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こども達を食い物にする人(プレデター 捕食者)

 表1はアメリカ、イギリス、日本で各国の殺人による死者数、自殺死者数、児童虐待の件数を各国の人口比でどれだけ発生しているのかをまとめたものです。わかることとして、まず日本の自殺率が他国に比べて2倍となっている。(黄色マーカー) 次に、アメリカの殺人の件数が他国より多い。最後に、日本において児童虐待の表出件数が、とても少ないこと(赤色マーカー)が分かります。
 なぜ日本における児童虐待の表出数が少ないのかについて考えてみます。

表1 各国の殺人、自殺、児童虐待 件数と人口比

 ここで取り上げたアメリカ、イギリス、日本では各国の法律により児童虐待の定義が異なります。アメリカ児童虐待防止法(1974年)は、現在起きている児童虐待からいかにこども達を保護するのかに重きが置かれています。イギリスの児童法(Children Act 1989) 等では、過去に児童虐待を受けた被害者が大人になった現在、例えば、過去の経験による精神的な影響といった、自分が経験したことに起因することについても救済ができるよう、児童虐待の定義を広くしています。日本の児童虐待の定義はアメリカの法律を参考に作ったため、児童虐待の定義がアメリカの定義と重なっています。
 表1の赤いマーカーで示したように、日本で表出する児童虐待件数はなぜこんなにも少ないのでしょうか。これは虐待を受けている被害者、その周辺にいる人も含め児童虐待に対する認識が鈍感なことが1つの要因としてあげられます。
 日本の有名なアイドル芸能事務所の社長が行っていた児童虐待について、イギリスBBCが制作したドキュメンタリーが放送されました。bbc.uk の動画サイトでは、このコンテンツへはイギリス国内からのアクセスに制限されています。私はdisneyplusの配信するBBCコンテンツとしてこのドキュメンタリーを見ました。実際にその事務所に所属していた人物にインタビューをし、事務所社長から受けた虐待の詳細な状況が述べられています。BBCによるこのドキュメンタリー番組がテレビ放送されたのは2023年3月で、まさにその時日本の放送局は1社だけがイギリスで児童虐待に関するドキュメンタリー番組が放送されたという事実を報道しました。その他の民放局は、国連人権部会による日本に関する調査が完了した、本年8月4日になり大きく報道をはじめました。多くの男性人気タレントを抱える芸能事務所のご機嫌を損ねると自局番組のキャスティングに影響があるとの判断なのか、虐待の加害者だとの証言が出ている本人が死亡するのを待っていたのではないかというタイミングです。(判決で有罪にならなければ疑わしいというだけです。被疑者はすでに死亡)以下のYOUTUBEリンク(BBCWORLD China*)からは、日本からのインターネット接続でも、約60分のドキュメンタリーコンテンツをすべて視聴できます。 17分27秒以降に、上述したインタビュー箇所があります。インタビュアーは英語で問いかけますが、被害者が日本語で答えています。

17m:27s〜 被害者のインタビュー

 児童虐待についての定義は各国の法により定義が異なると述べました。以下はイギリスにおける児童虐待に関する定義の説明の一部です。『児童性的搾取 (CSE) は性的虐待の一種です。子供や若者が搾取され性的行為と引き換えに、贈り物、麻薬、お金、地位、愛情などのものが与えられる。子供や若者は、愛情がある合意に基づいていると錯覚することがある。これをグルーミングという。彼らは虐待者を信頼し、自分が虐待されているということを理解していない可能性がある』 17分27秒以降のインタビュー箇所をこの定義を当てはめながら聞くと、グルーミングという児童虐待が行われていたのであろうと、ハットする発言です。
 最後に。国連訪問団は何も日本のタレント事務所寮で行われていたことを調べに来たのではなく、国連人権委員会のビジネスと人権分野の部会としての調査でした。日本が抱える人権問題について、女性、障がい者、先住民族に関すること、部落差別、技能実習生、外国人労働者、LGBTQI+の人々の権利等までを含めた調査です。最終報告書としてまとめ作業を経て、2024年6月に国連人権理事会へ提出となります。
 日本での児童虐待が発生している件数は、アメリカ、イギリスなどと比べ、本当に少ないのか。虐待を見落としてしまっているだけではないのか。
 今回の人権部会の調査団の訪問を受け、若干思いついたことをまとめてみました。

 ビジネスと人権関するさらなる情報は、メール Krizel Patolot Malabanan krizel.malabanan@un.org and Sonia Cuesta at sonia.cuesta@un.org
CC: hrc-wg-business@un.org

国際電話 +41 22 928 9855  (調査チーム秘書)まで。*フッターには調査団による現地調査の終了報告の日本語訳へのリンクを掲載しました。英語版原文で、これら連絡先が公開されています。


Then STAND UP for someone’s rights today.
#Standup4humanrights
@UN_SPExperts
 http://www.standup4humanrights.org


UN Human Rights Japan (2023年8月4日) 『訪問調査完了について』https://www.ohchr.org/sites/default/files/documents/issues/development/wg/statement/20230804-eom-japan-wg-development-japanese.pdf  (access: 20230806)

*2023/08/12 追記
BBC News Japan で公開。日本語字幕付。
BBC News Japan『BBCドキュメンタリー「J-POPの捕食者:秘められたスキャンダル」』(
access: 20230812) https://youtu.be/zaTV5D3kvqE?si=zkCPwTGhueJlaBT5

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