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メガネの小傷が気になる性格を変えたい。#1ヶ月書くチャレンジ、Day4

#1ヶ月書くチャレンジ 、Day4
今日のテーマは何かな?
「今1番変えたいこと」

それでは、書きます。
ちょうど、中学校にあがる頃でした。身長もニョキニョキ伸びてきたので、親が、なけなしの貯金をはたいて、新しい机を買ってくれました。新しい机は、奥に本棚があるようないわゆる学習机ではなくて、大人が使う本格的な木目調の天板を載せた机でした。
よく晴れた日だったと思います。机が勉強部屋に入ると、うれしくて、うれしくて、すぐさまその前に座りました。ジェット機のパイロットが座るような椅子に腰かけて具合を確かめると、今度は、背筋を伸ばして、机の天板に手のひらで触れてみます。サラサラした感触に幸せを感じました。
机に突っ伏して両手を伸ばすと、指先がちょうど机の端に届いて、ひんやりした机を腕や胸全体に感じました。机に顔を載せたまま、首を左にねじると、視線の先には、木目の広い空間、どこまでも続く水平な大地。でも、そこで目にしたのは、ちょうど、机の中央くらいから左端に向けて、20cmほど伸びた、細く、薄い傷。ほとんど直線で、尾っぽだけ少し上向けにカーブした傷が机に描かれていました。目を閉じて、もう一度開いてみても、やはり、そこに傷があります。
頭のてっぺんから胴体まで日本刀で一気に切り付けられたような感覚が、私を襲いました。
「新品の机なのに、親から買ってもらった大切な机なのに。」
消しゴムで消しても消えません。指につばを付けて擦っても消えません。熱いお湯に浸した雑巾で拭いても、やはり消えない。
親に相談すると、机に顔を近づけ、左右に傾けながら、しげしげと確かめて、
「顔くっつけて、よく見ないと見えないじゃないの。こんなの気にしなければいいのよ。」
と、言われてしまいました。「うん。」と頷いたものの、やはり納得できません。

まっさらな机で、気分一新。改めてスタートしようとしていたのに、傷が付いているなんて。

気にするなと思っても、気になって気になって仕方がありません。勉強を始めようと机に向かうと、一番に傷を見てしまう。目をそらしても、なぜか視界の端に傷がある。参考書やノートで傷を覆っても、まるで探知機が探知するように傷の位置を意識してしまう。

学校の成績が悪かったのは、机の傷のせいだなんて、けっして言うつもりはありません。

この性格は、大人になっても変わりませんでした。今度は、メガネです。
私は、朝、スーツに着替える時と、夜、帰宅して、普段着に着替える時に、メガネを拭くことにしています。
朝は、これから出勤するぞと気合を入れるため、夜は、一日のほこりを落として、さっぱりするためです。
メガネにシャンプーを吹きかけて、クロスでキュッキュッと拭く。LED灯にかざすと、指紋やほこりで曇ったレンズが透きとおる。レンズの向こう側の世界まで、すっきりと洗われたように見えました。

でも、事件は、いつも、突然、起こります。

どんよりと曇った朝、いつものように、メガネを拭いて、LED灯にかざすと、こういう天気に限って、よせばいいのに、かざす角度を変えてみたくなって、柄をつまんでいる親指と人差し指の力を加減して、少しずつ角度を変えていくと、案の定、細くて薄い線がうっすらと見えてくる。また、少し角度を変えるとすーっと消えていきます。

いつか、この日が来ることは、わかっていました。でも、こうなると、もう、たまりません。

メガネをかけていると傷が見えないはずなのに、気になってしまいます。気になって、気になって仕方なく、メガネを外して、傷を確かめる。少し角度を変えて見えなくする。また、角度を変えて傷を確かめ、今度こそ、傷を気にしないぞと決心して、メガネをかけるのですが、またすぐ、メガネをはずして、傷を探しだす。

この性格、なんとか、変わらないでしょうか。

#1ヶ月書くチャレンジ 、Day4については、こちらを

(おわり)

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