(詩) 「緑風橋 五月」
こぼれる春の光に彩られ
町は何処までも澄み渡る
それは祝福 一つの恩寵
いくつもの女性たちのシルエットが
寂寥の裏路地に躍っている
笑い声がちいさく跳ねる 飛沫をあげる
魚のように
五月の光線は全てを照らしだす
道往く老人の顔には 太陽のぬくもり
静寂の音響は小路の喜びの影に隠れた
鳩は群れたち 穏やかな羽を自らつくろって
雲と通じる青い樹木の内部に憩う
蓬色に濁り切った水の深度はゆたかだ
風はたゆたい 止むことなくただよい
水面にたえず宝石を散りばめてゆく
この日 影