SPO2って何？

2020年12月16日 22:33

先日神奈川県で悲しいニュースが流れました。

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ニュースによると新型コロナウイルスに罹患した男性がホテルで療養中、朝のLINEによる健康報告でSPO2が86%だったのにも関わらず、本人が自覚症状を訴えがなかったために経過観察としてホテルでの療養を継続し、夕方に死亡を確認されました。

ここで疑問になるのがSPO2が86%であったのにも関わらず診察を受けずにいたということです。医療のケアに人手が足りなくなっていること、パルスオキシメーターの測定は不安定な場合もあるという事情はあるものの、やはりSPO2 80%台になっていれば厳重な経過観察は必要だったと思われます。

今回はこのニュースで「コロナはホテルではダメだ！絶対病院だ！」と早合点しないためにSPO2とは何か、パルスオキシメーターとは何か、身近にSPO2を測定する方法としてApple Watchを用いて実際にSPO2を見ていこうと思います。

SPO2とは経皮的動脈血酸素飽和度のこと
S＝Saturation（飽和度）
P=Percutaneous（経皮的）
O2=Oxygen（酸素）
の事で、ざっくりいうと体の外から（皮膚から：経皮的）測定した値で、体の中に酸素がどれくらい行き渡っているか（飽和度）の指標になります。通常は96%~100%が標準になります。ここから5%程度下がっていたら、酸素を取り込む過程で何か問題を生じていると判断します。ただ、高齢の方や、喫煙者は91%~95%の事が普通の状態のこともありますのでその人の通常を知ることが大事になってきます。ただ一般的に90%以下の方はやはり酸素が足りていないと判断します。

SPO2はパルスオキシメーターで計測する
実際にこのSPO2を測定するためには以下のようなパルスオキシメーターを使用します。

導線で繋がれたプローブに指を入れてSPO2を測定します。凄く簡単ですね。しかも絶え間なく変化を追っかけることができるのはかなりの利点です。この数字を見るだけで患者さんに「酸素が足りているかどうか」がすぐにわかるようになったため、安心して手術などが進められるようになった訳です。この機器が開発されるまでは実際に動脈血を採取をする必要があったため、医療の安全性がグーンと増すようになりました。（ただし、正確な数字やその他の呼吸状態の評価をするためには動脈血が必要なため、実際に呼吸困難感を訴えている患者さんからは動脈血を採取します。）ちなみにこの機器を開発したのは青柳卓雄氏です。日本人が開発された事は驚きですし、このコロナ禍でパルスオキシメータが注目を浴びたこの年に逝去されたことも２重に驚きでした。

パルスオキシメータの仕組み
パルスオキシメーターはその名の通り動脈の拍動を見て酸素飽和度を測定します。酸素飽和度というのは動脈の酸素飽和度を見ているのです。また医療従事者ではない一般の方にも動脈の血が赤く、静脈の血が黒いことはよく知られた事実かと思いますが、それは酸素と結びついたヘモグロビン（赤血球の成分）酸素と結びついた状態だと赤い光を吸収しづらく赤く見えるからです。

動脈血酸素飽和度は動脈の拍動を利用して動脈の酸素飽和度を赤色光（R）と赤外光（IR）の透過光量の変動成分の比率を用いて算出しますが、要は拍動による成分変化が動脈血を示し、2つの光の吸収度合いから酸素飽和度を求めています。

こうして医療現場で普及して利用されるようになったパルスオキシメーターですが、なんとこのコロナの影響もあってか、一般の方が使用するApple Watchにも搭載されるようになりました。Apple Watch Series 6にも同様の原理が用いられています。緑色と赤色のLEDが搭載され、手首の血管を照射しています。

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