ひらめき☆マンガ教室第7期課題1『自己紹介を物語として描く』完成稿の感想

今回は、ひらめき☆マンガ教室第7期の課題1『自己紹介を物語として描く』完成稿の感想です。各作品は、ひらめき☆マンガ+のサイト(https://hirameki.genron.co.jp/)で読むことができます。感想は、投稿された順番に書いています。


f/kさん『最近の私

シンプルな体つきのキャラクターだからでしょうか、主人公の状況はなかなか大変そうなのですが、暗さや重苦しさをそれほど感じさせず、読みやすかったです。2p2コマ目の満員電車でぎゅーっとなっている主人公が、不憫に感じつつもかわいらしくていいと思いました。
Aさんが鳥っぽいキャラクターなのがおもしろかったです。時々挟まれるこういったコミカルな絵が、雰囲気を和らげているように感じました。
登場する人物は、主人公以外は動物として出てくるのかなと思いながら読んでいると、6pで出てくるYさん、8pのDさんが普通に人の姿なので、何か違いはあるのかなと、ちょっと思いました。
ラストシーンで、「そんな選択の積み重ねが今の自分を形作っている」と、主人公が現状を肯定的に捉えようとしていくのがいいと思いました。この場面は頭身の高い絵なので、主人公の気持ちが、シリアスに伝わってくるような感じがしました。




二兎たまむさん『こうして痩せましたニャ

8p1コマ目の「ウワァ!?なんだこのオッサン!?(素)」のビックリした主人公の顔がコミカルでおもしろかったです。顔立ちがかわいらしく思いました。主人公がネームより、キャラクターとして特徴的な見た目と口調になって、印象に残りやすくなっているのもよい点だと思いました。
気になったところは、色々な要素(主人公の体重がすごく重いこと、ハニワ姿の地底人、謎めいたスタンディングさやわか、など)が入っているので、話がちょっと駆け足気味に感じられたところでしょうか。体重が極端に重い設定がおもしろそうだったので、重いが故の主人公の苦労や普段はどんな風に過ごしているのかを読んでみたいなと思いました。
スタンディング・さやわかの線が主人公と比べてちょっと粗めなタッチだからでしょうか異様な雰囲気が出ていて、インパクトを感じられました。


さとりさん『ミニマリストの買い物

主人公の四角い顔から、堅物っぽい人柄がにじみ出ているようで、状況の変化を上手く受け止められない不器用さが伝わってくる感じがしました。ネームでもキャラクターの表情がよかったですが、完成稿では、更に魅力的になっているように思いました。7pの4コマ目「どういう理論!?」の場面のななみくんの顔が特にかわいらしくて好きでした。
2p1コマ目の主人公のモノローグ「それがある日一変した」のコマは、暗く描かれているので、彼にとってネガティヴなことが起きたんだと分かりやすかったです。1p2コマ目と2pの1コマ目でものが増え、部屋の様子の変化は伝わるのですが、散らかり具合がちょっと大人しいような感じもしたので、部屋の散らかっぷりをもっと強調してもいいかもしれません。きれいな時と、散らかった時との差がはっきりしていると、主人公のいらだちや、とまどいがより伝わりやすくなるような気がしました。




久留米さん『HAPPY BIRTHDAY 自分

ネームと比べると、お父さんの出番が増えて、読む楽しさがアップした感じがしました。ネームは主人公にスポットが当たっていて、他の人はチョイ役と言うか、脇役という感じだったのが、完成稿では、お父さんもお母さんも脇役ではあるのですが、キャラに特徴があり、しっかりと目立っているのがいいなと思いました。
お父さんと主人公とのコミュニケーションが描かれていることで、二人の関係や、それぞれがどんな人なのか分かりやすくなって、キャラクターがより魅力的になったような気がしました。
3p7コマ目の「お父さんも甘いもの好きだよ!!!」の文字がかわいらしくて、作品のほのぼのとした雰囲気にあっているように感じました。
8p1コマ目のお父さんの表情がチャーミングでよかったです。8p5コマ目の「あーーー!」のセリフの場面では、何が起きたのか上手く読み取れなかったので、この時どんな出来事があったのか知りたくなりました。
お母さんもいい感じに、特徴のあるキャラクターだったので、もっと三人のやりとりを見てみたくなりました。




太田ユータローさん『時は乱世

ネームを読んだ際にも思ったことなのですが、キャラクターの顔や表情が、愛らしさがあって魅力的でした。それぞれが丁寧に描き分けられているように感じられました。
主人公が、戦を嫌っていながら武士をしていることには、何か理由があるのかなと、そこがちょっと気になりました。セリフなどで軽く、どうして武士をしているのか説明があると、より彼の葛藤が分かりやすくなるのかなと、そんな風に思いました。
4~5pは、動きが少なめな場面だと思うのですが、絵に変化があるので、光定と実友の会話が単調な感じがせず、楽しんで読むことができました。
4p3コマ目の「光定!」のセリフが誰のセリフか分からず、2pの3コマ目の「どうした実友」のコマを見直してはっきりとしたので、誰がセリフを言っているのか、もう少し分かりやすくしてもいいかもしれません。




えぴのみすさん『板挟み社員

5p2コマ目で、仲林さんに声をかけられなかった吉川さんの心の声があることで、何とかしようとして、なかなか上手くいかない、もどかしいような板挟みの状況が、強く感じらました。
最後のページ6コマ目で、吉川さんの顔が細かい皺が描かれていることで、その悩みの深さと苦労が、表情からうかがえる感じがしました。
最後の「出家するか」のセリフがおもしろかったです。前のコマの表情がシリアスだった分、「出家」というちょっと飛躍したセリフがより際立っているように感じられました。ちょっとコミカルな感じのラストのが、それまでの少し暗めな雰囲気と落差があって、いいなと思いました。



かきもとUさん『二十歳の煙(生存確認・改)

主人公の感情表現が、ラストシーンまで抑え気味だからでしょうか、最後のコマで、目を手で覆っている主人公から、ため込んできた悲しみがズシンと、重たく感じられました。この場面で一気に感情があふれだしてくるような感じがしました。主人公の心情が丁寧に描かれているような印象で、そこにとても好感を持ちました。
橋本くんとの回想の場面は、はじめて主人公はタバコを吸うところだと思うのですが、セリフなどで、初タバコであることをはっきりさせると、シーンが理解しやすくなるかなと思いました。また、細かい部分かもしれませんが、橋本くんと主人公がいる場所が、トイレのような感じがするけれども、どこなんだろうと、ちょっと疑問が残ったので、はっきりとトイレだと分かるように描いてもいいのかなと、そんな風に思いました。



もろいさん『藁を掴む

早川くんが仕事で苦労している様子が描かれているので、生活感のようなものを感じられました。3p5コマ目の息抜きに本を読んでいる早川くんの表情から、その前に具体的な仕事の様子が描かれているからか、リラックスしている雰囲気がしっかりと伝わってきました。
8~9pで「溺れるときに掴む藁のような小説」はどういったものか絵で表現されているのが、分かりやすさが、よりアップしていいと思いました。
ラストは、ネームより軽みのある終わり方で、余韻の残るネームとはまた違ったテイストで、これはこれでいいなと思いました。16p2コマ目で、少し考えるような間があってから「はい!この小説が大好きなので」と言う場面では、苦い経験をしながらも、好きなものを肯定していこうとする早川くんに、好感を持ちました。
「でも作者はクソ野郎なんですよ」とそのあと付け加えることで、コミカルな感じで終るのもよかったと思います。吹っ切って前へ進もうとしている早川くんの気持ちが伝わってくるようでした。



どんどこすすむさん『サムライと漫画家志望

2p2コマ目と3コマ目で、お手本の女の子と、主人公が描いた絵が並んでいるのが、見やすくていいと思いました。主人公の苦戦ぶりが分かりやすくて、おもしろかったです。
8p1コマ目の寝ている侍がかわいかったです。主人公とのコンビっぽさが、より強くなっているのもよかったと思います。堅物の侍と主人公との会話が楽しくて、二人の今後を見てみたくなりました。同人誌即売会の場面では、「隣の店はよう繁盛しとるのぅ」や「今回も全然売れなかったな・・・」のセリフで、あまり売れなかったことは分かるのですが、もう少し売れていない様子を描いてもいいかもしれません。主人公の上手くいかない感じが分かると、11p1コマ目のため息をつく彼の気持ちがより伝わりやすくなって、13pで本を買ってくれる人が登場する場面が生きるのではないかなと思いました。
また、15p1コマ目の「脇役に出てくる女の子がかわいいと思って」のおばあさんのセリフを受けた主人公の反応をもっと大きく見てみたい気もしました。



えすけいさん『カーテンコールは終わった

5p2コマ目の「パアッとなる」ショーゴくんの表情がかわいらしくてよかったです。人懐っこそうな人柄を感じました。4p1コマ目のタイチさんもかっこうよくていいと思いました。
ショーゴくんの心の内が、モノローグを中心に描かれていて、彼と他の人が会話したりする場面がちょっと控えめに感じられたので、タイチさんとショーゴくんの交流するところや、タイチさんはどんな人なのかをもっと見てみたいなと思いました。
13pのシーンは、2コマ目のショーゴくんの顔が、部屋に差し込んでくる光で少し影が濃くなっているからか、寂しそうな雰囲気がよく出ていて、二人の別れを予感させて、グッときました。14~15pで暗い色の場面が続いて、最後にショーゴくんが光の中へと歩いていく流れが、色々なことはありながらも、前へと踏み出していこうとするポジティヴな雰囲気がよく出ていて、いいなあと思いました。




夢叶羽どどどちゃん前を向いて歩こう

女の子の顔や姿が隠されているので、主人公と距離が近くなった感じがしまして、10pで女の子が裸を見せる場面の、主人公の嬉しい気持ちがより伝わってくるように思いました。ネームでも、ある程度主人公と読者が見ているものが一致していましたが、完成稿の方が、より主人公と読者の視点がリンクしているので、物語に入りやすく感じられて、いいと思いました。
6pの主人公の主観の視点になる連続したコマで、登場してくる色々な衣装の女の子が、それぞれしっかりとかわいらしく描き分けられているのが、よかったです。
11p4コマ目の「でも俺も裸見れたからそれだけで嬉しいっすわ」の笑顔と背景に描かれた模様から、主人公の明るい人柄が伝わってきました。主人公のあっけらかんとした、憎めない雰囲気が、その行動の突飛さをいい感じで和らげているように思いました。



新川帆立さん『恋ってなんだ?

コマの中の文字や絵が、ネームと比べてスッキリとしていて、読みやすさが増した気がしました。描こうとしていることが、よりはっきり分かりやすくなった感じがして、よかったと思います。キャラクターは、シンプルな線で描かれていますが、2pの2、3コマ目や、4pの1コマ目など、丁寧に背景が描かれたコマがあるので、コマの中が充実しているような感じがして、
読んでいて満足感があっていいなと思いました。
3p4コマ目の「おう・・・ありがとう」と、熱狂的ファンの熱に若干引いている主人公がおもしろかったです。
旦那さんが、丸っこくてかわいらしく、おおらかな雰囲気を感じられて、魅力的でした。9p1コマ目の、コマ一杯のほめことばと淡々とした表情から「ツワモノ」感を感じられて、おもしろかったです。。
1p2コマ目や5p3コマ目の、粗く黒々と塗られた背景から、主人公のモヤモヤとしている気持ちを強く感じられて、素朴でかわいらしい姿のキャラクターの雰囲気とのギャップもあって、印象的でした。



zinbeiさん『元・人間一回目の比較的スムーズな旅

2p2コマ目で「よく無計画で動揺するかららしい」のモノローグと、1p4コマ目の「ノープランです」のセリフの時の、主人公の得意げなキリっとした表情から、何かトラブルが起きるのかなと思いながら読んでいると、ラストで直面するアクシデントは、ほほえましい感じで、ほのぼのとした雰囲気がいいなと思いつつ、トラブルにあって、あたふたしながら乗り越えていくシーンもちょっと見てみたかったかなとも思いました。
「楽し~!」の3pの5コマ目や、「ドヤアア・・・」の8p1コマ目の表情など、主人公の表情がかわいらしくて、いいですね。10p最後のコマの「んんんんん」と考え込んでいる顔も、チャーミングでした。
5p4コマ目の「お風呂の前後に散歩できるって贅沢かも」のシーンでは、旅先で、小さな楽しみを見つけていく主人公の姿勢がいいなあと思いました。旅の合間に、ふと気づいた楽しさをしみじみと噛みしめているようで、素敵でした。



夢野ボムさん『全然平気!

ネームと印象が変わって、背景の色が黒いコマが多いからでしょうか、どこか不穏な雰囲気が漂っている独特な読み味がおもしろかったです。イヤホンが玉木くんとコミュニケーションしようとした意図や、彼と交流することで、どんなことを感じたのかをもっと知りたくなりました。
玉木くんが、抑え込んでいた気持ちを解放するラストシーンは、前向きな変化と受け取れますが、どことなく危ういような、怖さも感じられました。こちら側に向かって話しかけるようなラストも、ドキッとさせられて、印象に残りました。変わった後の髪型が、どこか幽霊がフワフワと浮いているような感じがして、イヤホンに乗り移られてしまったのかなと、そんなことを少し想像しました。



新森フクモさん『大切なものを決めて

ネームより画面がすっきりとして、より分かりやすくなった感じがしました。情報量は減ったかもしれませんが、読みやすさがグッと高まったように思います。また、キャラクターの表情が、生き生きとしているのがよかったです。
7pで白川さんが「産休を取るんだ」と言ったあとの久美さんの表情と、ぎゅっと握られた手に、彼女の抱いている複雑な気持ちが表れている感じがしました。9pの場面は、久美さんの思いが白川さんに何となく伝わったようで、ちょっと救われるような気がしました。
また、11pで、「ちゃんと決めて、前に進みたいの。」と、大きく描かれた久美さんが印象的でした。なにか少し吹っ切れたような表情で、元気を取り戻したのが、よかったなと思いました。「ちゃんと決めて、前に進みたい」という言葉が、どんな風に気持ちが変化して口に出せるようになったのか、その過程を知りたくなりました。
最後の幸せそうな久美さんたちの姿が、それまで葛藤している彼女を見てきているので、いいなあとしみじみと思いました。



くじくじらさん『チンかも

4p1コマ目の「俺が親友?」と照れるほまれくんがかわいらしかったです。ネームでは、真くんが目立っている印象でしたが、ほまれくんの方にもかわいらしさがうかがえるシーンが増えて、どちらもいいキャラクターになっているように感じました。股間を揉もうとする友人と、それにとまどいながらも、なんとなく受け入れてしまう主人公という、物語の流れがおもしろかったです。7p2コマ目で「いい匂いがする」と気持ちが揺れて、10p最後のコマでは、「こいつはただの男友達だから」と、自分に言い聞かせるようにしているほまれくんたち二人の関係が、この先どんな風になっていくのか興味がわきました。



こまだ ほろさん『おでん

キャラクターの線が少しザラザラとしているようで、素朴な印象を受け、かわいらしかったです。
8p4コマ目の、先輩がちくわぶを説明しているところに、ちくわぶの絵があると、より分かりやすくなる気がしました。
11p1コマ目の、台所に立つ先輩の姿がよかったです。台所の様子が分かって、生活感を感じられました。先輩がそこに住んでいるんだなあと、キャラクターとしての実在感がより強まるような気がしました。
エプロンのひもを結ぶ様子が2コマ使って描かれているのが、とても丁寧な印象を受け、好感を持ちました。
14p1コマ目の、ちくわぶを食べたあかねちゃんの反応がかわいらしかったです。表情もいいのですが、頬にあてた手がチャーミングでいいなと思いました。全身でおいしさを表現しているのが、あかねちゃんの素直な人柄が表れているようでした。



midoriさん『女風SNACKへ行こう!

ネームを読んだ時、女風スナックに行く経緯やそれぞれのキャラクターがどういったイメージを持っているのかを描いているのが、丁寧でいいと思ったのですが、完成稿は、テンポがとてもよく、グイグイと物語に引き込まれるような感じがしました。
2~3p、それぞれのキャラクターの服装やテンションで、女風スナックに向かう心構えと、それぞれの人柄の違いがパッと分かるのがいいと思いました。主人公とばっさん、まるさんの三者三様の反応が読んでいて楽しかったです。同じ場所に行っても、感じることは人によって変わるよなあと、考えてみると当然のことなのですが、そのおもしろさが表現されているのがよかったです。
4p4、5コマ目で、カチコチになって心を飛ばしているばっさんがおもしろかったです。意識がフワーと幽霊みたいになっているのがコミカルでした。9pで「トゥクン」とときめいている主人公と、涙するまるさんから、ぱっと心をつかんでしまうyuくんのすごさが伝わってくるような感じがしました。


シンシンさん『ひし餅はお好き?

ひし餅に強い思い入れを持っている主人公が14p1コマ目で、ひし餅への思いを語っているシーンは、長く説明しているにもかかわらず、ちっとも内容にピンとこなかったのがおもしろかったです。主人公の謎のこだわりがいいですね。ひし餅に、思わぬ役割があるのが、読んでいて不思議な魅力がありました。
しおり先輩は、過去に何かひし餅でひどい目にあったのかと思うくらい拒絶反応が激しかったので、どんなことがあったんだろうと、しおり先輩の過去が気になるところです。
しおり先輩も、みくる先輩も、それぞれ別方向にキャラクターとして特徴があるのがいいと思いました。見た目や表情から、その性格が分かりやすかったです。しおり先輩が急にひし餅に動揺しまくるのは、意外性があっておも
しろかったです。
ただ、キャラクターに存在感があって魅力的な分、背景が少し簡素な印象で、主人公たちはどこにいるのか判然としない場面もあったので、背景がもう少し描かれていると、分かりやすくなっていいかなと思いました。
最後のページの、小さな部屋で髪を下ろしてリラックスした感じのみくる先輩と、主人公が一緒に演奏している場面は、二人がちょっと仲良くなっている感じがしていいですね。くつろいでいるみくる先輩と、緊張気味の主人公の対照的な様子が、印象的でした。



佐原もやさん『なんでも

1pを読んでページをめくったあと、2pの最初に大きな絵で、いきなりマキちゃんの蹴っているシーンがくるのがインパクトがあっていいと思いました。マキちゃんが蹴り飛ばしたのは何かがはっきりとは分からなかった(たぶん、ゲーム機でしょうか?)ので、何を蹴ったのか、パッと分かりやすいものにしてもいいかもしれません。
無自覚にちょっと嫌な言動をしてしまう主人公の姿がコミカルに描かれていて、6p2コマ目の「なんでおかしくなっちゃったんだろうな」の表情が、何とも嫌な奴感がよく出ていてよかったです。顔がコマ一杯に大きく描かれているのが、憎々しさを感じさせておもしろかったです。
友達が二人とも、主人公の言動のどこがどんな風に嫌だったのかをはっきりと言葉にしないので、そこは、主人公が何をどう「間違ったのか」言ってあげてもいいのかなと、主人公が少しかわいそうな気もしました。


福本眞久さん『ED社長!!

ネームの落ち着いたイメージとは変わり、キャラクターの感情や表情に勢いがあって、おもしろかったです。5p4コマ目のガバーと起きる時の顔が、コミカルでいいですね。
9p1コマ目のエリーさんが温和そうで、かわいらしかったです。この場面のエリーさんがおっとりと優しそうな分、11p3コマ目の「私も自分の性欲に素直になろうと思う・・・♡」のセリフと表情から漂ってくる恐ろし気な雰囲気が、より強く感じられるようでした。主人公がエリーさんに何をされたのか、ちょっと怖いような感じがしますが、「何ィー⁉」と動揺する主人公がおもしろかったです。このシーンの主人公のリアクションの顔がちょっと見てみたかった気がしました。



イドガネさん『オレのタルパ

「タルパ」の言葉の意味と、「マンガの技術を駆使して」「念じ続けて」生み出したと4~5pで説明があるので、どうやってタルパが生まれたのか、その経緯が分かりやすくなっていいなと思いました。タルパってなんだろうとネームを読んだ時に、ちょっと頭に浮かんだのですが、完成稿で4pの解説が追加されたことで、スルスルと読むことができました。
モノローグが多めなので、文字数がそこそこある作品だとは思うのですが。コマごとの文字数や、配置の関係でしょうか、テンポがよく感じられ、読みやすかったです。そこもいいなと思いました。9p終わりのコマで「そんな力強いタルパは」という心の声から、ページをめくると、だいぶたくましいタルパが出てくるシーンは、それまでのかわいらしいタルパとのギャップがあって、おもしろかったです。厳しいことは言いつつ、結構優しいのがいいですね。
11p3コマは、タルパのセリフが、グサッと主人公に刺さっているのだと思うのですが、刺さっている感がちょっと控えめに感じられるので、もっと思いっきりグサッとやってしまっていいのではないかなと思いました。
ネームでは、タルパは消えてしまいましたが、完成稿では、タルパと共に歩いていく結末に変化して、ポジティヴさがより前面に出ている感じがしました。最後のコマで二人のタルパが、主人公に寄り添っているのがよかったです。



アサイーうめぇさん『脆弱な身体よ。強靭な魂に追いつけ。

2p3コマ目の小さい頃の主人公のすねた表情がかわいらしくてよかったです。
「・・・・・・母ちゃんより先に死ぬな」「独りは怖いのよ」と二人がシルエットになる11p3コマ目と、12p1コマ目の、主人公の顔に落ちる涙が、お母さんの顔が見えない分、気持ちを想像させられ、「そんなんエゴやん」のセリフと、「そうかこの人も闇を生きのびて」のモノローグから主人公の葛藤がうかがえて、印象に残りました。
14p3コマ目でキスしているお母さんと「機嫌良いな腹立つわ」と、嫌そうにしている主人公が、なんだかんだ仲がよさそうで、色々ありながら和解できたのかなと和やかな気持ちになりました。ラストシーンは、それまでの重いトーンがまだ続いているような、不穏な雰囲気を少し感じたので、ちょっと希望が見えると、主人公の変化をより感じられていいのかなと、そんな風に感じました。



夕波とんぼさん『パラボラ

3pで桜井さんが暗い顔をした春樹くんを元気づけて、背中を押し、ちょっと春樹くんが前向きになりそうだったところに、古宮さんの「こんな死んだ目をした人が描く絵はどうせつまらないので」という厳しい言葉がくるので、春樹くんが、少しかわいそうに思いました。
11pの、春樹くんがボールを蹴る大きなコマは、青空が大きく描かれていて、開放感があって、グッときました。回想の場面のコマでは、絵がザラザラとかすれているのが、切なさを感じさせて、いいなあと思いました。12p3コマ目の、笑顔の春樹くんと友人の姿が、特に印象的でした。
15p1コマ目の春樹くんの、キリっとした表情も魅力的でした。2p1コマ目の「・・・僕絵描けないです」と目に光がなく弱々しい様子の春樹くんと比べて、瞳の描き方が違うからか、生き生きとした感じや、内面の変化がしっかりと伝わってくる気がしました。次のコマの、古宮さんの少し驚いているような顔も印象的でした。





yxudonさん『おかえり15歳

1p1コマ目や、3コマ目が細かなところまでしっかりと描かれているのがいいなあと思いました。丁寧に描かれている印象を受けました。コマによって絵の雰囲気が変化するので、テイストを統一すると、まとまりが生まれていいのではないかなと、ちょっと思いました。
11pのページいっぱいの絵の主人公の瞳がキラキラとしていて、星のきらめいている宇宙も魅力的でした。ネームから追加されたシーンは、主人公が空くんの死と向かい合う流れになるのが、見どころが増えていいと思いました。どうして、空くんに乗り移ってしまったのかが、分かりやすくなったので、読みやすさも増した感じがします。
ラストのコマの、空くんと過去の自分が主人公に寄り添っている絵が素敵でした。



しのののさん『合わない友達

ネームでは、姿が見えなかった友達に顔があることで、存在感がグッと増した気がしました。髪型に違いがあるので、どちらがセリフを言っているのか間違えずに読めました。ただ、結構似た感じのヘアースタイルではあるので、もっと感じの違うキャラクターにすると、区別しやすくなってよいかもしれません。
会話がどこか噛み合わないような居心地の悪さはありつつも、お互いを嫌っていないのがおもしろいなあと思いました。最後のコマの、「でもまあ なんだかんだでこの適当な関係はすごく好きだ」と、主人公が、友達との距離感を肯定的に捉えているのがいいですね。ちょっと不思議な感じの友達との関係がおもしろかったです。



以上になります。
すでにひらめき☆マンガ+にアップされている課題2以降の感想などは、また遅めの投稿になってしまうかもしれませんが、少しずつ続けていこうと思っています。よろしかったら、のぞいてみてください。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。






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