食物繊維で腸がパンパンになっちゃう人へ

腸管メンテナンスでは繰り返し食物繊維の重要性を強調してきました。
最後は食物繊維が逆効果になってしまう病気を紹介して終わりにしたいと思います。

SIBO(Small Intestinal Bacterial Overgrowth:小腸内細菌異常増殖症)
通常は大腸に多い腸内細菌がなんらかのきっかけで小腸で増殖してしまっている状態です。
このような状態だと食物繊維の発酵が小腸で行われてしまい、水素やメタンが小腸内で増えてしまい、鼓腹感が強くなります。

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小腸に細菌が増殖してしまう原因は多岐に渡りますが主なものは以下の3点です。
・腸管運動障害(過敏性腸症候群含む)
・慢性膵炎
・胃酸減少
になります。小腸で菌が増殖しない理由は小腸の動きが早いことが理由の一つでしたが、これが過敏性腸症候群などで動きが鈍ると小腸内で菌が繁殖します。また慢性膵炎で膵液が十分に供給されないとそれも小腸での細菌が繁殖することになります。また胃酸を抑える薬を使っている場合、胃酸の量が少なく小腸での細菌の繁殖を許してしまうことになっていしまいます。

また多岐にわたる原因を羅列してみます。
小腸のうっ血、解剖学的異常、小腸憩室症、外科的に作成されたブラインドループ(端から端への吻合)、クローン病、放射線、手術、小腸の運動異常、糖尿病、強皮症、特発性腸管偽閉塞症、放射線性腸炎、クローン病
消化管近位部と遠位部のコミュニケーション異常、胃結石性または空腸結石性瘻孔、胆嚢弁の切除、免疫不全状態(一般的な可変免疫不全症、AIDS、重度の栄養不良)、肝硬変、アルコール依存症、末期腎臓病、高齢、小児の非経口栄養(TPN)

SIBOの検査
炭水化物の呼気検査:呼気中のメタンガスや水素ガスのピークを調べます。
呼吸テストは、細菌叢による炭水化物基質(例えば、ラクチュロース、グルコース)のテスト用量の代謝が、吸収され、最終的に息の中で排泄される分析物(水素、メタン)の生産につながるという原則に基づいています。例えばラクトロースは、通常、水素および/またはメタンの生産とともに大腸内の腸内細菌によって代謝される非吸収性物質です。SIBOのない個人では、ラクツロースの投与は、大腸細菌叢によるラクツロースの代謝のために、2〜3時間以内に呼気中の水素/メタンの単一のピークをもたらします。SIBO患者では、ラクツロースの投与により、小腸細菌による代謝により、呼気水素/メタン濃度の早期ピークが生じます。ただ、呼気検査の正確性は今一つです。

治療
抗菌薬の内服
リファキシミン(1650mg/日、14日間)が標準に行われるが日本での保険適用はない。メトロニダゾール などで代用される事もある。

改善として
低FODMAPの食事を続ける事が挙げられます。
FO(Fermentable Oligosaccharides):発酵性オリゴ糖(小麦粉、食物繊維など)
D(Disaccharides):二糖類(ヨーグルト、牛乳など)
M (Monosaccharides):単糖類(蜂蜜、果物など)
A(and)
P (Polyols):ポリオール(キシリトールなど)

これらの食事は通常なら腸活でとるように勧められますが、この疾患では逆効果です。大腸で育つはずの菌が小腸で育ってしまうからです。

疾患自体も認識されるようになったのは最近のため、正しい診断や治療(とはいっても、決定打となる検査や治療はまだ発展途上です)SIBOの疾患に関して(もちろんSIBO以外の似た疾患にも)詳しい医師に相談する事が重要になってきます。

参考
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