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豊かな社会?

 自分達の国や社会が豊かである、発展しているなど、どのように捉えるかはそれぞれが過ごす時代背景の影響を受ける。20世紀のうちに生まれ成長期を向かえ、社会に出ていった人であれば、大きな戦争の経験もあったがその後の社会が成長するのを目の当たりにしてきている。21世紀に生まれた人であれば、日本の社会が経済的な成長の面での停滞期にあると考え、アメリカ、イギリスであれば、ニューヨークセンタービルのテロ、リーマンショックなどから、自分が混迷期にいるととることだろう。

 主観的な捉え方は様々であるため、客観的に社会の豊かさを比較するため、各国を横断的に調査している経済協力開発機構 "Organization for Economic Co-operation and Development"(以下、OECD)による資料を参考にした。OECDのデータベースでは加盟国や準加盟国について、ここ20年程の貧困率を調べられる。冒頭の図は、相対的貧困率の高い国(貧困世帯が多い)から低い国(貧困世帯が少ない)までを順に並べた。2018年のデータで、日本 15.7%、アメリカ 37.6%、イギリス 11.7%で、日本とアメリカでは近年の相対的貧困率が悪化し、イギリスでは近年改善傾向にある。(*1) 

 日本の相対的貧困率は10年毎におよそ1%づつ悪化している。何もせず、声を発さず、不都合な真実に対して目を背けていれば改善はしません。所得格差、税制、社会保障制度等のあり方をどう調整すべきか、検討を継続する必要があります。わたし達も、どのような社会問題があるのかについてしっかりと調査結果をまとめ、政策提言につながる活動を継続してまいります。 

注釈
*1 出典 OECD.  “OECD. Stat Database Social Protection and Well-being Income Distribution Database.” https://stats.oecd.org/ (20230719).  本稿でしめす相対的貧困率は可処分所得が所得全体の中央値の50%に満たない人口の比率で、税分配後の数値で算出している。OECDによる所得の定義基準は、定義に関する見直しがある毎に新基準による数字を用いた。また、年齢による区分けをせず、全年齢の人口を母数としている。日本、アメリカ、イギリス各国による調査結果が出揃っている最直近が2018年であり、当年を基準に比較している。


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