参院選の惨敗を受けて

2022年7月10日の参議院選挙の比例代表(国民民主党)候補として立候補しました。

結果は2万790票で、私の名前を書いて投票して頂いた方、今回の選挙活動に協力頂いた方、有難うございました。心からお礼を申し上げます。
ただ、選挙の結果としては国民民主党(比例獲得議席3)の6番目で、個人ではいわゆる「惨敗」に相当し、詐欺医療撲滅、緩和医療の充実、勤務医の待遇改善の政治的な解決からは遠のいたことも事実です。今後、私にできることを考えるために、まずは今回の参院選から見えた景色を共有して行きたいと思います。

(2022 参院選 比例)

恥を忍んで申し上げますが、私の予想獲得票数は5万〜10万票、何か風が吹くようなことがあれば25万票もあり得るのではないかと思っていました。当選の最も現実的なストーリーは5万票の獲得で国民民主党の比例5位に入り(今回は22312票で5位にはなれました)、国民民主党が500万票の得票(今回は316万票で得票率は6.0%)で比例で5議席をとることでしたが、どちらも叶わずといったところでした。

個人の票が想定よりも低かったのは「ネットの関心だけでは投票行動に結びつきにくい」ということを私が理解できていなかったからだと思います。
当初の予定を5万〜10万票としていたのはTwitterでの自分のProfilevisit(自分のプロフィールページを閲覧した回数)がおおよそ1ヶ月で200万回程度の表示、YouTubeでは視聴回数で20万回程度あり、ショート動画もTikTokやInstaglamで選挙期間中だけで10万回再生あり、ビラも50万枚は配布したので相応の方には知って頂いたが、投票には結びつかなかったことがわかります。

インターネットがそこまで強くは影響しないかもという感覚は私だけでなく他の候補者を見ていても感じました。

(2016年参議院選挙結果)
(2022年参議院選挙結果)

前回参議院選挙で当選し、今回も国民民主党の比例代表候補として今回も出馬し、電気連合の組織票がありながらも、ネット上も国民民主党の玉木代表にも猛プッシュされていた矢田わかこ議員の票数は伸びず逆に減らしているのは衝撃的でした(不祥事があったわけでもなく、ネットでの評判も良く、何度もTwitterでトレンド入りをしていました)。

(2022参院選)

今回の参院選に彗星の如く現れた自民党のえりアルフィヤ候補。その国際的なキャリアから数々の識者にもネット上で応援を受け、なんといっても河野太郎議員(twitterフォロワー数240万人)からもtwitter上で熱烈な応援を受けていましたので、(アルフィヤと書かれた票は自民党票にもなるため、もともと自民党や河野太郎議員を応援した人が投票することを鑑みて)10万票はいくかと思いましたが、予測の半分でした。

(2022参院選)

同じく自民党の向山淳候補も「自民党を使い倒す」というキャッチコピーで牧島かれん議員など様々な自民党議員とコラボしながら地上戦と共にネットも上手に展開していた印象はありましたが自民党候補としては票数は伸びませんでした。

(2022参院選比例代表)
(2019参院選比例代表)
(2022参院選比例代表)

2019年に当選した自民党の山田太郎議員とほぼ同じ路線で実績も知名度も抜群の赤松候補はよくtwitter上で匿名の方などに「赤松か上松か悩む」と仰って頂いてたこともあってかなり意識していました。ネット上では私の10倍〜20倍は赤松候補を推す声があり、大人気の漫画家でもあり、トレンドを作ったり地上戦も上手だったのでひょっとすると100万票も行くのではと思っていたのですが、結果としては2019年の(同様の主張をされる)山田太郎議員の票数を踏襲する形に収まりました。また私が注目していた候補として立憲の栗下候補もtwitterでは(まともな発信で)よく拡散されていて、表現の自由を守る層の熱い支持を受けていた印象でしたが、その拡散の程度に比べると票数としては伸びなかったかと思います。

Twitterなどのネットでの拡散能力とは逆に手堅く票数を集めていた方々というのは、やはり組織票をしっかり掴んでいた方々でした。

(2016参院選)
(2022参院選)

自民党から出ている日本医師会の自見議員はガッチリと票を固めていたところはさすがと言ったところです。日本医師会員数は173,328人いて、家族や開業医の患者さんも含めてしっかり固められていた印象です。Twitterでのアピールも上手で、「ピンチを救ってください」といったようないわば「演技」ができるかどうかも政治家としての資質かもしれないと思いつつ、やはり組織票をしっかり固められるか(そういう運営をされている組織か)が特に比例で名前を書いてもらうには大事なことだと感じました。

(2022参院選)
(2019参院選)

自民党から出ている日本看護協会(会員数77万人)の友納候補もネットでの展開は目立ちませんでしたが3年前に日本看護連盟(日本看護協会の政治団体)から出馬していた石田議員とほぼ同じ票数を獲得しています。

(2022 参院選)

日本薬剤師会(10万人)出身の神谷候補もネットでは目立ちませんでしたがしっかり票を固めています。

逆に組織票がなくて知名度が抜群だった人がどうだったかというのを見てみます。

(2022 参院選)

維新から出馬した猪瀬元都知事は、10年前の東京都知事選では433万8936票も獲得していましたが今回の比例代表の得票数は約100分の1の4万票程度となりました。以前の票数が(選挙区の選び方に近い)都知事選であることや、スキャンダルや年齢のことがあるとはいえ、相応の(政治に関する)実力もある人がこのような票数であることに驚きました。比例で名前を書いてもらうことは組織で戦うことが基本であることを痛感します。ただ左に当と書いているように基本的に組織候補がいなくて勢いのある維新ではこの票数でも当選します。

(2022 参院選 東京選挙区)
(2022 参院選 東京選挙区)

選挙区ではありますが乙武さんがこの票数で落選したのは私としては衝撃でした。昔に不祥事はありましたが、政治への見識も深めていて、今回の選挙では様々な著名人からインターネット上で支援を受け、あの身体でバイタリティを示した乙武大行進にあるような政治家として必要な資質(わかりやすい方法で人々に屈しないという精神や多様性を示す能力と行動力)もあって、ネットの拡散も抜群でしたが必要な票数の半分程度でした。むしろネット上では抜群に不評だった生稲さんが乙武さんの倍を取るという、ネットより圧倒的に組織の力が強い(今回の場合は自民党)ことを示しました。

ただ、ネットも無力というわけではなくて、正しさやまともさではなく、ニセ科学や陰謀論、本当かどうかわからない暴露話のような強烈な個性や政策で強烈なファンを作るという意味では強いツールでした。

(2022 比例 参政党)
(2022 比例 NHK党)

今後もこうした傾向が続くかはわかりませんが(今回は安倍元首相の衝撃的な襲撃事件もあり、ネットで知っている人に対するふわっとした選択ではなく、自分の意志をしっかり示そうとされた方も多かったのかもしれません。私自身、候補者でありながら選挙のことより、容体のことや事件のことで頭が一杯になっていました)が、今回に限って言えば、
・組織票がないのであれば比例では維新から出馬
・資金や運動人数がいないのであればネットでもっと強烈に訴えかけられる手法をとる
・所属している政党の票を伸ばして自分の得票数でも議席を得る

というのが当選するために最適な解になりますが、自分が政策としてベストだと思った国民民主党を選んで今回挑戦したことに後悔はありませんし、多くの人を困惑させてしまう情報を流すのは当選とするとしても絶対にしたくはありません(今回の出馬の目的とは逆になります)。
私が辞職してから1人で始めた短い選挙戦でまだできたことを強いてあげるなら、全ての選挙関連業務を自分でやっていたことを改めて、秘書を1人でも雇い、事務関連の仕事を全てお任せして、自分は情報発信に徹して、票数を伸ばし、国民民主党の議席が伸びるのを待つ(少なくとも国民民主は選挙区候補者を多く擁立できれば目標の比例500万票で5議席には届いたかと思います)ことだったかと思います。

今回の落選で、詐欺医療撲滅につながる法改正や緩和医療・高度医療・地域医療の拡充など最も有効な政治的な解決が遠のき、関わって頂いた方に申し訳ない気持ちでいっぱいですが、多くの方に今回の選挙を協力して頂き、2万人の方が期待をこめて私の名前を書いて下さったことに感謝し、次に活かせるようにしたいと思います。

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