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[文字起こし]第26回【最近の宇宙論についてのうすい感想】

第40回の「お手紙回」で言及されていた宇宙論の回です。面白いけど分からん!……っていう(笑)宇宙の話、私は子供の頃に学研まんが『宇宙のひみつ』を読んで面白いなあと思ったり、中高生でたま~に科学雑誌をかじったりした程度ですが、確かに用語が印象的ですよね。

第40回【メールを読む回!!】はこちらから。

(♪)
よう/先週に続いて、「アニソンを投げつけるコーナー」から行こうと思うんだけど。
いん/はい(笑)
よう/今週は『叫べ』という曲。『魔法少女育成計画』っていうアニメのオープニングテーマですね。

いん/ふむ(笑)
よう/この作品は、同じ名前のライトノベルが原作で、毎回、キャラクターが死んでいくっていう、けっこうなダークファンタジーなんだけど……。
いん/えぇ~……。
よう/まあ、作品タイトルから想像する通り、「魔法少女たちが生き残りをかけて戦う」っていう、サバイバルダークファンタジーみたいな感じなんだけどね。
いん/へええぇ~!
よう/絵柄自体は可愛くて、「割と可愛らしいデザインのキャラクター達が」「死んでいく」という、割とギャップのある作品なんだけどさ。……どうでしたか?

いん/ふむ。あのですね、この曲も……前に聞いた曲と同じ感想になるかもしれないけど、「まさにアニソンの曲」っていう感じ。
よう/ああ、そうかもしれないね。
いん/そう。これが僕の考える「アニソンの王道」なんですよ。
よう/ほう……どの辺に、それを感じるんだろうね?


いん/えーとですね。「演奏のピッチが早くて」「ボーカリストの技術がなくても歌えそうに作ってある曲を」「妙に上手いボーカルが歌う」
よう/なるほど……ふ~ん……?
いん/あのですね。すっごい情感を込めて歌おうと思うと、むしろ「ペースを落とした曲の方が難しい」と思うので……。
よう/あー、そうかそうか。ノリがいい曲だから、ボーカルの上手い下手に関係なく、「なんとなく曲としては成立する」ってことね。
いん/そうそう。成立するんですよ。
よう/うん、「でも、結構上手い」みたいな感じね。

いん/そう。なんか最近のアニソンって、ラジオでも時々かかるんですよ。垣根がなくなってきて。
よう/なるほどね。
いん/普通の、「ポップスをバンバン流しているような中高生向けのラジオ」とかでも、かかってくるんですけど……
よう/ああ。
いん/ただ、この曲を聴いてて本当に思うのは……なんか、「みんなボイトレ受けてそう」みたいな。
よう/ああ、そうだね。声優さんは皆、受けてるだろうね。もう(今は)歌うことが前提だからね。いろんな場所で。
いん/ええ。あ、この人も声優さんなんですよね?
よう/うん、声優だね。あの~、沼倉 愛美(ぬまくら まなみ)さんっていう人で、今、デビュー10年ぐらいかな。で、ほぼ最初の頃から『THE IDOLM@STER(アイドルマスター)』の響(ひびき)っていう役をやっているんだよね。
いん/おお、ふ~ん。

よう/まあ、だから最初からずっと、歌を歌っているわけだ、キャラクターとして。アイマスのライブとかでもずっとやってきてて。だから、そもそも最初から上手い人なんだよ。
いん/うん。
よう/で、今回初めて、自分の名前でアーティストデビューして、そのデビュー曲なんだよね、これ。
いん/へええ~、そうなんですか!これが……。
よう/うん。

いん/なんか……僕、北乃カムイっていう、……萌えキャラ……?
よう/ああ、北海道の……ゆるキャラでもないけど、Vtuber でもないな……何だアレ?

いん/あれはですね、みんなが「なんで Vtuber やらないの?」って言ってるくらいなんですよ。「どう考えても、君の活動は Vtuber 向きでしょう」って。
よう/そうだね、キャラデザインがちゃんとあってさ。Twitter とかもやってて。
いん/そうですね。あれ、ちゃんと説明すると……
よう/うん。
いん/「初音ミク」は、有名なのであまり知らない人はいないと思うんですけど……初音ミクを描いたイラストレーターさんがデザインした、「北乃カムイ」というキャラクターが、まずあるんですよ。
よう/あぁ~、そうなんだね!
いん/そうなんです。あれ、「初音ミク」の元絵と同じタッチなんですよ。
よう/なるほど、そういうことか……。

いん/で、その強力な絵をもとに、北海道の様々なものをPRしたり、「商工会議所が本来やるようなこと」を草の根レベルでやったりしている人たちがですね、「北乃カムイ」というキャラクターをうまく作り上げながら広報していくという……結構、真面目な活動なんですよねアレ。
よう/なるほど。
いん/それで、北海道知事とか札幌市とかとコラボしていたり……こないだも、新札幌っていう、札幌駅の隣にある駅の中にある「案内マップ」にそのまま採用されたりして、そこそこ真面目にやっていて……
よう/結構、公式感が強いんだね。
いん/そうなんです。で、その公式の「北乃カムイ」のプロジェクトのひとつに……
よう/うん。
いん/企業とコラボする「絵」だけじゃなくて、実際のイベントで歌ったり、イベントで司会をやったりするために「北乃カムイを演じる人」っていうのが必要なんですよね。
よう/うんうん。……なんか1回、いっちーもコラボしてなかった?
いん/僕は1回、対談してます
よう/ああ、そうだよね。

いん/そうなんです。その時会った人が、初代の北乃カムイなんです。
よう/「初代」!!
いん/そう。「初代」なんです。
よう/はああ~!
いん/その人は、shiho(しほ)さんっていう女の人なんですけど……もともと、歌ったりアニソンしたり、声の仕事やコスプレをしたり、そういうことをやりたい人で。「北乃カムイプロジェクト」でも活躍して……でも、卒業してったんですよ。
よう/はああ、なるほど。

いん/それでその人、CD 出したんです。
よう/自分の名前で?
いん/そう、自分の名前で。その時は、クラウドファンディングで無事お金が集まって、CDを出したんですけど……
よう/今っぽいね。
いん/今っぽいですよね。すごく今っぽい。本当だったら、プロかどこかに所属してないと出来ないようなことを、コンポーザーみたいな人とか楽曲提供者とかと、クラウドファンディングを使いながら、一時的に組んで曲を出したと。で、アルバムを2枚ぐらいだしているんですが……その1曲めに、この歌の曲調がそっくりなんです。
よう/へぇ~……ちょっとハイテンポで、でもメロディアスでもあるよね。
いん/そうです。ただ、最大の特徴は……「再生ボタンを押して、最初の数秒以内にサビがくる」っていうところなんです。
よう/ああ……それは、アニソンにはめちゃくちゃ多いね。
いん/そうなんです。だからこれは、「アニソンの構成」なんですよ。
よう/ああ……(納得)。
いん/その shiho さんっていう人……つまり北乃カムイの「中」というか……「外」をやっていた人を、僕は結構リアルタイムで見てて。
よう/ああ。
いん/なんていうんですかね、本当のプロの声優やアニソン歌う人とは違う、「クラウドファンディングレベルでやりたい人が夢を叶えていく所」っていうのを、結構近くで見ていたんですよね。仲が良かったので。
よう/うん。
いん/その時、思ったのが「ああ、アニソンの作り方っていう公式があるんだな」って。今回の歌も、まさにそれ。


よう/そういうことか。まあ、アイドルソングとかもそうかもしれないけどさ……全体に、サビって前に寄ってきてるんだよね、聞いてもらわなきゃダメだからさ。
いん/うん。そんな気がします。で、それを完璧にやり切ったのが、『けものフレンズ』の(第1期 OPの)「♪ Welcome to ようこそ ジャパリパーク」(『ようこそジャパリパークへ』)なんですよ。あれはサビが最初にくるから。

よう/うん、そうだね。いやアニソンってさ、フルバージョンは4~5分あるけどさ、「90秒バージョン」っていうの必ず作るんだよね。
いん/ほほう……!
よう/1番だけなんだけどさ。1番だけで、さらに後ろの方のリフレインみたいなのをカットするとか、色々していると思うんだけど……
いん/ほうほう。
よう/1番と2番の最後をつなげたりとか、いろんなパターンがあると思うんだけど……俺は詳しくないからよく分からないんだけど、とにかく30分のアニメならオープニングもエンディングも「90秒」なんだよ。
いん/ふむ。
よう/で、5分アニメだともっと厳しくて、「1分」なんだよね。
いん/なるほど~……。
よう/そういうのをまず、テレビ用に作る。あと、CD を発売する時に「テレビバージョンの短いやつ」と「フルバージョン」の両方を売り出すっていうさ……。
いん/はぇ~!!
よう/だから、90秒で完結するように、色んな要素を入れ込んで……
いん/おお……。
よう/さらに、「キャッチー」じゃなきゃダメだし、「世界観を表して」なきゃダメだし、でも「何回聴いても飽きない」っていうタスクがあるわけだよね。
いん/なるほどなあ~……。昔は、そこまではっきりしてなくて……でも、『ガンダム』(の主題歌)は、最初にサビが来てるんですよ。「燃え上がれ 燃え上がれ」ですから。

よう/そうだね。あの頃は、「作品の名前」とか「必殺技」とかを、もろに曲の中に入れるっていうのが大事だったわけでしょ。作品のオープニングっていうか、「顔」になるためにはさ。
いん/確かに……。
よう/今は若干……もうちょっと婉曲的というか、間接的に入れるんだけど。それでもやっぱり、「作品に寄り添ってる」感じはするよね。
いん/おお……なるほど!
よう/まあ、「完全に違う曲として成立してる」っていう歌もあるけど。

いん/うん。ええと、あとは……僕、アニメのタイトルを忘れた状態で、この曲を聴いてたんですよね。さっきの『叫べ』という曲。
よう/ああ、はいはい。
いん/で、「男性主人公の曲」だと思って、聴いてました。
よう/ああ……まあ、バトルものだからね。
いん/「バトルもの」ね……。あと、美学的なものも、「なんとなく男性性を感じさせるような作り」なんですけど、ちょっと倒錯してるんですよね。女性のボーカルが朗々と歌っているから。
よう/なるほどね。
いん/なんか、「掲げられた正義がちょっとおかしいよね」っていう曲なんですよ。
よう/ああ、うん。そうだね、それがこの作品(『魔法少女育成計画』)っぽいのかもしれないね。
いん/ああ、一応そういうのを考えてるのかな~。へえぇ……。いや、アニソン面白いですね(笑)ちょっとまた、投げれるのがあったら投げてください(笑)
よう/いやだから、ストックは50曲ぐらいあるからさ(笑)
いん/あははは、ありすぎる(笑)ぜひぜひ。楽しみにしております。
(10分22秒)

★本題

よう/で、ですね。今日はですね、うす~いことを言おうと思うんだけど。
いん/(笑)
よう/最初に今、言い訳から入ったけどね。自信がないときの定番だけど(笑)
いん/(笑)あなた、「うす~い」が好きだから(笑)……まあいいですよ、はいはい。
よう/えーとね、俺は理論物理学が、好きっていうか、ちょっとファンなんだよね。「理解はしていないが、なんとなく好き」なんだ。
いん/ほう。
よう/で、え~と……何年か前にノーベル物理学賞を取った「小林・益川理論」とか……。

よう/あれは素粒子に関する論文だと思うんだけど……。
いん/はいはい。
よう/あれも、なんかすごいなと思うんだけど、なんか、「宇宙論」みたいなのも好きで。
いん/あ~、はい。
よう/昔、ホーキングの本がめっちゃ売れたじゃん。もう、亡くなっちゃったけどね。
いん/はい。こないだ、ついに亡くなりましたね。
よう/あれから入ってるのかもしれないけど……まあ、あの人はブラックホールのこととか、いわゆる「宇宙論」だと思うんだけどさ。
いん/うん。
よう/でね、今更なんだけど、別冊日経サイエンスの『量子宇宙』っていうのを読んでて……
いん/おお、いいとこいきますね。

よう/まあ、ちょっと前のやつなんだけど……あ、ごめん、2018年だ。結構最近だわ、ごめんごめん。
いん/へえ~。
よう/で、あの~……なんで好きかって言うと、パンチラインが強いんだよ。
いん/ほう!
よう/理解はしていないが、なんかでも、言葉がね……パンチラインが強いんだよ。例えば……俺、全然こういうのを最近追いかけていなかったから、知らなかったんだけどさ……
いん/ふむふむ?

よう/空間ってさ、3次元じゃん。「縦・横・高さ」だよね。
いん/はいはい。
よう/でも最新の仮説ではね、2次元らしいんだ。
いん/ぶふふふ(笑)あれ~? 逆になってる! おかしいな、思ってたのと違うな(笑)
よう/そうそう(笑)超ひも理論というか「超弦(ちょうげん)理論」では、9次元とか言われてるじゃん。
いん/はいはい。
よう/あれと、どう関わりがあるのか分からないんだけど……別に、それと反対する人たちが掲げているわけではなくて。まあ違う側面のことなんだと思うんだけど……
いん/ふむふむ。
よう/「私たちは3次元空間に存在しているが、実は本質は2次元空間にあり、その平面世界」……つまり2次元だよね。「平面世界における物質の振る舞いの中から、もう1つの次元が立ち上がってくるのではないか」と言っててさ。「マジか!」って感じがするじゃん。
いん/ア、アニメ……!?(笑)
よう/「SF!?」みたいな(笑)
いん/うん、なるほど(笑)

よう/なんか……なんていうかさ、これ、妄想じゃなくて、いろいろ数学的なモデルとかを立ち上げていく中で、すごい、蓄積してきた研究があるわけじゃん。で、「今」がここなんだよね。
いん/いやあ、それ、いま先輩が言った通りなんですけど、適当に考えて言ってるんじゃなくて、「数式を立てて考えていくうちに、そういう風に解釈できるようになった」のが、「今」ってことですよね。
よう/そうそう。「そういう風に解釈せざるを得ない」って感じだよね。
いん/すげえなあ……。確かにそりゃ、パンチラインは強いわ(笑)だって、「2次元から別の次元が立ち上がってくる」って、アニメにハマった人が言っているセリフと本当に一緒ですからね。
よう/「中二病感」がすごいんだよね。
いん/うん、中二病感がすごい、あはははは(笑)

よう/だから俺、このパンチラインが結構好きなんだよね(笑)昔から好きなんだけど、今のネット的な言葉で言うと、「厨二病的なパンチラインが強いなあ」って思うんだよ、宇宙論って。宇宙論というか、宇宙を取り巻く物理学っていうか。
いん/わっかるなあ……。「ビッグバン直後の10のマイナス何十分の1のインフレーション」とかいう話ですよね(笑)つよい!
よう/そうそう(笑)だけど、その次に出てくるのが「30万年後に、温度が下がって素粒子ができ始めて」っていう話で……「その30万年、どこ行った!?」って(笑)
いん/あっはっはっは(笑)
よう/スケールがよく分からないことがいっぱい出てくんだよね(笑)
いん/本当ですよね(笑)

よう/で、この「量子宇宙」っていう概念は、すごいおおざっぱな俺の理解で言うと、「ホーキングが始めたことらしい」んだけど……
いん/なるほど?
よう/まず、アインシュタインが作った「一般相対性理論」っていうのがあって。
いん/はい、ありますね。
よう/「重力と、それにまつわる時空(時間・空間)の関係」を表したのが「一般相対性理論」。これはもう、100年前くらいになるんだよね。
いん/ああ、もうそんなになるのか。なるほど。
よう/で、だいたい同時期に出てきた「量子力学」っていう……すごいちっちゃい、陽子とか中性子とか素粒子と言われているものを扱う理論があって。
いん/はい。
よう/いわゆる「量子の場所は確率でしか表せない」とかさ。
いん/はい。
よう/あと「量子トンネル」とか、最近だと「量子コンピューター」とか、そういうものが出てきている、すごく大事な……物理学の中でも大事な基礎的な部分なんだけど。
いん/うんうん。


よう/この2つを融合しようっていう試みが、ホーキング博士あたりから始まったらしいんだよ。
いん/ああ、なるほど。
よう/で、なんか……ブラックホールとかの、すごい大きなモノや空間を扱う「一般相対性理論」と、すごくちっちゃいものを扱う「量子力学」「量子論」っていうのは、相性が悪いんだってさ。数学的に、いろんな意味でも。
いん/ええ、なんかそれは聞いたことがあります。
よう/この2つは、融合しにくいらしいんだ。それをどうやったら融合できるのか、どうやったら統一した理論になるのか……。で、それを統一するための仮説として有力なのが、いわゆる「超ひも理論」とも呼ばれてる、「超弦理論」らしいんだよね。
いん/あ~、なるほど?(笑)
よう/「あーなるほど、全然わからん」みたいな(笑)

いん/いやあ、僕もですね、その辺は好きで……一応その辺り、読んでるはずなんですけどね(笑)
よう/ふふふ(笑)俺もこれ、読んだ直後だからいま話せるけど、1週間後に聞かれたら「う~ん?」って言ってると思う(笑)
いん/何でも、そうなんだよな……。
よう/理解してないからね。いやそれをさ……話を理解してくれっていうわけじゃなくて。
いん/うん。
よう/あまりにも、実生活の感覚とかけ離れてるじゃん、理論物理学の世界って。だから……
いん/(ややかぶせて)「一般相対性理論」までは、ギリッギリ……
よう/そうそう、そこまでは、なんとなく想像できなくもないんだけどね。
いん/うん。
よう/数学的にはめっちゃ難しいけど……
いん/「量子力学」から、危ないんだよなあ……。
よう/「わけがわからん」のだよね。感覚というか、直感と離れすぎててさ。
いん/そうなんですよね……。

よう/で、その直感から離れているものを、数学の力を使いながら積み重ねてきているのが、すごいなあと思うし……
いん/そうですね。ほんとにそう。
よう/実際、それを基に現象が確認されててさ、技術的にも応用されているわけだよね。
いん/うん、そうですね。


よう/だからさ、「真実は何か」を措いといたとしても、ちゃんと現象をとらえてるわけでしょ。
いん/うん。
よう/だから決して、妄言ではないわけだよね。
いん/そうですね、本当にそうだ。
よう/だから、「我々が感覚的に持っている世界の感覚」とは また違うものがあってさ。それを言葉にすると、すごい中二病になるっていうのが、俺は好きで。
いん/分かるなあ、すげえ分かる。

よう/俺ら、空間は「入れ物」だと思ってるじゃん?
いん/……おお?はいはい。
よう/「空間があって、その中に俺らがいたり、物が動いてる」と思ってるじゃん。
いん/そうですね。
よう/最近は……なんか、「量子もつれ」っていうのがあるらしくって。
いん/おおおお(笑)
よう/「2つの離れたところにある粒子に、相関というか関連性がある」みたいなのを、「量子もつれ」って言うらしいだけど……。それ以上のことは俺にも分からんけど。
いん/うん。
よう/でも、その「量子もつれ」が、「時間とか空間を生み出してるんじゃないか」って考えられてるらしいんだよね。
いん/はあ、なるほど。

よう/「空間がまずあって、そこに時間が流れていて」っていう世界観じゃないらしいんだ。
いん/なるほど(笑)
よう/「量子のもつれから時空が立ち上がる」らしいんだよね(笑)
いん/ああ……うん……。たぶん、そういう人達って、「虚数が実数になってた瞬間が気に食わない」みたいな話を、ずっとしてるんですよね。
よう/そうだね。「虚数でしか答えが出てこないから何とか」っていうことだよね。
いん/「世界が、つまり無から有が生まれたその瞬間は、何かの対称性が破れてないと」みたいな話をずっとしてるじゃないですか。
よう/してるしてる(笑)
いん/そう。「いいじゃねえか!」って言いたくなるけど(笑)でも、彼らの言いたいことはわかるし、「それが最初にパッとできたものが何で消えなかったの?」っていうのを、確率計算とかをすごくしながら推論しているわけですよね。
で、その言葉が後世に残る時に、なぜか「強力なアニメっぽい言葉」を伴うんですよね。
よう/結果としてそうなるんだよね。
いん/「対称性のもつれ」とかなんとか。


よう/これはさ……我々一般人に説明してくれるときに、いわゆる「自然言語」で表しているから、そうなるんだけど……
いん/そうですね。
よう/でも、彼らは「数学」で考えているはずなんだよね。
いん/そうですよね。
よう/それを自然言語に……というか、「直感的な理解に直す」時に、そういう強い言葉になると。それが何かおもしろいなーっていうだけなんだけど……。なんせ俺は数学が分からないからね 。
いん/(笑)なんか、「数学が分かっていて強い言葉が出てこない人の理論」って、後世に残っていかないんじゃないですかね。
(♪チャイム音)
(20分04秒)

よう/いや~、わからん(笑)何も分からないよ(俺には)。
いん/(僕も)分かんないけど、でも確実に「変な名前」って、残るじゃないですか。……てか、それだけしか我々が覚えられていないだけなのかなあ……。
よう/そうそう。
いん/だいたい、「量子もつれ」っていう日本語訳した人も、頭おかしいですよね。何を訳したらそうなるんだ?
よう/「entanglement(エンタングルメント)」の日本語訳らしいよ。
いん/「entanglement」が「もつれ」って……そもそも訳せないけど。そうか、「もつれ」かあ……いやあ、すげえなあ……(ぶつぶつ)

よう/そうそう。「量子もつれ」の説明が、(別冊日経サイエンスに)一応書いてあるんだけど……。「距離を隔てた物体の間に、ある種奇妙な相関関係の存在を主張している」って書いてあるんだよね。
いん/んふふふ(笑)いい日本語ですね、すごいな~(笑)
よう/うん。なんか、「距離が離れたところにある2つの粒子があって、物理的に相関がないのにも関わらず、その間に何か相関があるようにあるような振る舞いをする」っていうことなんだけど……。これ、例えとして、こう書いてあるんだ。

「手袋の片方を持って外出し、もう片方は自宅に置き忘れたとしよう。ポケットの中を探すまで、家から持って出たのが右手用なのか左手用なのかは分からない。」

よう/なるほど。

「だが、ポケットを探って、それが右手用だと分かった瞬間に、家に残してきたのが左手用だとわかるだろう。こういう風に、今2つの量子が関係性を持っている」

よう/
……と書いてあるんだけれどさ。
いん/
それ(その例)は、分かる。
よう/
うん。「この手袋の例はわかる」。が、(現象は)分からん!……みたいなことになるわけじゃん(笑)
いん/
ふはははははは(笑)
よう/
で、この量子もつれが……手袋の左手と右手がだね。

「そうした微小構造の量子もつれが、時空そのものを生み出しているのかもしれない。例えて言えば、量子もつれは『2つの系を結びつける糸のようなもの』だと見ることができるといえよう。」

いん/読んでるんだ(笑)なるほど。
よう/うん、「量子もつれは糸のようなものだ」と。2つを結びつけているからね。
いん/うんうん、なるほど。

「この量子もつれの数が増えると、糸の数が増え、それらの糸がおり合わさって、『時空』という織物が出来上がる」

よう/……と書いてあるんだけどさ。
いん/考えたな……。
よう/これ、いいよね~。
いん/いいですねえ。
よう/中二感あるなぁ……。
いん/これ、中途半端な理解だけで、アニメにできますもんね。
よう/できるできる。なんとなくね。
いん/できる。何言ってるのか全くわからないけど、描けるもんなあ。いやあ、文学だな~……。

よう/なんかさ、「ERブリッジ」とか「ER理論」とかさ(笑)そういうのが、いっぱい出てくるんだよ(笑)
いん/ああ、もうだめだ(笑)。「 CP 対称性の破れ」っていう言葉は、すでに格闘漫画では出てるって誰かが書いてましたよ(笑)
よう/ああ、そうなんだ(笑)
(23分06秒)

よう/これさ、なんか……本人たちは別に、「かっこいい」とか、そういうことを考えているんではなくて真剣にやっている中から出てきてるんだけどね。生命科学とか医学などでも、命名ってあるじゃん。病気にも名前をつけるし、なんかの理論にもつけるよね。それって「わかりやすくしよう」っていうことで付けてるんだけど、それを外野から見ると、「なんかよくわかんないけど、すげー!」みたいなさ……
いん/なるほどな……でもそれは、かっこよく名前を付けた人の方が、僕は好きですね。
よう/まあ、それはそうだね。そういう意識って、あるのかな……?やっぱり、独特の言葉のセンスっていうか……

いん/そう。まあ言葉のセンスが仮にあっても、「病名」は、あんまり遊べないじゃん、っていうようなところはあるんですよね。
よう/そうだね。きちんと意味が分かることが大事だから、名が体を表すようにつければいいと言うか。
いん/そうそう、だから命名で遊ぶと若干、不謹慎感が漂うというか……。
よう/そうだね。
いん/でも、遺伝子を発見した時とかだと、別に病気じゃないんで、多少遊んだりするじゃないですか。
よう/そうだね。なんか、キャラクターの名前つけたりするもんね。
いん/そうそう。ピチュウもそうでしょ。
よう/ピカチュウね。

いん/うん、あれピカチュウですよね(笑)ライチュウ……?ライチュウのもありますよね。
よう/あるある。
いん/あれは、何でしたっけ……FRETプローブの名前ですか?
よう/そうだね(笑)
いん/ですよね(笑)遺伝子じゃねえな(笑)
よう/そう、FRETプローブの名前……(笑)
いん/この解説、ここでしたくねえな……(笑)
よう/あはははは(笑)

(※文字起こし人注:参考リンク……Förster共鳴エネルギー移動

いん/あと、あれですよ。ネーミングで言うとやっぱり、そういうセンスが残るんじゃないかと思う。僕、今日この話をしている最中ずっと言ってる気がするんですけど……
よう/うん。
いん/本人たちにすれば、公式があって理論があって、結果があるんだと思うんですけど……
よう/うん。
いん/やっぱり、「名前が際立ってるやつだけ残っていくんじゃないか」って、僕、昔から思ってたんですよね。
よう/……そういう人たちの中でも?
いん/そうです。
よう/まあねえ……。正しい理論で、呼び方がいくつかあった場合は、キャッチーなものが残るもんね。


いん/そうなんです。しかも、「お前らの言ってる、この例えって何?」と、人の視線を集めれば集めるほど、そこに対する思索が深まるんじゃないか、っていう思いもあるんですよ。
よう/ああ~……どうだろうな。
いん/「何、もつれって?」「もつれ?」「ああ、もつれね!」みたいな……そういう「ひらめき」みたいなものに、関与しているような気がするんで……。
よう/ああ。そのへんの「ある現象や仮説に名前をつける」っていう、センスがあるのかもね。
いん/あるかなって思いますね。
よう/そういうキャッチーさみたいなのとか……そういうセンスって、「普通に言葉を使っている時のセンス」とは、また違うからね。
いん/違いますね。
よう/多分、結果的に……専門家は専門家で、そういう感覚を持てるし、外野から見ると「何この変な言葉の組み合わせ」ってことになるしさ。
いん/ああ、確かに。


よう/なんかね、すごい名前……「反ド・ジッター空間」とか出てくるんだよね。
いん/反……ナニ空間ですって?
よう/「反ド・ジッター」。あのね、「ド・ジッター」っていうのが、カタカナなんだ。人名だと思うけど。それに「反」がついて、「反ド・ジッター空間」。
いん/ああ、「反ド・ジッター空間」ね。いいですねえ、もう1周回って『コロコロコミック』とかに出てきてもおかしくない(笑)

よう/そうだね(笑)これはちょっと関係ないんだけど、「カラビ・ヤウ多様体」っていうのも好きなんだけどさ。

いん/あはははは(笑)それ、もう「墾田永年私財法(こんでんえいねんしざいほう)」とかと同じ感じですよね(笑)
よう/そうそう(笑)カラビさんって人と、ヤウさんっていう人が作った多様体の名前なんだけど……
いん/ああ、いいですね~。
よう/まあ、(この話題については)そんな感じかな(笑)

いん/あの、先日ですね。フランスにある精神病院の話を読んだんですが、「ラボルド病院」っていう……聞くだけでちょっとゾクゾクってくる名前があって(笑)
よう/それは「ラ・ボルド病院」なの?
いん/なのかな? そこには「ラボルド」って書いてあったんですけど……。
よう/うん。
いん/で、そこの院長先生の名前がカタカナで「ウリ」って書くんですよ。で、そこに出てくるキーパーソンとして出てくる薬剤師さんが、「ガタリ」さん。
よう/ああ、なるほど(笑)
いん/「ラボルドで、ウリとガタリが」って……もう、読んでる時にかっこよくて、僕はもう惚れぼれしていたんですけど(笑)この感覚、誰に伝わるんだろう?と思いながら(笑)あはははは……


よう/そうだね(笑)ウリさんって、生粋のフランスの名前じゃなさそうなのも、いいよね。
いん/あ、そうなんだ、なるほどなあ(笑)
よう/いや、分からないけどさ。サッカーのフランス代表とかって結構、アルジェリア人とか多いじゃん。
いん/ああ、そうなんですか、へえ……。
よう/ほとんどアルジェリアの移民の系統の人だと思うよ。
いん/そうなんだ……なるほどなあ。
よう/だから、ちょっと変わった名前のさ……。

いん/いやあ「名前」の話は、なんか「名前が良ければいいじゃん」を超えた何かがある、ってちょっと信じたい年頃なんですよ、僕は。
よう/「そこに本質が一部、詰まっているんじゃないか」ってこと?
いん/そう、「混じっていて欲しい」と。
よう/うん……そうだなあ。
いん/相対性理論って、もうちょっと違う名前がついていたら、もう少し雑魚理論だったんじゃないの?」みたいな、そういうことを言いたい年頃なんですよ。(笑)
よう/なるほどそういうことか。
(28分14秒)

いん/これはおまけなんですけど……僕のやってる世界で病気の話はなるべくしないようにしてるんですけど。
よう/うん。
いん/「正常な胃粘膜」つまり病気でもなんでもない胃を、カメラで見た時に……今の胃カメラはすごく解像度がいいので、「胃の血管」が見えるんですよね。「表面にある血管」が、細く見えるんです。車のベンツのマークみたいな、「3本指がある鳥の足」みたいな血管が、ブチブチブチッて見える。それを何人かが同時に発見したんですよ。
よう/はいはいはい。
いん/粘膜表面に見えるやつね。で、それにどういう名前をつけるかっていう話が、瞬間的にあったんですよね。今から十数年前に。
よう/うん。
いん/で、略称をつける作る前の名称はすごく面倒くさくて「regular arrangement of collecting venules」っていうんですけど、新潟のひとりの内視鏡医が、「Regular」「Arrangement」「collecting」から「RAC(ラック)」って呼んだんですよ。
よう/はいはいはい。
いん/そうしたら、その略称だけで世の中にドーンと一瞬で広がって、全員がそれを「RAC」って呼ぶようになったんです。

よう/そういうのは、あるよね。「その現象とか理論とか形態が大事だ」っていうことはもちろん前提としてあった上で、「つけた名前が広がるかどうかって」いうことに関しては、少なくともセンスは関係あるよね。
いん/ありますね。

よう/遺伝子も、同じ1つの遺伝子に、複数の名前がつけられることがあるじゃん。別々のグループによってさ。
いん/ありますね。そうなんですよ、今それ言おうと思ってた。で、それは「残る」だけじゃなくって……例えば「RAC」という名前があまりにも一発で覚えられるので、ジャンルとしては内視鏡医の仕事なんですけど、病理をやってる僕がピンと来て、知ってるんですよね。
よう/ああ、そういうことか。

いん/で、そうすると……
よう/あのさ、それ……ちょっと話違うけど、生命科学と医学って、大事さが相対的だと思うんだよね。いろいろ、多岐にわたってあるからさ。
いん/うんうん。
よう/理論物理が、そこまで並列なのか、俺にはちょっとよく分からないけど……
いん/確かになあ。実学じゃないからなあ……
よう/でも「エンタメ作品でもタイトルが大事」っていうのと、一緒だよね。
いん/そうですね。
よう/「キービジュアルが大事」っていうのも同じでさあ……。
いん/ああ、キービジュアルも大事。
よう/「内容が良ければいいんだ」ということではないじゃん。「パッケージも大事だ」ってことだよね。
いん/そうです。しかも名前が良いと、わずかに広がる視聴者層の中に、「ちょっとずれてるものを持ち込んでくれる新たな世界」が混じっていたりするんですよ。
よう/うんうん。
いん/完全な同業者じゃなくて、「8割同業なんだけど2割違う」って人が「おっ」と思って寄ってくると、それはそのジャンルに良い影響をもたらすので。
よう/そうだなあ。
いん/「RAC」ひとつで、RACをめぐる人の数が何千人か増えてるんですよね、ググっと。
よう/うん、その後の展開が変わるってことだよね。
いん/ええ、そうじゃないかなあと思ってるんですけど。だから「宇宙論がかっこいい」っていうのがなかったら、宇宙論はもっと疲れてるんじゃないかな、みたいな(笑)
よう/まあ、やっている人の人数とか、人間的な部分は影響するかもしれないね。
いん/そうそう。だから「(命名は)実は影響はあるんじゃないの?」っていう話ですかね~(笑)


よう/うん……。じゃあ、この後(『はたらく細胞』の実況)副音声行きますか。
いん/あははは(笑)これで何分くらいですか?
よう/今日は、30分ぐらいですね。
いん/あはは、しっかり喋ってますね(笑)
よう/はい、では以上です。ありがとうございました。
いん/ありがとうございました。
(31分44秒)
(♪)

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