特別な日
君と初めて会ったのは
四月のこんないい天気の日だった
僕はカウンターの中にいて
お客の君は目の前の椅子に座って
何を注文されたのかはもう
君も僕も覚えていない
きっと最初の三年くらいまでは
お互いしっかり覚えていて
七年くらいしたら
覚えている君が忘れている僕を
やわらかくなじって笑い合った
十五年もすれば
君は子育てに忙しくて
話題にも上らなくなった
そして出合って三十三年目の今日
君の好きなドーナツを買って
子供たちに昔話をしようと思う
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?