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ビジネスに絶対欠かせない! 正しい「値決め」の教科書

中村 穂
1940年生まれ。関西大学商学部卒業後、総合紳士用品卸に入社。1965年に独立し、以来、松下電工(現在、「パナソニック エコソリューションズ創研」に移行)、武田薬品、市田、大関酒造などの社員教育、傘下得意先のコンサルティング、マーケティング指導にあたってきた。現在、有限会社「創」(商法改正に伴い株式会社CCS)代表取締役。

1.値決めの第一歩

そもそも商品に値段をつける際、何を基準にして決めればいいのでしょうか?著者がまず考慮すべきと唱えるのは、「利益が出るかどうか」です。企業が存在するためには、利益を上げることが不可欠です。

次に重要なのは「顧客と市場の反応」です。単に利益が出る価格を設定するだけでは不十分です。市場がその価格をどう感じるかも考慮する必要があります。例えば、ガムやキャンディーのように元々安価な商品は、価格をさらに下げても販売量は増えません。

一方、高級品の場合は、価格を下げることでかえって売れなくなります。高い価格の方が信頼性を感じさせ、購入されやすくなるのです。したがって、顧客と市場をしっかり理解した上で、最適な価格設定を行うことが重要です。

2.マーケティング分野で研究済み

値決めは多くの場合、「言い値」のようなイメージがあります。しかし実をいえば、「値決め」については、マーケティングの分野で既に十分な研究が行われており、その結論が「4つのP」としてまとめられています。

「4つのP」とは、マーケティングの基本要素である「price=価格」「product=製品」「place=流通」「promotion=販売促進」のことです。値決めは、この中の「price」に該当します。

これらの要素は相互にバランスを保ちながら、ターゲット市場のニーズに応じて組み合わせることが求められます。特に、「price=価格戦略」は値決めにおいて最も重要な要素です。適切な価格戦略を採用することで、商品の競争力を高め、顧客にとって魅力的な選択肢となることができます。

3.値決めのステップとは?

では具体的に、値決めはどのようにして行えばいいのでしょうか?著者が紹介するのは以下の6つのステップです。

  1. 価格設定の目的を決める: まず最初に、会社の方針や目標に基づいて価格設定の目的を明確にします。

  2. 価格と需要の関係を調べる: 次に、市場の需要と価格の関係を調査し、消費者の動向を把握します。

  3. 原価とコストを調べる: 原材料の価格や生産コストなど、製品を提供するためにかかるコストを詳細に調査します。

  4. 競合他社の価格を調べる: 競合他社の価格戦略を分析し、市場での競争力を評価します。

  5. 価格設定の方法を決める: 目標や市場の状況に応じて、最適な価格設定方法を選択します。

  6. 価格を決める: 最終的な価格を設定し、市場に投入します。

これらの手順を順番に踏むことで、自分の会社にとって最適な価格を設定することができます。価格設定の目的を明確にし、市場の需要を正確に把握し、コスト構造を理解した上で、競合の状況を分析します。これにより、最適な価格設定方法を選び、最終的に理想的な価格を導き出します。このプロセスを経ることで、適正価格を設定し、会社の利益を最大化することができるのです。

まとめ

「値段」は商品やサービスの価値を表す重要な要素です。それは単なる数字ではなく、顧客の期待や満足度、そして市場の動向にも影響されます。適切な値段設定は、企業の利益を最大化し、顧客との関係を築くのです。

値段は競合他社の価格や顧客の支払意欲、製品やサービスの付加価値などを考慮して決定されます。また、値段はブランドイメージや信頼性にも影響を与えます。綿密な市場調査と戦略的な価格設定によって、市場での競争力を高め、企業の成長を支えることができるでしょう。

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