脳筋ドラゴンと天才ネズミのタッグで競うトリックテイキング「Wicked & WISE」

*こちらの記事はtrump_Bridge様主催の「Trick-taking games Advent Calendar 2023」参加記事です*


前振り


It's my …


ヤーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!



すいませんでした。うちの脳筋のイメージがこれなんです。
と、いうことでご紹介するのはこちら。


バァー〜ン!

「Wicked & WISE」です。LCGみたいだろ?トリテなんだぜこれで。

こちらのボードゲームですが、2021年頃にキックスターターで支援を募っており、2023年の上旬当たりに着弾しました。待たせたな!
色々なトリックテイキングを見てきましたが、某芸人の「なんだコイツ~!?」といわんばかりの奇妙さだったので蹴ってしまいました。楽しいキック。

中身

それでは早速中身を見ていきましょう。

トリテなのに盛り沢山

プレイングカードは5スート75枚。また、予想用のカードやトリックの勝者がもらえる戦利品カードなどなどたくさん入っています。何枚あるんだこれ。
後は得点管理用のお金や、切り札用トークン。カードが大部分を占めていますね。

いっつあじゃぱにーずてきすと

なお、日本語版なんて贅沢なものはありませんので、自ら翻訳したテキストを用意し、それぞれスリーブの中に入れて日本語対応しています。

では具体的なゲームを見ていきましょう。


ゲームの流れ

概要

はやい話が、金をたくさん稼いだやつの勝ちです。稼ぐためにはビッドを達成したり、戦利品やプレイングカードの効果を使ったりするなどして稼ぎます。
このゲームの特徴として、「チーム戦」になっているということ。しかもそのチームの中で、「ドラゴン」と「ネズミ」のどちらになるかを決めなければなりません。
役割は簡単に言えばこんな感じ。
・ドラゴン:トリテしたい。カードの下の効果なんざ知らんよ。
・ネズミ:ドラゴンのアシスト。特殊効果でがんばるぞい。
つまり、同じカードでも、どっちの役職が使うかで見る場所が異なります。
強い数字のカードをネズミが使うのか、ドラゴンが使うのか?がカギとなります。

進行

①ドラゴンに10枚のカードを、ネズミに7枚のカードを配ります。
②各チームのドラゴンは手札をよく見て、ビッドカードからカードを引き、何枚か(3ラウンドあるのですが、ラウンド数によって変動)をネズミに渡します。
③ネズミは渡されたビッドカードを見て、達成できそうなビッドカードを選びます。ドラゴンの手札は見えません。
ちなみにビッドカードはこんな感じ。

簡単なものは安くて、難しいものは当然高い

難しいものは成功した時の得点も高いのですが、失敗した時の減点も大きくなっています。と、いうのも原語版では得点だけが書かれており、言語版では「その得点の半分」が減点されます。それだけだと不親切なので、せっかく和訳するなら、と失敗時の点数も書いちゃいました。

④ここからトリックテイキングのスタート。ドラゴン側から始めます。流れとしては、全チームのドラゴンが順に出して、全チームのネズミがアクションするという流れです。
ドラゴンはトリテにしか興味がないので、手札からマストフォローに沿ってカードを出すだけです。このままです。下のカード効果は発動しません。
次に全員のドラゴンが終わったら、同じ順番でネズミもフォローしつつカードを出します。ネズミの出したカードは効果がその場で発動しますが、右上のスートや数字はないものと思ってください。
ちょっと怖いのが、ネズミにもマストフォローのルールが適用されること。それこそ何もなければよいのですが、出したくないタイミングで使わざるを得なくなるので注意が必要です。

⑤その後は通常通りトリックテイキングのルールに従ってトリックの勝者を決めます。勝利したら2点か戦利品カードが選べるよ。負けてもこの2択で選ばれなかった方がもらえるよ。
ここで、リードを「勝敗に関係なく」時計回りに次のドラゴンに渡してネクスト・トリック。連勝しづらい上に5トリックしかやらないので、「4トリック取る」とかの条件がいかに厳しいかが分かるかと思います。
戦利品カードですが、トリックのリードに出すことでその効果が発動します。小さい数字が勝ったりとか、カードの出方によって点数が貰えたりだとか。

⑥5トリック終わったら、ビッドカードの精算。成功してたらプラス。失敗したらマイナスです。

これを繰り返していくゲームなのですが、カードにいろんな効果が書いてあるトリックテイキングなのでまぁ珍しいこと珍しいこと。
そんな「Wicked & WISE」ですが、ちょっと変わった点として以下の存在があります。

特徴的な点

・切り札のみの山札とそれ以外の山札で分かれている
 トリックテイキングに切り札はつきものですが、最初の手札に切り札なんてものはありません。


あっちには宝石がたんまりとありまっせ

ご覧のように最初は切り札(宝石。左側)と通常カードが別々になっています。
つまり、カードの特殊効果で、「宝石の山から1枚引く」みたいなものを使わないと切り札は来ません。
また、カードを補充する効果の対象がネズミになった場合は、どこかでドラゴンと手札交換できるような効果を使わなければなりません。ただ、切り札カードの効果も相当強いので、どちらが使うかはビッドカードで判断するべきな気はします。

また、分かれていることによって、「いつ、だれが、切り札を手に入れたのか」が分かるのはとても良いことです。突然切り札が来て「ずるい!」ってなるより、「切り札を、拾ったなぁ…?」みたいなちょっとした情報が見えるのは面白ポイントだと感じます。

・ビッドの選択肢を決めるのは、トリテに参加する人。ただし、最終決定は参加しない人。
上記のルールでも書きましたが、ビッドカードを最終的に決めるのはトリックテイキングに参加しないネズミ側なんですね。この「うまく行かない」ビッドシステムよすぎません?こういうチーム間で「うまくやれよ!」ってデザインされてることによって、コミュニケーションのずれを味わえるようになっている気がします。

・コミュニケーションの制限を選べる
チーム戦や協力型のトリックテイキングには「会話の制限」がつきものです。そういう手札がばれるような会話されちゃあ堪ったもんじゃないですからね。しかし、こちらをご覧ください。

両面印刷x2枚の4通り

なんと、その制限レベルを選んでプレーできます。この仕組みってなかなかないと思いません?例えば「ビッドカードの設定中は手札について話していいけど、それ以外はダメよ」みたいな。そんな制限からなんから色々。
そういうコミュニケーションのレベルを前もって決めておくことが出来るのって面白い試み(冗長かもしれませんけど)だと感じました。

個人的評価

個人的にチーム戦のトリックテイキングの中でもかなり怪作だと思います。チーム内で役割が割れるのもそもそも珍しい気もしますが、カードのすべてに特殊効果あるのはあまり例を見ないと思います。
それを踏まえたうえで、「プレー時間45~75分」となるので、トリテの中では多少のロングゲームな部類になります。かなり気力いるでしょこれ。
途中でドラゴンとネズミを入れ替えることもないので、入れ替えてもう一回!って言って2ゲーム通してやると最大150分というサイズに。おい、隣の火星地球化計画終わってんぞ。
トリックテイキングの仕組みを使った「何か」にギリ見えなくもないですが、これはこれで斬新な試みだと思います。


あとがき

もし和訳データが欲しい人がいたらご一報ください。カードの和訳用シートだけ送りつけときます。

fin.


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