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中高生って人生というロープの上で揺れ動いている 特定非営利活動法人こうべユースネット

こうべユースネットは神戸市青少年会館、神戸市立洞川教育キャンプ場、ユースプラザKOBE・WEST、ユースステーション兵庫、ユースステーション長田などの青少年施設や野外活動施設の運営・管理をしています。

こうべユースネット理事長で主に神戸市青少年会館(以下、青少年会館)に勤務されている辻さんとユースプラザKOBE・WESTに勤務されている荒尾さんにお話を伺いました。

どのような方が利用できるのですか?

辻:ユースプラザKOBE・WESTのメインターゲットは中高生とその前後で、青少年会館は小学生から上は30歳まで。青少年会館で青少年として定義しているのはおおむね30歳までなので、それ以上は指導者(育成団体として登録している団体の大人)として利用しています。
青少年会館は、青少年団体がグループ活動のために利用しています。ボーイスカウト、ガールスカウト、子ども会など団体の指導者(育成者)が利用されたり、小さいボランティア活動、体験活動、キャンプに連れて行ったりという団体も入れると大体200くらいの団体が登録していて、青少年会館の運営にも参画していただいています。その200団体は、青少年会館を無料で使うことができます。

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ユースステーションとユースプラザの違いは?

荒尾:ユースステーションもユースプラザも大きな違いはそんなになく、どちらも中高生層がやってくる場所です。ユースプラザは同じ施設内にバンドやダンスの練習ができる施設が併設されていて、そこを中高生の子たちが使えます。ユースステーションはフリースペースという自由に過ごせる場所のみが施設内にあります。ユースプラザにもフリースペースはあるので、その点についてはおおきく変わらないかなあと思います。

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施設の運営に関してどういう空間を目指していますか

辻:我々の居場所づくりのコンセプトはサードプレスづくりであり、第3の居場所づくりを一貫してやってきています。空間デザインもスペースも大事なのですが、スペースよりもそこにいる人、つまり職員、ユースワーカーとのかかわりというのを大事にしていこうということを目指して居場所づくりに取組んでいます。
荒尾:ユースプラザについてはボランティアの方が大勢いらっしゃって、受付で中高生にあいさつをしたり、言葉を交わしたりというやりとりがあります。そこには地域全体で中高生を支えるというか見守っていくという感覚があるのかなと思うので大事にしたいと思います。

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今年度、昨年度はイベントをたてるのが難しかったと思うのですが、例年であればどんなイベントがあるのでしょうか?

荒尾:ボランティアさんがしてくれる事業だと、1つはイラストコンテストというものをフリースペースで長年実施してまして、夏の期間に夏をテーマにしたイラストを中高生が描いてくれています。
あとはフリースペースで、ほかの事業もそうなんですけど、おなかをすかせてる中高生が多いので、調理をともなうイベントをボランティアの人が実施して、それを食べてちょっとコミュニケーションとったりしてくれています。
去年は、白玉ぜんざいをつくったり、巻きずしをつくったりしました。
職員が行うイベントとしては、フリースペースに来てる中高生向けにフリスぺ+ONE事業という名称でやっています。ただふらっと来て帰るだけではなくてちょっとプラスワンになる寄り道ができるというコンセプトです。これもおなかをすかせている中高生が多いので、食べ物系のイベントが多く、たこ焼きをつくったり、クレープ焼いたりとかそういうようなことが多かったですね。

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コロナ禍だから取組んだイベントはありますか?

食べ物系のイベントを多い時には月に2回行っていたのですが今年度に関しては調理をともなうイベントは実施していません。フリースペースはこれまで出入り自由だったのですが、コロナが発生した場合に備えて登録制になり、受付での入室手続きが必要となったので施設に来た時に会話をする機会がこれまで以上に増えました。なので、入室するときに気軽に参加できるようなイベントを考えてそれをしていくという形が今年度は多かったですね。例えば、ジグソーパズルを一人でではなくフリスぺのみんなで完成させようというイベントをしました。受付でピースをくじみたいな形でひいて、勉強とか遊びとかを始める前に完成させて、次に来たときはまたその続きをやってみたいな感じで。一緒にはできないけど、確実に他の誰かが一緒にパズルを作っているということが感じられるイベントになったと思います。

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青少年会館のほうではイベントのようなものを組まれたりすることはあるのでしょうか

辻:青少年会館では世代に応じて事業を企画しておりまして、小学生対象の事業、中高生の事業、大学生以上の事業という形で行っています。小学生の事業は野外活動系の事業をやるのが多いかな。中高生の事業については、b-labと同じように中高生活動委員会のような、中高生が主体となってやりたいことにチャレンジしようよということを前提に職員がコーディネートに取り組んでいるのが青少年会館です。各区(神戸は9区ある)にユースプラザ・ユースステーションがあるのですけれど、青少年会館はどちらかというと中央区の中高生の居場所でもあるのですが、総括的な施設でもあります。大学生についてはキャリアプログラムをやったりとか、どちらかというと野外活動系のリーダーとかボランティア活動するリーダー育成に大学生がかかわっているので、大学生を育成するというプログラムもプロジェクトもやっているというのが青少年会館の特徴のひとつです。

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地域とのかかわりはありますか

辻:青少年会館は、利用者が神戸市全域という広がりがあるので、どこかの地域と集中してつながっているかといわれるとユースプラザ、ユースステーションよりは地域とつながるというのはあまりないのですが、地域近隣の児童館と連携して小学生事業を行ったり、その児童館に中学生高校生がボランティアでお手伝いに行くという連携を中央区の児童館で行っているいうのはあります。
荒尾:もともとこちらでずっと夏祭りをしていたのですが、そういうイベントには中高生が企画、運営をしてそこに自分たちより年齢が低い小学生やそれより下の子たちに来てもらっていたので、そういった形で地域とつながったり、ユースステーションも含めて、児童館、地域中学、高校の先生に運営委員会という形で参加してもらったりと、地域とのかかわりは多かったと思います。

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ユースワーカーとは、というのをどう考えていらっしゃいますか

荒尾:一番大事にしているところは、今だと中高生との関わりがメインなので、ひとつは彼らを裏切ることにならないように、彼らが期待してくれたことにちゃんと応えられるように自分自身がいないといけないと思っています。この施設にいて自分の役割は、どんな内容であってもしっかりと本気で中高生を応援できるようにすることが大事かなと思っています。
辻:人生というロープがあって、そのロープの上で中高生が揺れ動いている。一人は手でバランスをとって、一人は棒を持ってバランスをとってロープを渡ろうとしている。つまりその渡りかたも個々に特色があり、一人ひとり違いがあるのが人生で、それを止めるのではなくてより動かすっていうことをユースワーカーはする必要性がある、そのかわり責任をもって伴走する、寄り添うということをしながら、その子の成長、そして自分も自己成長していくということをやっていくのがユースワークを高めていく一つだと思います。止めるのではなくて、より動かそう、揺れてるものはもっと考えて揺らそうと、揺れるけれども、落ちないように支えるっていうのも大事。落ちてしまうとあげるのにたぶん我々の力だけでは無理になってきますね。

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揺らぎのある子たちの変化はここ数年で大きいですか?

辻:私が初代ユースプラザの施設長なのですが、20年弱前、私が就いたときのユースプラザっていうのはすごくわかりやすい中高生が多かった。つらいとか、何かをかかえているのかを表現するために髪の毛とか服装、ピアスをつけるとかで読み取れたので、そこでコミュニケーションをはかるということがしやすかったが、最近はみんな同じような形で、同じような服装で、同じような子がいて、目立つことを避けているので、実は、生きづらさやしんどいなどをかかえているけどそれを見つけ出すっていうのは昔よりも困難になっている子が多いかなという気がします。
じゃあどうやってみつけるかっていうとやっぱりコミュニケーションですね。「実は・・」って言ってくれるまでの関係性をつくれるまでコミュニケーションをとって、探っていくことをしなければいけないのが最近の中高生の特徴ですね。顔のみえる関係性をつくるためのコミュニケーションをどうつくっていくかということを職員にはよく言っています。

概要

取材日:2021年1月22日

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