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きみは短歌だった

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#cakesコンテスト

【選び取る①】 産むことと死ぬこと生きることぜんぶ眩しい回転寿司かもしれず

あ、 れ、 そうだ、 わたしはもう妊婦なんだった と、回転寿司屋のカウンター席に座ってから気がついた。 生魚、食べてもいいんだっけ。 制御された皿がうつくしく目の前を通り過ぎてゆく。皿は全て正円だった。結局、穴子と卵と炙りサーモンの皿を取る。炙ってあればセーフかもしれない。とりあえず、わたしはそういう判断をした。あとで確認をする。 産婦人科で行われた超音波検査を見るに、わたしの体内で確かに何かが明滅していて、それはわたしのものではない心臓の動きだということだった

【番外】 あなたのことを理解できない世界で、短歌はにこにこしている

こんにちは、柴田といいます。このテキストを書いている時点で私は35歳です。不躾ですが、あなたは何歳でしょうか。 歳上かもしれないし歳下かもしれません。同い歳だとちょっとうれしい気がします。同年齢のスポーツ選手や芸能人は、それだけで親近感がわくものです。でも、だからってわかりあえるわけではありません。 私たちはみんな違うし、理解することはできない。 歳を重ねるごとに、その思いが強くなります。 「できない」は一種の諦念です。少しでも理解できたらいいのに、たぶん少しも理解でき

【課金する②】 メロンパンのメロン部分を永遠に手放しながらふたりで暮らす

かつて、課金しないと服すら与えられず、はだかのまま冒険に繰り出すオンラインゲームがあったそうだけれど、とても人生だなと思う。 最近のゲームは初期設定から服を着ているようだ。なんなら、多少の選択肢もあるらしい。そういえば、オンラインゲーム・ガチ勢を自称する兄は「最近は無課金ユーザーに甘過ぎ」と溜息をついていた。兄は元気だろうか。 昔から私にはゲームの才能が無くて、なにをやってもうまくいかなかったから、上手な人がゲームをするのを見ているのが好きだった。特に、歳の離れた兄が操作