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The Queen’s Gambit♟️

1.はじめに

 先日、ずっと見たかったNetflixオリジナルドラマ『クィーンズギャンビット』を見終わった。
 これを見るためにNetflixに加入した とも言えるが、やはり見終わって噂に違わぬ傑作だと感じた。しかし、なぜここまでチェスという日本ではマイナーな競技 (あえて“競技“と言おう)を取り扱ったドラマがここまで観る人を惹きつけるのだろうか。
 本稿では、視聴済みもしくは未視聴の人に向けて自分なりの「クイーンズギャンビット」の魅力を紹介しようと思う。
なお、物語の根幹に関わる部分は極力避けるつもりだが、多少のspoiler(ネタバレ)を含む可能性があることをご容赦願いたい。 

2.あらすじ

 当時9歳だったエリザベス・ハーモン(ベス)は自動車事故で同乗していた母親を失う。ベスは幼くして児童養護施設に預けられ、そこでチェスと出会う。
それまでの陰鬱としていた日々がチェスによって彩られ、天才チェス少女としての人生を歩むこととなる。しかし、チェスに没頭していた彼女には様々な葛藤や悩み、問題があり最強のチェスプレイヤー、“ボルゴフ“とともにベスの前に大きな壁として立ちはだかる。

3.個人的「クイーンズ・ギャンビット」3つの推しポイント

3.1少年ジャンプ的ストーリー構成
 まず僕が最も言いたいことから話そう。
   僕が全話を見終わった時、最初に思った感想は
「これ、ジャンプ(皆さんご存知の少年誌)にありそうじゃん!」
だった。
 物語の全体を通して、チェスとベスを主軸に物語が展開していくが、この物語の一つのゴールは「打倒・ボルゴフ」である。
 実際に対局するのは物語終盤ではあるが、序盤から最強のチェスプレイヤーとして彼の名前はよく出てくる。
 つまり、彼は“ラスボス”である。ドラゴンボールでいう魔人ブウだったり、るろ剣なら志々雄真実、鬼滅なら鬼舞辻無惨といったところか。
 そんな最強の敵に対して、天才チェスプレイヤーが立ち向かう。そして、物語終盤にかけて、ある種お約束の“胸熱展開“がやってくる。
 ジャンプ漫画に求められる永遠のテーマ
『友情』 『努力』 『勝利』
 様々な見方、感じ方があるのは重々承知の上だが、自分はこの3つのキーワードがしっくり当て嵌まった。
 特に、『努力』。前述のあらすじの通り、ベスは様々な問題を抱えている。
 それらを乗り越えて、ひと回り、ふた回り強くなった彼女を見られるのは間違いなくこのドラマの魅力の一つである。

3.2衣装や舞台セット、効果音
 次にこの作品の魅力を挙げるとしたら、物語を彩る衣装や舞台セット、音や光だと思う。
 ベスはチェスの大会のために世界中へ旅するが、パリもモスクワもラスベガスも、全てベルリンで撮影されたらしい。1950年代の雰囲気の表現は、美しいの一言では表せないくらい風光明媚である。特に個人的に素晴らしいと思ったのは、モスクワの街並み。ワンカットだが、本当に美しいと感じた。
 また、衣装も物語に一層厚みを持たせる道具である。
 各時代ごとの世相や、ベスの心情を衣装で現しているように感じた。最終話のラストで着ている衣装は、見終わった視聴者の心情によくマッチしたもので、初めて登場人物の着ている服で心情を読み取ることができた。
 そのほか、音楽や照明など制作スタッフも非常に優秀な方々が集まったのだろう。どのシーンも感情移入しやすく、印象に残るものだった。

3.3エリザベス・ハーモンを演じるAnya Taylar-Joy

 最後に伝えたいのは、
 とにかくベスを演じるアニャ・テイラー=ジョイが可愛い。
 もう一度言う、本当に可愛い。
 盤上で手を組んで、真っ直ぐ対局相手を見つめる仕草は見ている側としてはとてもドキドキする。(自分だけか?)
 また、モデル出身なだけあって前述の衣装もどれも全て着こなす万能さ。彼女の代わりにベスを演じられるモデルは少ないのではないだろうか。
 モデル出身とはいえ、演技もとても素晴らしかった。
 彼女の演技でとても印象深いシーンは、初めて出場した大会の高校を再度訪れた際に初対局の女生徒と出くわしたシーン。
 ベスが最低最悪に自分を見失っていたタイミングで、尊敬の眼差しを向けられるシーンである。『クイーンズ・ギャンビット:制作の舞台裏』で、アニャ自身も印象深いシーンと語っていた。ぜひ、これから見る人はそういった微妙な心情の表現も注目して見てもらいたい。

4.最後に

 以上3つが、僕が伝えたい「クイーンズ・ギャンビット」の魅力だ。
もちろん、このドラマには様々な受け止め方があり、好きなポイントも人それぞれだろう。
 それくらい、様々なテーマを盛り込んだフトコロの深い作品だと思う。まだまだ語りたいことがたくさんあるが、この辺で僕の話は“チェック”としよう。

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