してるけど……。ただ、別に……なんていうのかな、科学に対して、全員が賛成しているわけじゃないと思うんだよね。
いん/まあそうですね……。いやでも、科学者の間でも「科学はなるべく統一していく」ような夢を誰もが見ているのかな、と勝手に思ってましたけど……。
よう/あ~(納得)。でもそれ別に、量子力学をやってる人と、一般相対性理論をやってる人……まあ、いないか。(気を取り直して)でも、それは「理論が矛盾してる」っていうだけで、「なんとか整合性のあるものにしよう」っていうところは、皆のコンセンサスなわけでしょう。
いん/そうですね。
よう/「この仮説が正しい」とか「こっちが正しい」というぶつかりあいはあるけど……
いん/ああ、一応あるのか。そうか……。

よう/だからといって、別にそれは「思想が違う」とかいうのとは、またちょっと違う気がするけどね。
いん/いや、言いたいことは分かりますよ。僕もまだフワフワで、今はじめて考えたことなんですけど……。「あるものは枝葉が落ちて1本の幹に収束して」「あるものはどんどん多様になる」っていうのが、歴史の中であって。かたや仏教みたいにブワーッと分かれまくったところと、そうじゃないところってのがあるのは、面白ぇなあと。
よう/あ~、そうだね。科学は観測結果・実験結果を厳密に解釈するからじゃないかな。
いん/あ~、そういう話なのかな~……。
よう/うん。「証明できたものしか正しいと認めない」っていう「流派」だからさ。
いん/そうですね。
よう/うん。だから、あんまり広がってはいかないよね。
(35分40秒)

いん/そうですよね。……いやなんか、全然関係ない話だけど、統一理論の話ばっかりしてて……そういえば仏教って、拡散してんな~っていうのが、今急に思い出して「へ~」と思ったんですよ。
よう/そうだね。浄土真宗ってね、一向宗とか門徒とか呼ばれてたけどさ。戦国時代に流行ったけど……あれはかなり、一神教に近いような気もするけどね。

いん/あ~、そうっすか。
よう/うん。阿弥陀仏っていうのがいて、我々全員、死ぬと極楽浄土に連れて行ってくださるっていう。
いん/ああ(笑)
よう/死ねば極楽浄土にいけるんだ」って、ある意味、現世での解脱というか、悟りみたいなのを否定してて。だからその……そういう、「ありがたい阿弥陀仏に対する感謝の心が湧き上がってくるだろう?お前ら」みたいなさ(笑)
いん/あははは(笑)
よう/だから南無阿弥陀仏と唱えるんだ、みたいな話だけどね。
いん/なるほど……。
よう/戦乱の時代には、かなり強力な宗教だよね。
いん/そうですね。
(36分41秒)

★アニソンコーナー『NO,Thank You!』(けいおん!)

よう/さて、じゃあ……(文脈が変わるときの言い方)
いん/あっはっはっは(笑)
よう/え~、もう待望の!
いん/た、たいぼう……?
よう/『けいおん!』の曲の話をしようか。
いん/あはははは(笑)お願いします。ええと、どっちから?
よう/じゃあ、『NO,Thank You!』からいきましょうかね。

いん/これは、どういう曲……?
よう/『けいおん!!』の、第2期のほうの、2クール目のエンディングテーマです。

いん/これ、エンディングテーマ……っていうか、「け、『けいおん!』……なんだなあ?」って感じなんですけど。
よう/なるほど?
いん/……というのは、完全打ち込みの曲なんですよね。
よう/うん。
いん/何をいってるかというと……『けいおん!』って一応、軽音楽部をモチーフにした、というか……あんまりそういうのは前面に出てはいないかもしれないですけど。だから、もうちょっと「バンド」に寄せてくるのかなって思ってたんですよ。
よう/あれ?……バンドサウンドだと思うけどな、これ。

いん/うん……「放課後ティータイム」の、『NO,Thank You!』でしょ?
よう/そうだね。
いん/……なるほど。これを聞いて、……(よう先輩と重なったので止める)
よう/最初は打ち込みだけどね、冒頭は。ギターとドラムが入ってくるじゃん。まあベースも入ってくるけど。
いん/……入ってます。
よう/あれが打ち込みだって話?
いん/あの、楽器構成は「全打ち込み」だと思ったんですよ。
よう/なるほど、そうっすか。
いん/ドラムも、ギターもなんですけど……んー、ギターもそうだと思ったんだよな(ぼそぼそ)……っていうか、あの、用意されてる音が、ほぼすべて打ち込みで作られていて、かつ、ボーカルも「放課後ティータイム」という仮想のバンドのキャラクターたちの声に、「あててない」感じがしたんですけど。
よう/うん、それは正しいと思う。

いん/そう……ですよね? なんか、「放課後ティータイム」っていうのは、この歌を歌うためだけじゃなくて、『けいおん!』系の挿入歌とかを歌うやつは、この名前で出てるんですか?
よう/……そうだね。「放課後ティータイム」でいいと思いますよ。キャラクター達が歌ってるっていう。
いん/……なんか、「思ったよりキャラクターっぽくない歌い方だな」と思って……ちょっと、不一致があったんですよね、聞いてて。

よう/うん。あのね、オープニングは「高校生の放課後ティータイム」が歌ってるんだけど、エンディングの方は、なんかプロデビューしてるんだか、要は「もうちょっと大人になったメンバーが歌ってる」みたいな……
いん/(途中からかぶせて)あーっ、そういうこと~~~!!!あっはっはっは……(笑)

よう/もうちょっと大人になって歌ってるの。だから、衣装とかも、すごく大人っぽくて、おしゃれで、かわいくてかっこいいのを着てるんだよね。映像を見れば一発で分かる。
いん/……それはね、映像を見ないと分かんなくて(笑)
よう/オープニングはちゃんと制服で歌ってるんだけど、エンディングはなんか、おとなっぽいんだよね。だから、曲調もそういう風になってる。
いん/そこまで練られてたんだ……!!いや僕「完全に合わねえ!」って思って。
よう/えへへへ(笑)
いん/「なんで先輩、これ投げてきたんだ?」「どういうことなんだろう」と思って。「これは、先輩が僕をだますために、曲名をイジった別のファイルを送ってきたのか」と思ったんですよ。

よう/だから「『けいおん!』ってどうせフワフワした音楽やってんだろ?」という、いっちーの偏見を壊してやろうと思って(笑)
いん/あははは、くっくっく(笑)……っていうかですね、僕は『けいおん!』の原作は読んでるから……。あれと、この曲が合わないんですよ。
よう/そりゃそうだ。
いん/だから、「おかしいな、おかしいな」と思って。「なんで打ち込みで、こんな成人の声で歌ってるんだろう」って。でもバンドの名前は「放課後ティータイム」になってるし、おっかしいなあ、合わねえなあ、と思ってたんですよ。分かった(笑)

よう/あの、京アニは、良い意味でちゃんと原作をふくらませるから。
いん/はっはぁ~!
よう/だから、原作を読んだイメージだけで、アニメの『けいおん!』を想像すると、ギャップがあるかもしれないな。
いん/これは、ものっすごい、あったと思います。ああ、なるほどな~……。ようやく分かりましたよ、「なんでこれ、すごい成人の声で歌ってるんだろう」とか、「なんでゴリゴリの商業打ち込みなんだろう」とか……全部分かった。そうかあ……分かるなあ(笑)
よう/あははは(笑)
いん/ぐうの音も出ない(笑)あはははは……
よう/ぐうの音も出ないだろう?(笑)
いん/(小声)ぐうの音も出ない……いや、そんな感じです。あはははは……。

よう/……さあ、じゃあ、いいですかね。
いん/あははははは(笑)
よう/今、ちょっとその画像を送りつけてやろうと思ったんだけど、間に合わないから、いいや。
いん/ちなみに、その曲の……ええと、なんていうか「曲の種類」は、王道のアニソンよりも、もうちょっと……あのですね、あっちなんだよな、「レベッカ」でもないんだけど……
よう/ああ、そうだね。
いん/「プリンセスプリンセス」とかにも、ちょっとリスペクト入れてる感じはある。
よう/ああ~、なるほどね。
いん/そう。あとは、ちょっと古いけど、「access」とかですね(笑)あの、昔のキーボードとかシンセサイザーを使った音……まあキーボードとシンセサイザーは全然違うけど……そういう音を使ってたときの、5人組くらいのバンドの打ち込みが入ったころの曲をリスペクトして作っているんですね。そういうイメージ。
よう/あ~、そうか。基本的に、ええとね……まあ、(「放課後ティータイム」は)5人メンバーがいるじゃん?
いん/はいはいはい。
よう/で、2(ツー)ギター、ベース、キーボード、ドラムっていう構成でしょ?バンドが。
いん/うん、確かに(笑)
よう/だから、一応それは加味して作っている気はするけどね。キーボードは必ず入ってる、とか。
いん/そうなんだろうな~……。これを今作るってのは、逆に難しい。音楽オタクじゃないと、作れないと思います。
よう/そうっすか。
いん/今、あまりにこういうのが無くなってて。そんな感じでした。

よう/さて。今日はもう、ただ訳の分からないことをね、しゃべってたけど(笑)
いん/keiさん、死んじゃうかもしれない(笑)
よう/楽しかったです。
いん/あはははは(笑)
よう/はい、ありがとうございます。
いん/ありがとうございました。
(42分57秒)

(♪)
(了)

※『いんよう!』文字起こしシリーズのインデックスページはこちらです。


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