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自分の中のばけもの

住野よるさんの「よるのばけもの」を読んだ。
このお話は中学で起きるいじめについてが主題。ある日から夜にばけものになってしまう、あっちーくん。それと矢野さんっていういじめをされている女の子が夜の学校で会う。物語は昼の二人と夜の二人が描かれていく。

正直、私も小学生の頃いじめを見てしまった時があって、何もできなくて、だからこの物語はずっと苦しかった。これはハッピーエンドでは無いし、きれいごとじゃない。中学生の、未熟な彼らの攻防戦で、クラスの雰囲気の描写とか、連帯して弱い物をたたるのが、苦しい。

でも、この主人公のあっちーくんの心理的な描写にすごく没入できる。選択をしたいけど、できない、ばけものと人間の自分との葛藤。どうしたらいいのが正解なのかもわからずに、彼はすごく苦しむ。心が無いように自分を思い込ませていたけれど、ずるい自分と徐々に向き合っていっている。
これって成長と、優しさと、思いやりがどうやって生まれるのかを正確に描いていると思う。結局、みんな弱くて。でもその弱さを分かち合える人がいたらその人を凄く大事にしないといけないんだろうなって思った。
こういう、いじめだったりどうしようもない、どうやっても解決できないように見える事はある。でも、あっちーくんの小さな一歩が矢野さんにとってきっと大きな力になったんじゃないかな。

上手いことは言えないけど、複雑な感情に気付かされた。


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