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【ビジネス書解説】「このままではあなたの現金の価値が下がる! インフレ・円安からお金を守る最強の投資」

こんにちは。
今回は、朝倉 智也さんの「このままではあなたの現金の価値が下がる! インフレ・円安からお金を守る最強の投資」について解説していきます。

はじめに

日本では長らく物価が上がらず、「お金の価値が下がる」こともなかったです。しかし、2022年に状況は一変しました。日本で、ついに物価が上昇し始めました。 これは時代の転換点(てんかんてん)だと言えます。物価が上がるということは、お金の価値がどんどん下がっていくことを意味します。今後、大切な資産の価値を守っていくためには、インフレに負けないくらいお金を増やさなくてはいけないです。そのためには、これまでに貯めてきたお金をしっかり運用する必要があります。

もちろん、やみくもに投資に手を出せばいいものではないです。 自分の資産を管理し、運用してその価値を守るためには、適切な方法を学ぶ必要があります。

この本では、シンプルに実践できる資産管理の方法が紹介されています。
この記事では、その中から僕が厳選した11個を解説していきます。これから資産運用に一歩踏み出すことを考えている人や、インフレや、円安に不安を感じて、今後の運用方針をどうすべきか悩んでいる人におすすめの記事です。勉強になった、もっと知りたいと思った人は、いいねやコメントください。


具体的なアクションプラン

【1個目】 お金に対するマインドを変える必要がある。

日本の消費者物価指数(しょうひしゃぶっかしすう)は2022年末に41年ぶりの上昇率を記録し、対前年比4.0%となりました。 長らくデフレが続いてきた日本ですが、完全にインフレが始まりました。

帝国データバンクの「『食品主要105社』価格改定動向調査(かかくかいていどうこうちょうさ)」によれば、2022年の食品値上げは2万品目以上、年間の平均値上げ率は14%にのぼりました。さらに、2023年の値上げのペースは2022年を上回り、記録的な値上げになる見込みだといいます。

物価が上昇すると、問題になるのが金利や賃金です。物価が上昇する以上に金利が高ければ、あるいは物価上昇分を上回るほど給料がアップするのであれば、生活への影響はあまり気にしなくてすみます。

しかし実際は、10年国債の利回りから消費者物価指数を引いた「実質金利」が、2022年11月時点でマイナス3.6%と大幅に低下しています。急速に物価上昇が進む一方、金利はさほど上がっていないからです。 これは、預貯金にお金を置いておくだけではお金の価値がどんどん目減りしていくことを意味します。

一方の実質賃金を見ると、2022年11月時点で前年同月比マイナス3.8%となっています。社会の流れとしてはマイナスが続いている状況です。つまり僕たちは、「給料がほとんど上がらないのに物価はどんどん上昇していく」状況に置かれています。物価上昇は、お金の価値を押し下げます。

たとえば、毎年物価上昇率が3%で推移した場合、仮に1000万円の現金を持っているとすると、現在を基準とした実質的な価値は10年後にマイナス25.6%、20年後にはマイナス44・7%となり、ほぼ半減してしまうことになります。

現在、預貯金の金利はほぼゼロで、銀行に預けていてもお金がほとんど増えないです。デフレが長く続いてきた日本では、預貯金にお金を置いておくリスクはほとんど意識されてきませんでした。しかし今、僕たちはマインドを変える必要があります。金利が上がらず物価ばかり上昇し続けた場合、 大事な資産を預貯金だけに置いておくことが大きなリスクになることを忘れないでください。


【2個目】 円安が進めば、資産も目減りする。

2022年は、急速に進む円安が僕たちを直撃しました。10月には1ドル=150円台まで円安が進み、1990年8月以来となる32年ぶりの円安ドル高水準に達したことが大きなニュースにもなりました。円安による輸入物価高騰の影響は、広く僕たちの生活にも及びます。

2022年に円安が進行したのは理由があります。各国の中央銀行が物価上昇を抑えようと金利を引き上げていました。しかし、日本だけは、金融緩和を続けていた金利を引き上げませんでした。

そもそも為替は需要と供給、つまり需給で決まります。円を買いたいと思う人が多ければ円高になり、逆に円を売りたいと思う人が多ければ円安になります。需給にはさまざまな要素が影響を与えますが、「金利が高い通貨が買われ、金利が低い通貨は売られる」ものです。日銀が2022年12月に金融緩和を実質的に解除したことをふまえれば、今後は日米の金利差(きんりさ)が縮小し、為替相場(かわせそうば)が円高に振れる見方もできます。しかし長期的には、経済が強い国の通貨が買われます。

経済の強さは人口動態に大きく左右されます。日本は今後、人口が減少し、国力の減退(げんたい)が避けられないことが明白です。そのため、一時的に円高になることはあっても、強烈に円高が進行することはないと考えられます。このことを前提としたとき、僕たちは「円安=円建て資産の価値の下落」であることに目を向けなくてはいけないです。


【3個目】 「円安から資産を守る方法」を積極的に考えていく必要がある

僕たちは日本で生活しており、給料も年金も円で受け取ります。そのため、資産運用の中心が円になるのは当然です。しかし、円の価値が下がるということは、世界の中で見れば、僕たちの資産が減価することを意味します。実際、かつて1ドルが70円台だったときと比べれば、世界から見た僕たちの資産はほぼ半減しているわけです。

仮に今、1000万円の資産があるとします。1ドル=100円の場合、1000万円には10万ドルの価値があります。
そこから円高が進んで1ドル=80円になった場合、1000万円は12万5000ドルの価値を持ちます。

一方、円安が進んで1ドル=150円になれば、1000万円は6万6666ドルの価値しか持たない計算です。当然のことながら、海外製品を購入するにしても、海外旅行に行くにしても、海外留学するにしても、海外の不動産を買うにしても、日本人にとっては円高のほうが望ましいです。

「日本の物価が毎年3%ずつ上昇し、なおかつ円安が2%ずつ進んだ場合」について考えてみます。現在の為替レートを1ドル=140円とすると、円安が2%ずつ進んだ20年後は1ドル=208円となります。現在の1000万円には約7万1000ドルの価値がありますが、物価上昇と円安の進行を加味すると、20年後には現在を基準とした実質的な価値で2.7万ドル分しかないです。つまり、マイナス62%になってしまいます。

円預金だけでお金を持っていれば元本は減らないです。しかし、物価の高騰や円安の進行などが起きれば、相対的な資産価値は大きく下がってしまいます。「これだけお金を貯めていれば老後も安心」と思っていてもいざ老後を迎えたときには「これではまったく足りない」ことになりかねないです。そのため、これからは「円安から資産を守る方法」も積極的に考えていく必要があります。


【4個目】 資産を守り増やす「方程式」。

あなたが形成する金融資産は、「(収入-支出)×運用利回り」で計算することができます。 収入から支出を差し引いた残りをどの程度の利回りで運用するかによって、形成できる資産額が決まります。

では「金融資産=(収入-支出)×運用利回り」を増やすには、どうすればいいのか?まず考えられるのは、収入を増やすことです。しかし、収入を増やすのは簡単なことではないです。日本で99%以上を占める中小企業が賃上げに踏み切ることは、あまり期待できないです。また、仮に賃金が引き上げられたとしても、物価上昇率を上回るまで賃金水準が上がらなければ、実質賃金は低下する点も考慮する必要があります。

日用品や食料品はもちろん、公共交通機関の運賃引き上げなど、物価がどんどん上昇していく中では、生活水準を変えなくても支出が拡大していくことになります。 支出削減は相当な努力が必要になります。そう考えると、運用利回りを上げることしか残された方法はないです。

これまでの日本ではデフレ環境が続いていたため、収入が上がらなくても物価は低下傾向にありました。そのため、運用利回りがほとんどゼロに近く、資産をまったく増やすことができなかったとしても、資産を守ることはできました。

しかし、デフレからインフレへと環境が激変しつつある今、運用利回りがほとんどゼロのままでは、資産を増やせないどころか守ることさえできないです。そのため、これからはいかに運用利回りを上げていくかを考えなければならないです。


【5個目】 成長企業が世界の株価を牽引する。

「運用利回りを上げる」と聞くと、投資経験のない人や株式投資などで大きく失敗した経験がある人は「そんなことができるのか」「きっと難しいに違いない」「かえって資産を減らしてしまう」といった不安がよぎります。確かに、直近では世界で大きな株価下落がありました。そして、これから先には景気後退のリスクもあります。しかし長期的な目線で資産を守り増やしていくことを考えるのであれば、投資をしない手はないです。

ITバブル崩壊やリーマン・ショックの際には、世界の株価は大きく下がりました。そしてこのような危機は、これからも繰り返し起きます。しかし、俯瞰して見れば、世界の株価は中長期で右肩上がりに上昇しています。なぜ世界の株価は中長期で上昇していくのかと言えば、たとえ景気が後退している局面であっても、必ず新たな企業の勃興があるからです。

ITバブル崩壊の前にはアマゾンやグーグル、ネットフリックスが創業しました。そして、リーマン・ショック前にはテスラやフェイスブック、スポティファイが創業しました。さらに、リーマン・ショックのさなかにもエアビーアンドビーやウーバーが立ち上がりました。そして今も、AIやブロックチェーンの中でつくられた仮想空間やサービスのメタバース、電気自動車、量子コンピュータなどの領域で新興企業(しんこうきぎょう)が次々に誕生しています。 いずれは新興企業の中から世界を牽引(けんいん)する企業が現れ、大きく成長していくはずです。「長期的に見れば世界経済は拡大する」ことを信じられるのであれば、これから世界を牽引していく企業に投資をしていくことが、その成長の果実を得ることにつながります。

JPモルガン・アセット・マネジメントが2022年に公表した「今後10〜15年の世界株式と先進国債券の期待リターン」があります。同社では、世界株式の期待リターンを年8.5%、先進国債券(せんしんこくさいけん)の期待リターンを3.0%と予測しています。

目先の1~2年は経済成長率が低下する可能性がありますし、運用には厳しい状況が続きます。しかし、中長期で投資をしていけば、予測のような運用利回りを上げることは、十分に可能です。


【6個目】 運用するかしないかで、大きな差がつく。

これまで投資や資産運用をした経験がない人は、「ほんの数パーセントの運用利回りを上げることにどれくらい意味があるのか」と疑問に思うかもしれないです。そこで、これから資産運用について考えていこうとしている人に向けて、非常に重要な「複利」の考え方について説明します。

資産運用の世界では、投資した元本にのみ利息がつくのを「単利」と呼びます。たとえば、100万円を年5%の金利で運用した場合、単利だと毎年5万円の利息がつくことになります。 10年運用すれば50万円、30年運用すれば150万円の利息がつきます。つまり年利5%の単利で運用すると、100万円が30年で250万円まで増えることになります。

一方、「元本+利息」にさらに利息がつくのは「複利」と呼びます。たとえば100万円を年利5%で複利運用する場合、投資した1年後は105万円になり、さらに1年後には105万円に対して5%、つまり5万2500円の利息がつくため、110万2500円になります。 このように年利5%の複利で運用すると、100万円は30年でなんと432万1942円まで増える計算になります。

単利と複利の差を見ると、効率よく資産形成するためには「複利」の考え方で運用するのが重要なポイントであることがわかります。投資してお金が増えたら「増えた分」もさらに投資して、長く運用を続けることがとても大切です。やるかやらないかで、資産形成の成果には大きな差がつくことになります。


【7個目】 投資したお金を2倍にするのに何年かかるかわかる「72の法則」。

「72の法則」を紹介します。この法則は、投資した資金を2倍にするのに何年かかるかを「72÷金利」で計算できるものです。

たとえば、アクションプラン5個目で紹介したJPモルガン・アセット・マネジメントの予測では、今後10〜15年の世界株式の期待リターンは年8.5%です。仮に年8.5%で複利運用したとすると、投資したお金が2倍になるのにかかる年数は「72÷8.5=8.5年」になります。

このような計算をしてみると、複利運用の効果の大きさをイメージしやすいです。


【8個目】 資産は「安定」と「積極」に分けて運用する。

資産を「①リスクを抑えて、安定的なリターンを目指して運用する分」「②ある程度のリスクをとって高めのリターンを目指し、積極運用する分」の2つに分けて運用管理することをおすすめします。利用する金融商品は、「投資信託」です。

そして、投資信託は、資産運用を専門とする会社が、個人から資金を集めて合同運用する金融商品です。投資信託の大きな魅力は、少ない資金からでも購入可能で、世界中の株式や債券などのさまざまな資産に分散投資できる点です。 「① 安定運用する分は預金と債券ファンドに振り分ける。②積極運用する分は株式ファンドで積み立て投資をする」これが基本的な戦略です。

「①安定運用する分」と「②積極運用する分」の割合は、ライフステージによって変わります。運用期間を長く取れる人や将来に向けて資産を大きく増やしたい人であれば「積極運用する分」を多くする必要があります。

逆に運用できる期間があまり長くない人や、すでにある程度の資産を築いていて、それを守ることを重視したいという人であれば 「安定運用する分」を多くするのが望ましいです。


【9個目】 資産形成層の人は、将来に向けて積極的に増やす割合を高めることがポイント。

20代から50代までの人を資産形成層といいます。資産形成層の人の場合、これからさまざまなライフイベントを控えているケースが多いです。結婚したり子どもを持ったり住宅を購入したりする場合、そのための資金を準備する必要があります。もちろん、老後に向けてまとまった資金をつくることも大切です。

資産形成層はお金をしっかり増やしていく必要があります。そのため、資産管理を行ううえでは、将来に向けて積極的に増やす割合を高めることがポイントです。とはいえ、長く働き続ける間には、体を壊したり仕事をやめざるを得ない場面に遭遇したりといった不測の事態が起きる可能性もあります。とっさに使えるお金はある程度準備しておく必要があります。その分は安定運用するのがおすすめです。


【10個目】 資産活用層の人は、「安定的に運用しながら使う」。

シニアの人を資産活用層といいます。資産活用層の人の場合は、これまで貯めてきたお金や退職金などのまと
まった資金をどう活用するかが重要です。多くの人は年金収入を得ながら、不足する分は資産を取り崩して生活していくことになります。しかし、資産を預金に置いておくだけでは実質的な価値が大きく目減りする可能性があります。資産を守るためには 「安定的に運用しながら使う」ことを考える必要があります。

これに加えて提案したいのは、「安定的に運用しながら使うお金」の一部を積極的に運用していく方法です。「人生100年時代」と言われます。長生きは喜ばしいことですが、その一方で、「長生きして資金が不足するリスク」にも目を向ける必要があります。リタイア後も10年、20年と長期の運用期間をとることは十分に可能です。そのため、「長生きリスク」に備えるためにもぜひ、積極的な運用を検討してほしいです。


【11個目】 国が「積み立て投資」を後押しする理由。

積み立て投資については、国が後押ししているのはもちろん、銀行や証券会社などの金融機関に力を入れています。積み立てとは、「毎月3万円」のように定時定額で投資をすることです。

たとえば、毎月1000円分のリンゴを買うと決めている場合、リンゴが1つ100円のときは10個買うことができます。もし1つ50円に値下がりすれば、20個も買えます。反対に1つ200円に値上がりすれば、買えるのは5個です。つまり積み立て投資をすると価格が安いときには量を多く、価格が高いときは量を少なく買うことになります。このように投資のタイミングを分散する投資法を「ドル・コスト平均法」と呼びます。

ドル・コスト平均法には、平均購入価格を平準化する効果があります。たとえば、100万円で一括投資する場合と、毎月1万円ずつ積み立てる場合を考えてみます。

1口1万円のときに投資を開始すると、一括投資で買えるのは100口です。一方、積み立ての場合、基準価額が1万円のときは1口、8000円のときは1・25口、7000円のときは1・42口、5000円のときは2口というように、価格が下がると買える口数が増えます。基準価額が5000円まで下落した後、7000円まで戻ったとすると、基準価額は当初の1万円から30%下落したことになります。 100万円を一括投資した場合は、資産が70万円に減ってしまいます。

しかし、積み立て投資の場合は基準価額が下がったときに口数を多く買うことができており、1口あたりの平均購入価格は6666円になります。つまり、基準価額が7000円に下がっていても、儲けが出ることになります。

解説は以上です。大切な資産を守るためには、資産運用をすることが必要があります。立ち止まったままでいれば、あなたが今立っている場所は足元から崩れていく可能性が高いです。「やらない」という選択肢はないです。ぜひこの記事を参考にしていただき、新時代の資産運用と管理をできるだけ早くスタートして下さい。強い意思を持って最初の一歩を踏み出してください。今回の解説が参考になった人は、いいねやコメントをください。


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