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コロナの冬はビタミンDで年越し

日本に新型コロナウイルス感染症(covid-19)の第3波が訪れています。
ファイザーやモデルナが開発するmRNAワクチンの有効率が95%程度と、期待以上の数値を叩き出し、あとは保存・輸送の問題(mRNAワクチンは-20~-70℃で保存する必要がある)をクリア出来れば、無事に新型コロナウイルスを制圧できる事になります。

非常に良いニュースで、わずか1年で制圧できるのは世界の医学の進歩の賜物なのですが、日本ではワクチンが届くこの直前で第3波が襲来しています。

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病床も逼迫し始めており、重症者も過去最多に迫ってきました。

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また最悪な事に、今から本格的な冬が到来し、密な環境が生まれ感染しやすくなる中、現行の厚生労働大臣がフェイスシールド(しかも目元はくり抜かれている)で食事をするようにと間違ったメッセージを出すという、目は出しているけど目も当てられない状況です。

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このコロナウイルスに対してはGo Toトラベルの規制が検討されているようで、そもそもGo Toと感染者に因果関係はないという福岡市の報告(以下図)もあります。これに関してはGoToで大人数(家族以外と一緒の行動)での移動・食事は感染を広げていて、それ以外は広げていないのではないかと思われます。GoToを規制しても、今後の感染が広がり続ける事が予想されます。

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ではコロナウイルスに対して何か私たちとして出来る事があるでしょうか。もちろん、マスク、手洗い、(イソジンでない)うがい、しっかりした睡眠、3密を避ける事が大事ですが、医療の逼迫した現状で発熱してしまう事はかなりリスクを伴います。ここで興味深い論文が発表されました。

ビタミンD欠乏症では新型コロナウイルスが重症化しやすい

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インドでは、Glicioらが2つの三次医療センターの60歳以上のCOVID-19患者176人のデータを統計的に解析した結果、80%以上がビタミンDの不足または欠乏でした。ビタミンDレベルは転帰と直線的に相関し、70歳以上の患者では、ビタミンDが不足している場合にのみ重度のCOVID-19が認められました。BMIが健康な患者では、ビタミンDが不足している場合にのみ重度のCOVID-19を発症する傾向があったとのことです。

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別の報告もあります。南アジアの3つの病院で25(OH)D(ビタミンD)の初回および週1回の検査が行われたCOVID-19患者212人のうち、COVID-19以前の25(OH)Dレベルが記録された212人の非同定データを用いてカルテレビューを行った結果、個々の患者の25(OH)D値は入院中に有意な変化を示さず、COVID-19との闘いによってビタミンDが枯渇することはないことが確認されました。ビタミンDの状態(3つのカテゴリー:>30、21-29、または<20ng/ml)は、より重篤なCOVID-19の病気(以前の研究者によって明確に定義された4つのレベル)と有意かつ線形に相関していました。血清25(OH)Dの標準偏差の増加ごとに、COVID-19の症例が重症ではなく軽症である確率は約20倍であった(OR = 0.051、p < 0.001)。

そもそもビタミンDはどういった役割をするか
主に2つを抑えておきましょう
①骨や筋肉を強くする
②免疫系を調整する
です

①骨や筋肉を強くする
ビタミンDの効能としてこの効果は昔から知られていました。カルシウムの吸収効率を高めて骨を強くすると共に筋肉を強化する力もあり、特に高齢者の転倒予防に用いられてきました。

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②免疫系を調整する
こちらが最近注目されている作用で各免疫細胞のVDR(ビタミンD受容体)に結合して、各細胞の働きを潤滑にしたり、過度な炎症を抑えることに機能します。これが今回のcovid-19の重症化を防いでいる理由ではないかと考えられています。

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日本人は8割はビタミンDが不足している
日本人の8割はビタミンDが不足しており、4割が欠乏していると言われている(*)。特に高齢者はビタミンD合成能が低下しており、欠乏しやすいため特に注意が必要です。

今年の冬にビタミンDが必要になる理由
一言で言えば外出をしなくなるからです。ビタミンDは食べ物からも摂取できますが、日光を浴びることで皮膚で合成することが可能です。ただし、浴びる紫外線の量に依存しますので冬場はただでさえ、1日の紫外線量が低下することに加え、コートで身体中を覆うことになり、おまけにマスクもするために合成が著しく低下するでしょう。(夏場なら両腕を出しておけば30分程度で十分です)。

ビタミンDを摂取できる食べ物
魚類:サケ、サンマ、イワシ、カツオ、マグロ、カジキ、ブリ、サバなど
きのこ類;キクラゲ、干し椎茸など 
さつま揚げ、卵黄

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今年の冬ではサプリメントで乗り切るのもアリでしょう
ビタミンDはかなり安全で通常のサプリメント摂取では過剰摂取による有害事象が起こることはほぼありません。(日光に浴びすぎてビタミンD過剰にならないことを思えば納得です)。今年の冬は外出しない事で筋肉量の低下も懸念されますので、例え外出せずにコロナウイルスに罹患しなかったとしてもビタミンD不足で転倒し寝たきりになってしまったら元も子もありませんので、是非この冬はビタミンDを積極的にとって健康に年越しができるようにしましょう。

参考
*1)A Basic Review of the Preliminary Evidence That COVID-19 Risk and Severity Is Increased in Vitamin D Deficiency
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7513835/#B167
*2)ビタミンDの基礎知識(がんとの関連)第2版
http://www.jikei.ac.jp/hospital/kashiwa/sinryo/40_02w7.html
*3)The possible pathophysiology mechanism of cytokine storm in elderly adults with COVID-19 infection: the contribution of “inflame-aging”
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7289226/
*4)Vitamin D deficiency and co-morbidities in COVID-19 patients – A fatal relationship?
1https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7276229/

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