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M-1の採点の点数で遊んでみる

2020年のM-1が終わり、去年ほど面白くなかったなというのが感想だった。2019年のかまいたち、ぺこぱ、ミルクボーイは本当に面白かったよね。

ヤフコメやツイッターを見ていると、ネタに関する感想と同じくらい、審査員に対する批評も目にする。

そこで、2018年から2020年まで審査員が変わっていないことも利用して、それぞれの審査員の特徴と、本当に前半は不利なのかという疑問について見ていきたい。

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まずこれは2020年のM-1の採点結果である(データはWikipediaから拝借。以下同様)。順番は出番順にしてある。

下の「標準偏差」とは数字のばらつきを表していて、どれだけ幅を持って採点したかということになる。数字が大きいほうが差をつけた、つまりメリハリを持って採点したことになる。この標準偏差が大事であり、点数の大きさは重要ではない。今回でいうとオール巨人さんが80点台ばかりつけるので審査が厳しいのではないかという批判を目にしたが、最初のインディアンスの89点を基準に採点したあと、見取り図とおいでやすこがの2組しか面白い組が出てこなかったので結果的に80点台が連発したということだろう。非常にコントロールされた採点だったと思う。

この2020年の標準偏差を横に比べたとき、塙さんの4.18が最高で上沼さんの1.04が最低となる。これは塙さんが幅を持って採点している分、全体の結果への影響が大きかったと言える。一方で、上沼さんは92、93、94、95の4点分の幅でしか採点していない。このような採点の仕方では、いてもいなくても結果はあまり変わらない。

以下が2019年

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最後に2018年

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こう見ると、上沼さんの標準偏差の下がり方が目立つ。4.93→2.12→1.04。さらに、2019年以降は80点台の採点をしていない(他の審査員は80点台の数字を出している)。これは完全に邪推だが、世間の批判を恐れて、年々小さくまとまってしまっているのではないだろうかと思ってしまう。

ちなみに過去3年分の標準偏差の平均

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松本さんと塙さんはメリハリがあり好感が持てる。

採点の仕方について2つ課題があると思っている

 ①高得点化した結果、採点幅が減って意図しない人が最終決戦に進む可能性がること

 ②審査員によって点数のバラツキに差が出て特定の審査員の意見が通りやすくなること

①について、世間の批判を恐れているのか、はたまたM-1の決勝まで来たというリスペクトを込めてか、80点から100点の20点分の幅で採点することが常態化している。一方で、第一期の2010年までは70点台の点数も散見される。近年のように点数の表現の幅が減ってくると90点の組より面白くて、92点の組より面白くなかった組は91点にせざるを得なくなる。さらに同じような面白さの組がもう1組出てきたとき、90から92のどこかに丸めるしかなくなり、面白さを数値化できていないことになってしまう。

②について、極端な話、0点と100点をつける人物が加わるとその人の一存でいくらでも結果のコントロールが可能になる。これは1票の格差問題のようなもので、標準偏差の差が大きいことは審査員間の影響力のバランスが崩れてしまうことと同義だ。

①、②共に、事前にどれくらいの点数の幅でつけましょうという審査員間での合意で解決可能だろう。結果的に幅が出ることは構わないが視聴者の感想とのギャップを埋めるためにも必要なことだと思う。

最後に、出番順と得点の相関関係があるか見てみたい。

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これは過去3年間の出番と平均点の合計をプロットしたものだ。出番順と平均得点にどれだけ相関関係があるかを表す相関係数は0.535となり、「正の相関がある」といえる。やはり前半は不利で後半有利なのは本当のようだ。

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