大人のオススメワクチンTOP3

免疫メンテナンスで最も手っ取り早い方法はワクチンを打つ事です。
子供の頃は母子手帳の接種スケジュールに沿って、保護者が頑張って子供に正しい免疫をつけていきますが、ワクチンの効果はずっと続くわけではないので大人になってからは自分でコントロールする事が大事になってきます。大人が打つワクチンは全部で12種類あります。肺炎球菌、B型肝炎、A型肝炎、破傷風トキソイド、三種混合（ジフテリア、破傷風、百日咳）、MR（風疹・麻疹混合）、水痘、おたふくかぜ、日本脳炎、インフルエンザ、HPV(ヒトパピローマウイルス）、髄膜炎菌（4価）です。その中で忘れがちで重要な３種類を取り上げます。

第3位　帯状疱疹ワクチン

帯状疱疹は50才から増加し80才までに３人に１人がなるヘルペスウイルスによる感染症で激痛を引き起こし、患者のQOLを著しく下げます。原因となる水痘・帯状疱疹ウイルスであるヘルペスウイルスは一度体内に入ると全身の水疱瘡となって現れ、その後潜伏感染を行い、ウイルスに対する免疫力が低下した頃合いに皮疹の帯状疱疹となって出現します。

この帯状疱疹は抗ウイルス薬を用いる事で治癒に至りますが、２割程度の方は治癒した後も帯状疱疹後神経痛（PHN）に悩まされる事になります。これに治療法はなく最も厄介なため、このワクチンをオススメする理由になります。

ワクチン接種が推奨される人
50才以上の方はほとんどが水痘に既感染と思われますので50才を超えたらこの帯状疱疹ワクチンをお勧めします。特に2014年10月から小児への定期接種が行われるようになったため、高齢者が水痘・帯状疱疹ウイルスに触れる事なく免疫力が低下し、今後は発症する人が増加する事が見込まれます。

実際のワクチン
生ワクチンと不活化ワクチンがあります。生ワクチンの方が安くて1回で住むメリットがありますが、免疫抑制状態の人が打つと逆に病気になってしまうため不活化ワクチンを選ぶ必要があります。

第2位　風疹ワクチン（MRワクチン）

風疹ウイルスによって引き起こされる感染症。感染から14〜21日（平均16〜18 日）の潜伏期間の後、発熱、発疹、リンパ節腫脹（ことに耳介後部、後頭部、頚部）が出現するが、発熱は風疹患者の約半数にみられる程度。また不顕性感染が15（～30）％程度存在し3徴候のいずれかを欠くものについての臨床診断は困難。

風疹を最も予防したい理由としては先天性風疹症候群(congenital rubella syndrome：CRS)がある。妊婦が20週頃までの妊婦が風疹ウイルスに感染すると胎児にも風疹ウイルスが感染して出生児の眼、心臓、耳に先天性の障害を残す疾患で、母親が顕性感染した場合、妊娠が１ヶ月で50%以上、2ヶ月で35%、３ヶ月で18%、４ヶ月で8%程度が先天性風疹症候群を発症するとされている。

ワクチン接種が推奨される人
2回の接種歴がなく、かつ感染歴のない人が対象になります。特に1回も接種していない場合は要注意で1979年以前の生まれの男性は一回も接種していない可能性が高く、無料で受けられますので是非一度受けられてください（下図は2018年のものなので年齢表記は注意が必要）

実際のワクチン
生ワクチンで2回接種です。生ワクチンなので妊婦は受けられません。風疹ワクチン単独もありますが、麻疹も近年は抗体を持つ人が低下傾向なので混合ワクチンを打ってしまう方が合理的でしょう。

第１位　子宮頸癌ワクチン

子宮頸がんは、数多あるがんの中でも若い女性をターゲットにするマザーキラーと呼ばれる疾患で、主にHPV（ヒトパピローマウイルス）によって発症します。年間1万人が発症し、3000人が亡くなるがんの中でも悪質なものの一つです。

子宮頸がんワクチンが完成し、日本でも定期接種が行われるようになりましたが、思春期前の女性が接種対象であったこともあり、迷走神経反射で倒れる女性(実際には害はない）がメディアによって映し出されると、まもなくワクチンの副反応が怖いのではないかという報道が繰り返されるようになりました。正確さを欠いた報道で世論が形成された結果、子宮頸がんワクチンが定期接種から外れてしまい、世界では異常に接種率が低い状況となりました。日本で今、ある程度接種できている年代は1995年-99年生まれの女性だけとなりました。

ワクチンの実際
子宮頸がんは特に性交渉によって感染します。そのため、性交渉が始まる前に打つのが良いでしょう。男性も中咽頭がん、肛門管がんなどもこのHPVによって発症するため、接種が推奨されますが、第一にワクチンの恩恵が大きいのが小学校6年生〜高校1年生の女性のため、政府でも無料での接種を可能としています。現在はワクチンの種類として２価、４価、９価があります。最も予防効果が高いのは９価なので自費接種する方はこの９価を打ち、無料で打てる方は２価、または４価をお勧めします。

参考）
予防接種の手引き2018-2019

引用）
日本医事新報社：帯状疱疹
https://www.jmedj.co.jp/premium/treatment/2017/d140402/
マルホ：帯状疱疹って
https://www.maruho.co.jp/kanja/taijouhoushin/about.html
BIKEN:帯状疱疹.jp
https://taijouhoushin.jp/reason/
子供と大人のワクチンサイト
https://www.vaccine4all.jp/topics_I-detail.php?tid=67
国立感染症研究所：風疹とは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/430-rubella-intro.html
日本医事新報社：風疹ワクチン接種機会のなかった年代は？【PickUp 医療データ】（122）
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=11099
NHK：風疹とは？大人が感染した時の症状と妊娠中の悪影響まとめ
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_701.html
日本産婦人科学会：子宮頸がんとは
http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=10
みんなで知ろうHPVプロジェクト
https://minpapi.jp/