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「適応」という厄介な概念。 #Adapto ⑴|エボサイマガジン

” 進化の秘訣は死と時間だ。環境に不完全に適応した膨大な数の生物の死。そして、小さな突然変異が長く続く時間。“ ───カール‪・セーガン

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# 進化を語るのに欠かせない概念、「適応」とは何だろう?


「適応/アダプテーション, adaptation」という言葉には、一般的な意味と進化学の専門用語としての意味がある。

まず、一般的な意味のほうの「適応」を説明しよう。たとえば、きみが今いる場所の気温が上昇すると、きみの体は汗をかき始める。

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皮膚表面が暖かくなるとその信号が脳の視床下部にまで伝達される。するとこの脳領域が汗腺に「汗を出せ」という命令を送信する。

ご存知、発汗は冷却メカニズムだ。汗は蒸発する時に身体の表面の熱を奪っていくから、身体を冷やす効果がある。原理的には、夏に打ち水をすると道路が涼しくなるのと同じだ。

────これが身体が外界環境の変化に「適応」したということだ。


だが、一部のアホなサピエンスは「汗が出てきたら→汗を拭かなきゃいけない」という謎ミームを脳にインストールしてしまっている。

(いったい誰に教え込まれたんだ?小学校に出かける前、やたらしつこく「ハンカチ持った?」と確認ステップを挟んできたあんたのママか?)

そういう奴らは、汗が蒸発する前に汗をタオルで拭いてしまい、体が冷却されずにさらに汗をかくというスパイラルに陥る。

これは適応失敗の例だ

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▲ 汗を拭いても拭いても止まらないと嘆くマヌケ。汗を拭いてるんだから当たり前だろ。


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